- Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784642056595
作品紹介・あらすじ
幕府を震撼させたキリシタンの武力蜂起「島原天草一揆」。原城の発掘成果や豊富な文献から戦いを検証。経済闘争か、宗教戦争か、あるいはその問いに問題はないか?近世社会に大きな影響を与えた一揆の歴史的意義を探る。
感想・レビュー・書評
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2008年7月1日初版。
飯嶋和一「出星前夜」を読了後に引っ張り出して再読した。2008年当時の自分は「島原の乱=宗教戦争」程度の認識だったが、この本を読んで認識を新たにした。本書は1990年代以降の大規模発掘調査の成果も踏まえた研究を、わかりやすいレベルで展開したものである。
「出星前夜」は小説だが、多くの歴史史料に基づいている事が再確認できた。幕府軍方の大名や長崎の地方役人たちの書簡•記録などは、同時代を生きた肉声を伝えて生々しい。それらを踏まえた上で創作物に昇華している飯嶋和一さんの小説家としての力量も再確認する事ができた。
本書では『島原天草一揆』をその呼称としている。『島原の乱』という呼び方は当時からのものではなく、1890年(明治23年)が初出らしい。一揆の起った『天草』の地名も入っていないし、権力闘争や政権転覆のイメージがある『乱』よりも"島原天草一揆"がこの闘争には相応しい。
…吉川弘文館の「歴史文化ライブラリー」シリーズは当たり外れがあり、何冊かは処分したのだが、この本はとって置いて良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
島原天草一揆の現在―プロローグ
矢文に見る一揆勢の意識
島原天草一揆における女性
一揆集団の諸相と論理
天草四郎の実像とその役割
島原天草一揆の終わり方
近世人の島原天草一揆認識と「仁政」
「島原天草一揆」という呼称―エピローグ
著者:大橋幸泰(1964-、三条市、日本史)