唱歌「蛍の光」と帝国日本 (558) (歴史文化ライブラリー 558)

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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642059589

作品紹介・あらすじ

卒業シーズンに歌われる定番曲の一つ「蛍の光」。明治に作られたこの唱歌には、現存しない3番と4番があった。「帝国」版図の拡大と幻の歌詞を読み解き、「蛍の光」の成立と変遷過程を「国民国家」日本の歴史の中に位置づける。唱歌教育の実態にも迫り、日本人の教化のみならず、朝鮮・台湾など東アジアの植民地支配に与えた影響を解明する。

感想・レビュー・書評

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  •  「蛍の光」が国民国家形成ひいては帝国膨張の中で果たした役割を見る。1番の歌詞は中国由来、音楽は西洋のものなのだが。
     国の防衛、千島や沖縄の地名を含む3番と4番の歌詞を見ると、込められた意味がよく分かる。地名は後に台湾と樺太を含むよう改定され、更に満洲や南洋まで勢力が拡大した時代には現実との矛盾から4番は削除される。対米英戦争時代には敵性音楽として排除されるのは皮肉だ。
     台湾では「蛍の光」を含む唱歌が日本による教育の中で使われる。韓国・朝鮮でもそうだが、一方で同じ「オールド・ラング・ザイン」の曲が「愛国歌」として歌われていた。

  • 東2法経図・6F開架:767A/O14s//K

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著者プロフィール

1950年、長野県生まれ。1973年、早稲田大学第一文学部卒業。1978年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、早稲田大学名誉教授、博士(文学) ※2022年9月現在
【主要著書】『小野梓 未完のプロジェクト』(冨山房インターナショナル、2016年)、『「主権国家」成立の内と外』(日本近代の歴史2、吉川弘文館、2016年)、『世界の中の近代日本と東アジア』(吉川弘文館、2021年)

「2022年 『唱歌「蛍の光」と帝国日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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