かえでの葉っぱ

  • 理論社
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本棚登録 : 146
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652041253

作品紹介・あらすじ

いのちはどこへ行くの?チェコの美しい風景を旅する、ある葉っぱの物語。森の国チェコで育まれた知性と日本の画家の出会い。BIB世界絵本原画展グランプリ受賞作家の絵本。

感想・レビュー・書評

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  • チェコの森の美しさを、出久根育さんの挿絵で思う存分堪能できる。
    一枚のかえでの葉を通して、いのちはどこから来てどこへ行くのか、風景を旅しながら考えさせる一冊。

    「ぼくが落ちるときは、うんと遠くまで行くんだ」
    ある日の午後、木からふわりと離れた葉っぱはすぐに大きな石の間に落ちてしまう。
    そこで出会った少年に手助けをしてもらい、風に吹かれて飛んで行き、長い旅が始まっていく。
    厳しい寒さの中で耐える姿も、克明にとらえる出久根さんの腕が素晴らしい。
    それぞれの場面でつぶやく葉っぱの言葉にはどれも重みがあり、壮大なフィロソフィーになっている。
    旅立つときの希望と、色褪せていくことの不安や悲しみ、時の経過とともにそれらから解放される自由。
    残りわずかな命を燃やす瞬間は、あの少年に旅の思い出を語るときでもあったというラスト。
    自然との交流から生み出されたというこの叙事詩のような作品に、チェコに暮らしている出久根さんの挿絵がいっそうの魅力を加えて、本当に美しい一冊になっている。

    ただ、まことに惜しいことに、やや長い。
    16分もかかるため、お話会には使いにくい。
    そしてもう一点、背景が土色のページがいくつかあって、そこに黒い文字が印刷されているととても読みにくいのだ。
    内容からして中学年以上に向く。プレゼントにも良いかもしれない。
    大勢の前ではなく、ひとり静かに開く本なのかもね。

    • nejidonさん
      だいさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      そうなのです、絵本と言いつつ、内容はとても濃くて重いのです。
      表紙から見て、美...
      だいさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      そうなのです、絵本と言いつつ、内容はとても濃くて重いのです。
      表紙から見て、美しさを前面に押し出した作品とだけ思っていたのですが、見事にはずれました。
      最後なんて、葉脈が透けるほどの枯葉になり、自分から少年の焚き火に飛び込むのです。
      しかもそのときの葉っぱの言葉は「これでいい・・」ですからね。
      お好きなひとは、はまるかもしれませんね。
      2013/11/21
    • だいさん
      nejidonさん
      こんにちは

      >見事にはずれました。
      これはいい!!
      セレンディビティですね。
      若い読者(子どもたち?)にも...
      nejidonさん
      こんにちは

      >見事にはずれました。
      これはいい!!
      セレンディビティですね。
      若い読者(子どもたち?)にも同じ感覚を期待したいですね。
      2013/11/21
    • nejidonさん
      だいさん、再訪してくださってありがとうございます!
      セレンディビティとは、素敵な表現までいただいて・・むしろ驚いておりますよ(笑)。
      本...
      だいさん、再訪してくださってありがとうございます!
      セレンディビティとは、素敵な表現までいただいて・・むしろ驚いておりますよ(笑)。
      本のみでなく、映画でも演劇でも【はずれたけど大当たり】というものに出会うと幸福感があります。
      作り手はいつも、こちらを裏切って欲しいものです。良い意味でね。

      2013/11/22
  • 「リスとアリとゾウ」「なかないで、毒きのこちゃん」のデイジー・ムラースコヴァー。先の2冊は文・絵ともでしたが、今回のイラストは出久根育!

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    「美しい風景の中を旅する、ある葉っぱの物語。風に乗り、川を下り、雪の下で春を待ち……季節の中で姿を変えつつ、葉っぱはやがて…… 」

  • 「いのちはどこへ行くの?チェコの美しい風景を旅する、ある葉っぱの物語。森の国チェコで育まれた知性と日本の画家の出会い。BIB世界絵本原画展グランプリ受賞作家の絵本。」

  • 金色で片方の縁がピンクの美しい一枚の楓の葉の冒険。風に乗せてくれた少年との出逢い、再会。綺麗や色とファンタスティックな造形の人物。
    出久根育という作家は本文の単なる説明ではなく、次や一つ手前のタイミングをとったり、結果または前提になる状況を表現したり、文章と絵で立体的で多層な物語を演じる。そのスタイルにふさわしい文章を選んだり、自ら執筆する。
    #かえでの葉っぱ #出久根育 #ムラースコヴァー #関沢明子 #理論社

  • 13'00"

  • 「いのちはどこへ行くの?」図書館の秋の絵本特集の棚に並んでいた、一際目を引く美しい表紙。1枚の葉っぱの一生をめぐるお話でした。木は命があるってわかるけど、落ち葉の1枚を1つの命として考えたことなかったなぁ。あんなに美しかった紅葉が色を変え、姿を変えて、骨のようになって。それでも「これも悪くないな」と受け入れて、旅をつづける葉っぱの最後とは…。誰かの心の灯火になれたなら、そんな幸せなことはないなぁ。

  • 崖の淵で色づいた楓の葉が、少年と出会い、風に飛ばされて、旅を終えるまでの一生を描いた作品。
    子供よりも大人に響くであろう、渋く、余韻のあるストーリーだ。
    絵が地味だからとっつきにくかったし、モチーフ的に面白くないだろうと思ったが、以前読んだ『なかないで、毒きのこちゃん』同様深い話だった。

    日本語訳が美しい。
    哀愁のある出久根育の絵もぴったりだ。でも主人公の葉のフチはピンクではなくオレンジに塗られているから、子供が読んだら突っ込みたくなると思う。

    この絵本、元は童話集の一編だというが、作品集丸ごと読んでみたいものだ。
    とてもあたたかく美しい話を描く、いい作家だと思うんだけど。
    いつか翻訳されないだろうか。

  • 植物、動物、人の一生も同じね…

  • 大きな崖に、カエデの木が1本。
    そのカエデから落ちた1枚の葉。木から離れたら遠いところに行きたいと思っていたのに、大きな石の間に落ちてしまった。
    銀を探して崖に来た少年が、偶然カエデの葉を見つけて、カエデの葉を拾い、風に乗せて飛ばした。
    「いつか戻ってきて、話をきかせてよ」と約束して。
    カエデの葉はあちこち旅をし、だんだん色は悪くなってしまう。冬になり、雪の下でじっとして、春をまつ。そして細い、灰色のクモの巣のような骨だけの姿になってまた風に飛び乗りました。
    少年と出会った時には、少年は焚き火をしていた。
    そこに降り立ったカエデの葉は大急ぎで旅の話を少年にした。
    小さな声だったけど、少年はカエデの話を聞き、満ち足りた気持ちになった。そしてカエデは燃え尽きた。

    絵本のラストはこう
    ``だれでも、たき火のそばではしあわせになるものです。
    なぜかわかりませんが、そうなのです``

    たき火の炎を見つけて、そんな想像をするのも悪くない時間だと思う。

  • 大きながけにある一本のかえでの木。そのかえでの葉っぱは木から旅立ち、遠くまで飛んで行くのを楽しみにしていました。しかし、葉っぱが落ちたのは大きな石の間。そこへ少年がやってきて、葉っぱを助けてあげ、こんな約束をします。「いつか戻ってきて、話を聞かせてよ」と。葉っぱの旅が始まります。(約15分)

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