新しい江戸時代が見えてくる: 「平和」と「文明化」の265年

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  • 吉川弘文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642081047

感想・レビュー・書評

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  • 1603年の江戸幕府開幕から慶応3年(1867)に大政奉還するまでのあしかけ265年にわたる江戸時代を今日的視点からあらためて見直し、日本史のなかに位置付けようとした。

    政治的なトピックを説明しながらよく時代劇などで取り上げられるエピソードにも触れているので、おもしろく読めた。大きなうねりとして述べられているので、高校あたりでこれを読めていたら、日本史の理解が深まったのになあと思った。でも大石氏の研究や日本史の研究のここ数十年の成果あってのこの本、歴史の評価は進化する。

    江戸時代は中央政府である幕府が全国約260の藩を編成し、約3000万人の国民の生産と生活を保障した時代。武士は戦闘者ではなく、行政官=官僚として機能した。これは「平和」「文明化」の時代といえ、統一的な国家体制が整備され、列島社会が成熟し、均質化が進む時代だったとする。この変化こそ、明治時代以後の日本の国家・社会・地域の重要な前提となった。

    メモ
    ・2代秀忠の正室「江」はお市の方の子なので信長の孫。子供の家光と、2番目の夫・豊臣秀勝(豊臣秀吉の甥)完子の子孫は皇室と婚姻し現在の天皇家へとつながる。・・ので天皇家は信長、秀吉、家康の血をもひいている。

    ・大岡越前は公文書整理を行った。そのやり方は現在の文書管理にも通じるもの。目録を作った。


    「NHKこころをよむ・江戸から考える日本人の心」(NHK出版2011)を再編補訂したもの。 
     ※こころをよむはラジオ第一の番組


    2014.3.1第1刷 図書館

  • 江戸時代に形づくられた制度・システム・習慣は現代の日本社会の重要な基礎となっているとの認識の下、江戸時代の265年の歴史を、「平和」と「文明化」をキーワードに、今日的視点から、あらためて日本史のなかに位置づけようとしている。
    大河ドラマで題材となったトピックなども取り上げながら、最新の研究に基づき、江戸時代の等身大の姿をわかりやすく描いている。江戸時代における官僚機構の発展や教育力の向上という本書で強調されている点は、現代日本の礎になった部分として重要だと感じた。
    本書で取り上げられているエピソードとして、徳川吉宗と尾張藩主宗春との「大きな政府VS小さな政府」の対立と、大奥における「内政」と「外交」により戦争回避と徳川家存続に導いた篤姫と和宮の奮闘が特に興味深かった。

  • ふむ

  • タイムアウト 28.11.4

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著者プロフィール

大石 学 1965年生。東洋大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。杏林大学ほか非常勤講師。哲学・倫理学。

「2023年 『日記・書簡集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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