声をあげます (チョン・セランの本 03)

  • 亜紀書房
3.76
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本棚登録 : 353
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750516981

作品紹介・あらすじ

地球の滅亡、感染症、種の絶滅、大量消費……《 解決の鍵はいつだって未来にある! 》

身に覚えのないことで突然、収容所に監禁された英語教師のスンギュン。16名もの教え子が殺人者になっているという。
そして、その原因が自分の“ 声” にあるというのだが……(「声をあげます」)


『フィフティ・ピープル』『保健室のアン・ウニョン先生』の人気作家が放つ初めてのSF短編集。
文明社会の行きづまりを軽やかに描き出し、今を生きる女性たちにエールを贈る、シリアスでポップな8つの物語。


二十三世紀の人たちを怒らせるのではないかと思うと私は恐ろしい。
この正常ではない、腹立たしい豊かさは最悪の結果に終わってしまうだろうと思う。
未来の人々に軽蔑されずにすむ方向へ軌道修正できたらいいのに。(「あとがき」より)

感想・レビュー・書評

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  • 本書を読んでチョン・セランは韓国の柞刈湯葉だぁ〜って思いました!
    (他の作品は読んだことがありませんが…w)

    著者の初めてのSF短編集らしいです
    シリアスでポップな8作品が収録されていますが、これがまたよくわからないものが多い…(^.^;
    (私の理解力が低いのかも…w)

    よくわからないが何だかクセになります!
    また発想もおもしろい!
    (その辺が柞刈さんに似ている感じがする)

    表題作の「声をあげます」と「十一分の一」は気に入りました!

    • みんみんさん
      アンニョンハセヨ〜♪
      チャルデンネ(^_-)
      アンニョンハセヨ〜♪
      チャルデンネ(^_-)
      2023/05/09
    • 1Q84O1さん
      カムサハムニダ♪
      カムサハムニダ♪
      2023/05/09
  • 「小さな空色の錠剤」
    認知症患者が記憶を保持するために開発された、ささやかな薬。それが「試験に受かる」と受験生の間で爆発的に流行する。とくに副作用はみられなかったが、次の世代の子どもたちに深刻な健康被害が。
    今この瞬間さえ乗り切れれば、という行動がどんな風に尾を引くか。環境問題とか社会制度とか色んなことに置き換えられる。この物語もそのまま現実になりそうだし。
    あんたらのせいで、って指をさされる未来が見えすぎて怖い。

    「声をあげます」
    自分にポジティブな気持ちを向けてくれる人がたった一人でもいることの心強さと、そこから湧くパワーが真っ直ぐ描かれてた。
    登場人物がみんな魅力的。投獄は嫌だけど、いっしょに過ごしてみたい。
    ちなみにタイトル、意見を表明するって意味かと思ってたら、差し上げる方だった。共同体の平和のために、声をあげます。

    環境破壊、種の絶滅、競争社会、大量生産大量消費…
    もう手遅れかもしれない。それでも世界を諦めない。って決意表明みたいな物語たちだった。

  • やっぱりこの人の作品面白いなー。
    特に『七時間め』◎

  • ディストピアの物語においても、強く印象に残るのは登場人物たちの奮闘する姿(そこには痛みを伴う楽観性といったものが漂う)と、その人々が未来に向ける視線の強さだ。遠い未来のかすかな可能性に思いをはせることについて「乗り物酔いしたときに遠くを見ていると治るのに似ている」と表現したことがあった。
    (「訳者あとがき」より一部抜粋)

    その姿勢こそ、チョン・セランの小説の魅力と感じる。この時代においては、楽観だけでは嘘くさいし、悲観も浸ると辛くてしんどい。彼女の物語は、エンターテイメントとしての読書の楽しさがありつつ、社会問題の反映とその厳しさの中でのユーモアや勇気があるので、いつも読んで良かったと思える。

  • 「小さな空色の錠剤」を読んで手に入れたかった効果と引き換えに未来に起こる愚かな結末を嘆いたり、「メダリストのゾンビ時代」を読んで、アーチェリーで戦うシーンにグエムルを連想したり。SF小説を読むと予期せぬ事象を受け止める訓練になり世界が拡張した気がします。

  • チョン・セランの描くSFはサイエンス・フィクションというよりスペース・ファンタジーと解釈している。
    とっつきやすいSF。
    七時間めがコロナになる前の作品とするとぞっとした。

  • チョン・セラン(정세랑)のSF短編集。「ミッシング・フィンガーとジャンピング・ガールの大冒険」、「十一分の一」、「リセット」、「地球ランド革命記」、「小さな空色の錠剤」、「声をあげます」、「七時間め」、「メダリストのゾンビ時代」。

  • 巨大ミミズが世界を襲ったり、声で他人を覚醒させたり、ゾンビと戦ったりするSFよりの小説だった。
    個人的に読みづらさはあった。

  • CL 2022.4.27-2022.4.29
    軽快なSF作品。
    コミカルで軽いタッチの文体が好きかと言うとそうでもないのだけど、ディストピアを描くにはこれくらい軽やかなほうがいいのかもしれない。

    リセット:この世界観はすごい。現代文明への痛烈な批判なんだけど、深刻になりすぎない書き振りであっさり読めるのがいい。

    地球ランド:地球ランドには天使が生身の生物として存在するのか。あーこれは普通に愛の物語だった。

    SFは基本的にそうなんだけど、この作家は、舞台設定がブッ飛んでいて、もうそこから面白い

  • 声をあげます、リセット、地球ランド革命記、メダリストのゾンビ時代、小さな空色の錠剤が面白かった。
    メダリストのゾンビ時代でゾンビが流行っても電気とサブスクサービスが続いていることが妙にリアルな感じがした。
    小さな空色の錠剤であらゆる記憶が完全に残るのも大変だなと思った。
    地球ランド革命記は変な世界だった。

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著者プロフィール

1984年ソウル生まれ。編集者として働いた後、2010年に雑誌『ファンタスティック』に「ドリーム、ドリーム、ドリーム」を発表してデビュー。13年『アンダー、サンダー、テンダー』(吉川凪訳、クオン)で第7回チャンビ長編小説賞、17年に『フィフティ・ピープル』(斎藤真理子訳、亜紀書房)で第50回韓国日報文学賞を受賞。純文学、SF、ファンタジー、ホラーなどジャンルを超えて多彩な作品を発表し、幅広い世代から愛され続けている。他の小説作品に『保健室のアン・ウニョン先生』(斎藤真理子訳)、『屋上で会いましょう』(すんみ訳)、『声をあげます』(斎藤真理子訳)、『シソンから、』(斎藤真理子訳)、『地球でハナだけ』(すんみ訳、以上、亜紀書房)などがある。

「2023年 『八重歯が見たい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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