古代の食生活: 食べる・働く・暮らす (507) (歴史文化ライブラリー 507)

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  • 吉川弘文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642059077

作品紹介・あらすじ

食べてしまえば残らないから、はるか古(いにしえ)の食生活を再現することは難しい。何をどう食べたのか、誰がどのように得ることができたのか。これら疑問に、米の支給方法や調理、消費量、酒の醸造における女性の役割、流通する酒のゆくえ、商品が行き交う東西の市場の状況、酒宴の様子などからアプローチ。食事を成り立たせた社会の仕組みを明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 文献史学者の視点から明らかにする、奈良&平安時代の食と生活。
    ・古代の食生活を復元するために―プロローグ
    ・米と飯  ・酒の醸造と経済
    ・饗宴・共食と労働  ・乞食の風景  ・あとがき
    参考文献有り。
    “食”は食べると、そのものは無くなってしまう。
    だが、史料や木簡に残る断片から、“食”を探ることが出来る。
    史料の「延喜式」等で定める食、説話や日記等に登場する食、
    絵巻に描かれた食の様子、そして木簡など。
    主に解き明かされているのは、米と飯、酒。
    官人や職員への、米や飯の支給の量。
    女性が“刀自”として酒の醸造に取り組む、時代。
    造酒司が醸造する酒の種類。
    院宮王家や富裕層の経営する酒の店と、貧富の差の拡大。
    どんちゃん騒ぎと無礼講。
    乞食への施行と門を閉めない慣習。
    そして時代の変遷により明確になる、差別。
    長屋王邸宅跡から発掘された木簡(廃棄物)に、
    多くの情報が残っていることに、驚き。
    何とも下層の民の生活の厳しさが滲み出るような、印象でした。

  • 古代の農村では、女性が酒の醸造などを行っていた。刀自(とじ)と呼ぶ。杜氏の語源という説もある。杜氏が男性に限定されるのは江戸時代以降。
    奈良平安時代の村では、有力者は酒の販売や貸付で財を成した。
    中国では、塩、鉄以外に酒を専売としたことがあったが、生産者生産地が限られないことから大商人の反対で廃止された。
    労働の報酬は魚酒が報酬。粗食しか提供できない貧農との品部の差が広まる。
    給与として酒が受給対象となる職種の代表は運輸労働従事者(舟のこぎ手など)。
    土佐日記は文学的脚色が濃厚。話を盛っている。漕ぎ手が釣った鯛を米や酒で買い取っている。
    皇族貴族などの居所の門が開いているのは普通のこと。

  • 東2法経図・6F開架:383.8A/Y92k//K

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著者プロフィール

1967年、香川県に生まれる。1991年、京都大学文学部史学科卒業。1998年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、京都産業大学文化学部京都文化学科教授 ※2020年8月現在
【主要編著書】『日本古代社会編成の研究』(塙書房、2010年)、「神泉苑の誕生」(『史林』88-6、2005年)、「日本古代の国制と戦争」(『日本史研究』654、2017年)

「2020年 『古代の食生活 食べる・働く・暮らす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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