- Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652077818
感想・レビュー・書評
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彼女の本の何がすごいって……飯がうまそうなとこだよなあ!
熱々のたまごかけご飯と、相性ばっちりの大根汁。
その二つは決して小説の中で輝くようなメニューじゃないはず。
けれど、日輪さんの手にかかれば、米粒ひとつぶひとつぶが輝いている椀の中、そこにとろんと乗っかるたまごを崩してずずいっとかきこむ、主人公・雀の姿……それを引き立てる大根汁のダシのうまみ……
「あ〜〜〜っ、うめ〜〜〜イ!」
思わず、そりゃうまかろうよと言いたくなるほど、よだれがじゅるりとなってしまいそうなたまごかけご飯を読み手の頭の中に浮かべるなんて、朝飯前。
「異界から落ち来る者あり」
妖怪が出てくるのに、こんなにのんびりと穏やかな物語はあるだろうか?
魔都・大江戸に暮らす妖怪たちは、法を守り守られながら、人間と同じように生活している。
あるときそこに異界から「落ちて」きた、大江戸でただ一人のただの人間・雀。
彼にとっては、見たもの聞いたものすべてがファンタジーのよう。その人間からの目線で書いた雀のかわら版は、普段大江戸を見慣れている妖怪たちにとって、新鮮であり、おもしろい。
妖怪と人間、異界の生活。
雀はこれからどんなものを見、何を考えて生きていくのか。
嫌な事、悲しい事があって心を痛めている人に読んでほしい。
きっと、何かがほぐれていくような、優しい気持ちになれるから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
お小枝かわゆし。
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図書館から借りました
ファンタジー。 ホラーと呼ぶほどおどおどろしくない。
主人公は雀という名の男の子。唯一の人間。
魔神の桜丸、猫のポーらと仲良しで、大首のやっているかわら版屋に勤めている。
炎蛇が出たといっちゃ、出かけてゆき、カッパのなわばり争いがあるとあっちゃあ駆けつけ、事件をおっかけ、あっちこっちに。
彼はこちらの江戸から落ちてきたのではなく、ゲームや「たまごっち」が存在する現代からあちらにたどりついていた。
すさんでいた子は、帰ることもできるのに、こちらの世界で生きることにした。
あちらに居たら、両親を憎むだけで恋しく思ったり出来ないだろうから、と。
周囲の妖怪はみんな優しくて、まさに児童書。
絢爛な水天のお嫁入り描写。
江戸らしい描写もあちこちに。
っていうか、キャフェーとかソーダって、この時代からもうあったのですか??
ま、、そのへんは妖怪だからかな♪
さらりと読めます。 -
卵掛けごはん、ふわふわ卵、うなぎの蒲焼き。
美味しそうだなあ。 -
香月さんの本は、人間の暮らす日常の中に《変わった人達》が現れる、、そんなイメージだったので、この作品は、ちょっと予想外でした。
でも、やっぱり独特の言葉遣いや、言い回しがいっぱいで、夢中になりました。 -
香月さんっぽい文章を、さらに江戸っぽくしてて、えらく特徴的。
話は、ここで終わらず上下なのが、下になにが待ってるのかなという感じ。
旦那が、妖怪アパートのかっこいい兄貴分たちか。
装画 橋 賢亀、装丁 郷坪 浩子 -
異界「大江戸」の風景描写がものすごく綺麗。
ただ1人の人間 雀が白玉入りの砂糖水を買うシーンや、吉原の空の移り変わり、色とりどりの灯火の様子が目に浮かぶよう。 -
妖怪の世界「大江戸」に落ちてきた少年「雀」。
雀はかわら版として仕事をしています。
ある日、また少女が落ちてきました。
少女は元の世界に戻りたくない!と言いますが…。
さてさて、雀と妖怪たちの不思議な物語が始まります。