- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750352510
作品紹介・あらすじ
子どもや親が抱える困難はそれぞれに異なり、個別のストーリーによって初めて感じ取ることができるリアリティがある。統計からは見えにくい困難と支援のダイナミズムを子どもや親、支援者の「語り」を軸にして、リアルなものの一端を可視化する挑戦的な試み。
感想・レビュー・書評
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第2章に出てくる母親が少し私に似ているように感じられて興味深かった。この母親ほどエネルギッシュではないものの、彼女の障壁となった『はざま』を私も感じるからです。
「一人っ子ですか?」「どこもみんなそう」「それが個性」「なめられてる?」「優しすぎる」「甘えてるだけ」など、周りからの何気ない一言、あるいは慰めの一言が私にとってはトゲのようにチクチク刺さる感じ。娘に対し抱く違和感は、単なる思い込みではないと思うが故に、こうして本を読む日々が数年続いている。それは、この母親と同じく、未来に向かって能動的に動けているのかも。と、勇気付けられました。
第1章の 『妥当性の雰囲気』というものに納得しました。本書の通り「笑い」が「これでいいんだ」という心理的安全性のような働きがあるとも考えられるが、私なら「笑い」でごまかす部分があるのかなと思う。暗い雰囲気にしたくないというサービス精神もあるし、私は悩んではいるけど、大したことがない、自分で立ち向かうしかないことも分かっていると、自分を取り繕う作用もあるのかなと、思いました。
哲学者のサルトルの『人間の本質は「無」である』と表現し、人は常に「ない」状態を埋める行為を実現しつつある、という仕方で、未来の可能性を常に生きている。これにまた生き方を考えさせられ、勉強になりました。これまで以上に、きちんと、無を無でない状態にすることを念頭に置いて人生を造っていきたいです。
特定の具体的な例や様々な立場で語られる言葉から考察される本書は、一番多いであろう制度のすき間でもがく人々の日常が垣間見れます。誰が見ても制度上支援必須な人よりマシだからやり過ごしていいわけでもなく…かと言って緊急性もないように見える…。私も幼少期、そんなすき間の子どもでした。でも助けて欲しかった。数少ない気付いてくれた大人が声を掛けてくれたなら、私は話せなかったかもしれないけどきっと救われたはず。難しい。
第7章では、編著村上靖彦さんの考察に唸ってしまいます。ここまで相手の語る一言一言を捉えられる技術に脱帽です。単なる言葉の繋ぎのような逆接にも心理をかいま見ることができるのだと目から鱗でした。語る方も意識していないくらいに使う言葉なのだけれど、深層心理が表れることがすごく分かりました。ここまで心を読み、言語化できることに感服します。そしてまた、主人公の女性の強さにも驚きました。こどもの里があったからなのかな。 -
よかったです。
すき間の支援に気づく目と智恵を持ちたいと思います。