リビアを知るための60章【第2版】 (エリア・スタディーズ 59)

著者 :
制作 : 塩尻 和子 
  • 明石書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750349732

作品紹介・あらすじ

他に類を見ない独特な政治思想を掲げ、42年間にわたり続いたカッザーフィーの独裁体制が崩壊してから9年、待望の改訂新版。予断を許さない内戦状態が続く「カッザーフィー後」の現状と、なお連綿と変わらない風土と人々の姿を、現地からの声も交えつつ紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りた。
    アフリカ北部、地中海沿岸の国リビア。カダフィ大佐で知られていた国だ。その実情と歴史を知ることができる本。政情不安により、現在日本人が行くことはできないが、そんなリビアの諸々について記載がある。
    結果としてカダフィ大佐の歴史や内戦の云々の記載が多い。本来は歴史価値なども多分にあると思うが、歴史の綾というのは複雑な思いを抱かせる。

  • 【書誌情報】
    塩尻和子 編著
    定価 2,000円+税
    出版年月日:2020/03/30
    9784750349732
    4-6 388ページ

    他に類を見ない独特な政治思想を掲げ、42年間にわたり続いたカッザーフィーの独裁体制が崩壊してから9年、待望の改訂新版。予断を許さない内戦状態が続く「カッザーフィー後」の現状と、なお連綿と変わらない風土と人々の姿を、現地からの声も交えつつ紹介する。
    https://www.akashi.co.jp/smp/book/b508177.html

    【目次】
    はじめに(二〇二〇年二月 塩尻和子) [003-012]
    目次 [013-020]
    凡例 [021]
    リビアと地中海諸国(地図) [022-023]


    Ⅰ リビアの成り立ち――地理・歴史・民族 025
    第1章 リビアの風土――海と砂漠の国 026
    第2章 古代のリビア――「リビアにはすべてのものがある」――ヘロドトス 031
    第3章 トリポリタニア――ライバルはカルタゴ 035
    第4章 地中海の砦 トリポリ――三〇〇〇年を生きた都 039
    第5章 世界遺産の古代都市① レプティス・マグナ――大理石の都 042
    【コラム1】レプティス・マグナ紹介 047
      ◇セプティミウス・セヴェルズの凱旋門
      ◇劇場
      ◇旧広場
      ◇ビザンティン門
      ◇セヴェルズのバシリカ式神殿
      ◇セヴェルズの新広場
      ◇ニンフの神殿
      ◇ハドリアヌスの浴場と競技場
      ◇競技場

    第6章 世界遺産の古代都市② サブラータ――モザイクの都 051
    第7章 世界遺産の隊商都市 ガダーミス――砂漠の魔法の入口 058
    第8章 民族運動の狼煙――砂漠のライオン 064
     【コラム2】イドリース一世――リビア王国の孤独な君主 070
    第9章 フェニキア人の末裔――民族と言語 076
      ◇民族
      ◇言語

    第10章 リビア人気質――三つの原点 081
     【コラム3】リビア人意識の形成 084
     【コラム4】サヌースィー教団 085


    Ⅱ リビアの反政権闘争 
    第11章 二〇一一年の民衆蜂起――燎原の火のごとく 088
    第12章 革命はいつもベンガジから――リビアの歴史的特徴 094
    第13章 独裁者の死――誰にも知られない砂漠に 097
    第14章 カッザーフィーとは何者だったのか――「アラブの狂人」 102
    第15章 カッザーフィーの生い立ち――遊牧民の誇りのなかで 105
    第16章 カッザーフィーの革命――周到な準備の成果 109


    Ⅲ 国際社会とリビア 

    第17章 テロ支援国の過去――日本赤軍もカルロスも 114
    第18章 アメリカとの因縁の関係――二〇〇年にわたる確執 117
    第19章 カッザーフィー爆殺未遂事件――高まったカリスマ性 122
     【コラム5】「アメリカ蛮行の記念碑」での食事会 126
     【コラム6】女性たちの革命記念日 128
      突然の電話から
      グリーンのアラブ服――「王妃様」の雰囲気で
      写真撮影は禁止――証拠の名札

    第20章 国連制裁解除――「バスに乗り遅れるな」 134
    第21章 大量破壊兵器放棄宣言――カッザーフィーの大変身? 137
    第22章 カッザーフィーの後継者は誰か――「あの家族」を継ぐ者 141
     【コラム7】リビア人小説家、ヒシャーム・マタール 147
    第23章 リビアの若者意識――豊かな国の貧しい意識 151


    Ⅳ 深刻な難民問題 

    第24章 よりよい生活を求めて――夢のアフリカ連邦 156
    第25章 リビア経由でヨーロッパへ――「中央地中海ルート」 162
     【コラム8】地中海を渡る難民を撮り続けて 167
    第26章 政変後の労働市場――流入する移民労働者 169


    Ⅴ 砂漠との戦い 

    第27章 ローマの穀倉――オリーブとオレンジの実る地 174
    第28章 大人工河川計画――砂漠との戦い 178
    第29章 リビアの宗教事情――タブーの表裏 182
    第30章 リビア料理は多国籍料理――ご馳走はクスクス 188
     【コラム9】手厚い食糧補助金制度 192
     【コラム10】花嫁衣装は伝統衣装――部族によって異なる色と形 194
     【コラム11】独自のイスラーム暦と標準時 198
    第31章 教育制度――制服は迷彩服 201
    第32章 女性の活躍――カッザーフィー夫人にならって 205
     【コラム12】リビア女性の活動再開を祝う 209
    第33章 都市のイメージ――外観より内側という考え方 212


    Ⅵ 天然資源と日本との関係 

    第34章 注目の石油・天然ガス調査――世界最高級の石油 218
    第35章 日本とリビアの関係史――資源を求めて 222
    第36章 油田開発の公開入札――日本の大きな賭け 225
    第37章 日本からの経済投資――技術開発に期待 228
    第38章 石油生産は国家再建の鍵――リビア経済と石油部門 231
    第39章 経済活動と民兵組織――首都トリポリの真の支配者? 235
     【コラム13】内陸都市サブハーの風景 239


    Ⅶ カッザーフィー政権の崩壊 

    第40章 民衆蜂起と独裁体制の動揺――混乱の始まり 244
    第41章 民衆蜂起のきっかけ――それはベンガジから始まった 247
    第42章 反体制組織の誕生と多国籍軍の軍事介入――内戦状態に突入 251
    第43章 トリポリ陥落――カッザーフィー政権の崩壊 255
    第44章 独裁体制の終焉――カッザーフィーの死 259
     【コラム14】カッザーフィーは誰に殺されたのか 263


    Ⅷ 新生リビアの生みの苦しみ 

    第45章 暫定政府の成立と混乱――カッザーフィー政権崩壊直後の政治課題 268
    第46章 民兵集団の台頭――新たな危機の始まり
     【コラム15】「真実を知りたい」 271
    第47章 国民議会選挙法の施行――リビア初の自由国政選挙 274
     【コラム16】国民議会選挙に立候補 281
      ◇はじめに
      ◇への立候補を決意
      ◇立候補プロセス
      ◇配布資料の手配
      ◇選挙運動の実態
      ◇リビア全体の選挙結果と国民議会の開催
     【コラム17】アメリカ総領事館襲撃事件 288
    第48章 移行政府の始動と課題――旧政権関係者の公職追放をめぐって 291
     【コラム18】新生リビア見聞記(二〇一三年三月) 294
      ◇記念式典への招待
      ◇五年ぶりのリビア
      ◇ガーネム元首相の死
      ◇リビア社会の変化
      ◇NFA創立一周年記念式典
      ◇記念式典での要人の発言
      ◇晩餐会でのシャルガム外相との再開
      ◇今後の課題

    第49章 イスラーム主義勢力との抗争――新たな危機の始まり 304
     【コラム19】陶器の町・ガルヤーンを目指して 308
    第50章 ハリーファ・ハフタルの登場――行き詰まる新体制 312
     【コラム20】ハフタル将軍とは何者か 315
    第51章 東西に二つの政府――軍事的緊張の高まり 317
     【コラム21】人道的犯罪の露呈――タワルガ避難民 321


    Ⅸ 統一国家再建への期待 
    第52章 統一政府の樹立に向けて――政治対話の開始 326
     【コラム22】カッザーフィーの従弟は語る 330
    第53章 「イスラーム国」との戦い――厳しい船出となった国民和解政府 332
    第54章 複数政府体制――困難になる国家再建 336
    第55章 ハフタル将軍と東部政権――有力政治家かそれとも新たな独裁者か 338
    第56章 民主化プロセスの停滞――指導力を発揮できない国民和解政府 341
    第57章 残る植民地支配の後遺症――中東世界に共通する問題 346
    第58章 民衆蜂起の果てのカリスマ待望論――カリスマを排除したものの 349
    第59章 大統領選挙への期待――国家分断の解消に向けて 353
    第60章 新生リビアの安定は可能か――国際社会の支援と介入 357
     【コラム23】祖国への想い 361


    参考文献 [363-365]
    リビア略史(年表) [366-371]
    新生リビア政権の系譜(図解) [372-373]
    索引 [374-379]
    執筆者紹介 [380-382]
    編著者紹介 [382]

  • 東2法経図・6F開架:302.4A/Sh72r//K

  • 革命前のリビアを概観した初版から半分近くの項目を大幅に改訂した第二版。革命直前のどことなく緊張感がありながら豊かだったリビアを知る者としては今の状況の激変ぶりはあまりにも切ない。初版から改訂のない部分が浮いている様に思えるのはそのせいだろうか。

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著者プロフィール

1944年岡山市生まれ。
東京大学大学院人文社会科学研究科博士課程単位取得退学(博士(文学)東京大学)。
筑波大学教授、同大北アフリカ研究センター長、同大理事・副学長(国際担当)、東京国際大学特命教授、同大国際交流研究所・所長を経て、現在、筑波大学名誉教授、アラブ調査室室長。専門分野は、イスラーム神学思想、比較宗教学、宗教間対話、中東地域研究。
主な著書・論文:『リビアを知るための60章【第2版】』(明石書店、2020年、編著)、「公共宗教としてみたイスラームの世俗性と普遍性」(『ピューリタニズム研究第13号』日本ピューリタニズム学会、2019年)、「イスラーム・ジェンダー論の行方」(『いま宗教に向き合う』第4巻、岩波書店、2018年)、「宗教間対話運動と日本のイスラーム理解」(『宗教と対話――多文化共生社会の中で』教文館、2017年)、「ジハードとは何か――クルアーンの教義と過激派組織の論理」(『変革期イスラーム社会の宗教と紛争』明石書店、2016年)、『イスラームを学ぶ』(NHK出版、2015年)、「初期イスラーム思想における理性主義的人間観と宗教倫理」(『イスラム哲学とキリスト教中世Ⅱ 実践哲学』、岩波書店、2012年)、『イスラームの人間観・世界観』(筑波大学出版会、2008年)、『イスラームを学ぼう』(秋山書店、2007年)、『リビアを知るための60章』(明石書店、2006年)、『イスラームの生活を知る事典』(東京堂出版、2004年、池田美佐子と共著)、『イスラームの倫理――アブドゥル・ジャッバール研究』(未來社、2001年)、ほか多数。

「2021年 『イスラーム文明とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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