- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750331188
作品紹介・あらすじ
少年事件を手がける弁護士4人と少年の鑑定を行う精神科医が、2000年以降に起こった少年事件を取り上げ、加速度的に進んできた厳罰化の問題性と少年を取り巻く司法状況とともに、少年の心や生育環境にも目を向けて総合的に考えていくことの重要性を問う。
感想・レビュー・書評
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ある機会に著者の高岡先生の講演を聴くことがあったのがきっかけで、本書を手に取った。
少年事件と通常の事件では裁判方法はどう異なるのか、なぜそのような仕組みの違いが生まれたのか。その答えと、それに沿う実践活動事例が記されている。
少年事件、という言い方だと身近に感じる人も少ないかもしれないけれど、問題行動を起こす子どもに対する時の心構え、と捉えて読むと、より内容を感じやすく、ためになった。 -
情状鑑定などの精神鑑定を行っている「精神科医」と少年事件に多く携わっている「弁護士」×4名の対談。各実務家が日ごろから胸に持っている問題意識や疑問がたくさん散りばめられている。対談形式である上、解説が丁寧なので、少年事件や少年法をよく知らない人間でも読みやすい。
少年事件の付添人活動を一生懸命おこなっている弁護士の方は熱い方が多い。それは、少年事件はお金にならないので、よほどの信念がない限りなかなかどっぷり浸かることは難しいからだと思われる。
熱い弁護士のエピソードをひとつ載せておく。少年事件など「社会的弱者」の弁護や支援を多くおこなっていらっしゃる髙森裕司弁護士の話。
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ベテラン調査官は、住所を見たらその町の匂いを思い出すという。昔は実際に調査官が少年の住む街に足を使って赴いて、いろいろ聞き取りを行っていたからだ。しかし今の調査官はデスクワークが多くてなかなかそのようなことはできない。そのため、ベテラン調査官は昔のようなことを現在できないので寂しいと感じている。
そこで、髙森裕司弁護士は「自分が足になろう」と思った。家に赴いて、「こうだった、ああだった」という情報を手に入れ、調査官に全部提供して「そうですか、こうですよね」という答えをいっぱいもらおうと。
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以下、メモ。
・保護(矯正)可能性と保護処分許容性
・多動性行為障害
多動性:1年ごとに軽くなる(時間性)
どの場所でも多動(空間性)
行為障害:同義反復であり、どれほど意義があるか不明
・情状鑑定「情状鑑定は被告人を人間として理解することを意図するものである」
・ギャンググループ(小学生、行動による仲間意識)
チャムグループ(中学生、考え方が共通)
ピアグループ(高校生、考え方が異なっても)
・児童福祉には人間的な面での継続性がある
・人間関係の豊かさ・貧しさ
・映画「砂の上のロビンソン」