源頼朝と鎌倉 (人をあるく)

著者 :
  • 吉川弘文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642067904

作品紹介・あらすじ

初の武家政権を鎌倉に創設し、弟の義経を死に追いやった冷徹な政治家とされる頼朝。平治の乱や石橋山合戦など、相次ぐ命の危機で負った心の闇に迫り、伊豆・鎌倉・平泉などゆかりの地を訪ね、波乱の生涯を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 源頼朝の生涯に三部構成で迫った概説書。写真や図も豊富で読みやすい。

    第一部「源頼朝の履歴書」は、オーソドックスな評伝スタイル。ここがいちばん面白い。
    人名や役職名がわかりにくく、最初はとっつきにくい。が、ドラマティックな出来事の連続なので、一度本に入り込めばスイスイ読める。

    「冷徹な独裁者」というイメージばかりが強い頼朝だが、苦難続きの前半生をくわしく知ると、「冷徹になるのも無理ないわな」と思える。

    流人として生きた間にもうけた子ども・千鶴を殺されてしまったり(石をくくりつけて川底に沈めるという惨いやり方で)、権力を得てからは逆に政敵を誅殺しまくったりと、頼朝の生涯は血なまぐさい話の連続である。

    頼朝が53歳で落馬事故によって死去したことについて、本書にはとくに注釈はない。
    歴史学者としてはあまり大胆な推測もできないのだろうけど、一読者としては「これって暗殺じゃね?」と思わざるを得ない(そこまでの歩みが血なまぐさいだけに)。歴史作家ならそう描くだろう。

    ともあれ、著者の文章は格調高く、それでいて平明でよい。

    第二部「幕府の創設と都市鎌倉」は、鎌倉幕府の組織体制や、都市としての鎌倉の仕組み・構成の解説。
    ここは専門的な内容で、読み物として面白いものではない。

    第三部「源頼朝を歩く」は、おもなゆかりの地(鎌倉に限らない)を著者自らが歩き、写真も撮った名所ガイド。
    現地を訪ねる歴史マニア向けに、実用的で詳細な解説になっている。たとえば、どの交通手段を用いて現地に行ったらよいかまでが書かれているのだ。

  • 『承久の乱(中公新書)』で有名になった歴史学者のライトな一冊、初の武家政権を創設した頼朝の評伝で、歴史物語を廃し最新の学説を手軽に紹介しているおすすめ作です■第1章「源頼朝の履歴書」頼朝が生涯4つの危機をどのように乗り越えたかという切り口で読ませます。多からず少なからず、必要なことは十分に書かれており、入門書として最適です■第2章「幕府の創設と都市鎌倉」鎌倉幕府の創設は何年なのか?都市鎌倉の建設の様相■第3章「源頼朝を歩く」地図を片手に、google mapでも良いですが、歴史散歩しましょう(2016年)

  • 表紙が甲斐善光寺の木像を使用している事から信頼性がおける。源頼朝の事績をビジュアルを活用して読みやすくした良書。
    源頼朝処刑嘆願のカラクリとかも興味深い。罪人からカリスマに至る経緯を見ていると廻り道が案外王道であるような気もしてきた。

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著者プロフィール

創価大学教授
著書・論文:『源実朝 「東国の王権」を夢見た将軍』(講談社メチエ、2014年)、『承久の乱 真の「武者の世」を告げる大乱』(中公新書、2018年)、「中世前期の文化」(『岩波講座 日本歴史』第6巻中世1、2013年)など。

「2020年 『乱世を語りつぐ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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