「自由の国」の報道統制: 大戦下の日系ジャーナリズム (歴史文化ライブラリー 381)

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  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642057813

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  • 日米開戦の頃、米国には約13万人の日系人がおり、1世、2世、そして2世の中でも帰日と呼ばれる日本からの帰国組などがいたようだ。2世はれっきとした米国籍を持ちながら敵性国系として差別された。彼らの心のよりどころが日系新聞。読字率が高い日系人の通読率はかなり高く影響があった模様。開戦までは日本の東洋進出を煽っていた新聞だったが。
    そして米国政府との微妙な共同利益、しかし、立ち退き、強制収容の形で日系人が隔離されるとともに大部分は廃刊。米国政府内でも「自由」を標榜する国としてリベラルな戦時転住局など議論があったことは救いだ。これは今も起こっている問題だと思う。
    「『自由の国』だからといって、いつも自由が安泰だとは限らない。常に容易に失われてしまう。」との締めくくりの言葉は、丸山眞男の警告「自由は置物のようにそこに「ある」のではなく、現実の行使によってだけ守られる」とも通じる。

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著者プロフィール

1970年、東京都生まれ。アメリカ・ミズーリ州立大学、スクール・オブ・ジャーナリズム博士課程修了。現在、東洋大学社会学部教授。著書に『日系アメリカ人強制収容とジャーナリズム──リベラル派雑誌と日本語新聞の第二次世界大戦』(春風社、2005年)、『「敵国語」ジャーナリズム──日米開戦とアメリカの日本語新聞』(春風社、2011年)、『「自由の国」の報道統制──大戦下の日系ジャーナリズム(歴史文化ライブラリー381)』(吉川弘文館、2014年)、共訳書にM. エメリー、E. エメリー、N. L. ロバーツ『アメリカ報道史──ジャーナリストの視点から観た米国史』(松柏社、2016年)がある。

「2019年 『有刺鉄線内の市民的自由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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