きいちゃん

著者 :
  • アリス館
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本棚登録 : 108
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (31ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784752001270

感想・レビュー・書評

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  • 身体の不自由なきいちゃんとその先生の話。きいちゃんが結婚するお姉さんのために浴衣を縫い、きいちゃんと先生は結婚式に出席する。そこで…。感動的なお話。しっとりと落ち着いた木版画の挿絵が素晴らしい。

  • 町の本屋の店主さんに、「この本は絶版になってしまって非売品だけど、読み終わったら読んで良かったなあと思える本だから、時間あったら読んでみて」と手渡された、障害がある女の子の絵本。
    シンプルな話だけど、泣けました。
    図書館にならあるのかな?ぜひ皆様も読んでみてください。

  • 養護学校の教員である著者が出会った、手足は不自由だけれど家族思いな努力家で可愛い”きいちゃん”という女の子が教えてくれた、愛と成長の実話です。

    お嫁に行くお姉さんのために、一針一針心をこめて縫ったきいちゃんの着物を着たお姉さんの花嫁姿は、それはもぅとても綺麗でした。。。

    その頁をコピーした紙が一枚挟んであったのですが、インクがやや色褪せていたので、数年前のものなのかな…
    挟んだことを忘れたまま返却してしまったのでしょうか。

    私もこの頁はとてもお気に入りなので、コピーした方の気持ちがよく分かる気がして、見つけたとき笑がこぼれました。
    上品な版画の挿絵は、一頁一頁がとてもとーっても綺麗で、頁を捲るごとに見惚れてしまうほど。
    絵が何か語りかけてくるような感じがしました。

    “リト””きいちゃん”と読み終えて、物語は違っても山本加津子さんの持つやさしい波長は変わらず伝わってきて心が温かくなりました。次はどの作品を読もうかな。

  • 小6の教科書に採用されたこともあり、読書感想文の課題図書にもなったことのある本。
    作者の「山元加津子さん」は養護学校の教師です。
    そこで出会った「きいちゃん」という女の子に起きた実話です。

    『きいちゃんは、教室の中でいつもさびしそうでした。
     たいていのとき、うつむいてひとりぼっちですわっていました。』

    小さい頃の高熱が原因で、手足が不自由になったきいちゃんは現在高校生。
    訓練のために、家からも家族からも離れて、山元先生のいる学校に来ています。
    ある日[お姉さんが結婚する]と、とても嬉しそうに話していました。
    しかしその一週間後、お母さんから式への出席を拒まれて、自分など生まれてこなければ良かったと、泣きじゃくるきいちゃんがいました。。

    ほとんどの方が何となく気まずくなり、それでもお母さんの言葉に多少頷くものがあるのではないでしょうか。
    後天的なものであっても、人はいらぬ詮索をするもの。
    自分の子を人々の好奇の眼にさらしたくなかったのかもしれません。

    でもこのお話の素晴らしいところはここから。
    先生は「それは残念だったね」で終わりにしませんでした。
    結婚式のお祝いのプレゼントを作ってみようと言うのです。
    真っ白な布を買って染め、浴衣を手縫いでしあげたのでした。
    不自由な手でなかなか上手く運ばないなか、完成した浴衣はお姉さんに無事届けられました。
    その後結婚式に出てほしいというお姉さんのお願いで、きいちゃんと先生は一緒に出席するのです。
    きいちゃんを見てひそひそ話しをするひとたち。
    お姉さんはお色直しであの浴衣を着て登場したのです。。。
    この先は書けません。どうぞ読んでみてください。

    この結婚式が、その後のきいちゃんにとってスタート地点になるのです。
    自分の持てる力を信じて強く生きていくきいちゃんに、わたしは憧れさえ抱いてしまいます。

    話が変わりますが、一年ほど前のある新聞の読者投稿欄にこういうものが載っていました。
    “生まれつき手足が不自由で車椅子の生活だけど、外に出ると色々な人のかけてくる言葉にとても傷ついている。それは「大丈夫ですか?」という言葉と「頑張ってね」という言葉。
    大丈夫なはずはないし、頑張ってるのは見れば分かることで当たり前。無責任な言葉をかけないでほしい。″

    わたしは暗澹たる思いになりました。
    縁もゆかりもない人にまで、自分の思い通りの言動を望むのでしょうか。
    「大丈夫ですか」は、何かお困りですか、お手伝いしましょうか、と受け取れるし「頑張ってね」は、単純な励ましと取れないのでしょうか。
    誰だってみな未経験のことは想像も出来ません。
    無関心であるよりははるかに良いと思うのは、間違いなんでしょうか。
    これでは、障害のあるひとに出会うたびにこちらがドキドキして避けることになります。
    でも、車椅子で暮らしたことのない私にそんな発言など出来ません。

    救いだったのは、その約一週間後、同じ車椅子で生活している方から全く違う意見の投稿があったこと。
    “人に求めるのではなく、かけられた言葉には感謝の言葉を言うのがいいと思いますよ。
    分かってもらえなくて当たり前。逆だったらわたしもそうです。
    いっそ具体的に何かをお願いしてみたらどうでしょう。
    声をかけられるのは、何かのチャンスだと思ってはいかが?″

    「きいちゃん」の話からは、人の出会いをプラスに持っていく勇気を与えられます。
    お互いの心の扉をノックしあい、一番美しい心を出し合ったのです。
    私もまたこんな風でありたいと願う、祈りのような作品です。
    あとがきまで含めてもわずか31ページ。
    機会があればぜひ手にとってみてください。

    • 胡桃さん
      猫丸さん
      リフォローありがとうございます。猫丸さんの本棚はとても素敵な本ばかりなので、そのままの猫丸さんでいらして下さいませ~!こちらこそで...
      猫丸さん
      リフォローありがとうございます。猫丸さんの本棚はとても素敵な本ばかりなので、そのままの猫丸さんでいらして下さいませ~!こちらこそです、こちらこそこれからもよろしくお願いします(^-^)♪
      2020/12/20
    • nejidonさん
      胡桃さん。
      「クリスマス・キャロル」の本で載せてみました。
      絵本ではないし、あまりお好みではないかもしれませんが名作なのですよ。
      私は...
      胡桃さん。
      「クリスマス・キャロル」の本で載せてみました。
      絵本ではないし、あまりお好みではないかもしれませんが名作なのですよ。
      私は大好きで毎年読み返します。
      一度読んだだけで身になれば良いんですが、それがなかなか、ね。
      良い本があって何度でも読めるって、幸せなことですね♪
      今日は「きいちゃん」についてお話できてとても嬉しかったです!
      ではでは、おやすみなさい。
      2020/12/20
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん 胡桃さん
      猫は気紛れで欲深く鬱陶しいですが、子どもの味方であるコトだけは、何があっても続けます、、、
      nejidonさん 胡桃さん
      猫は気紛れで欲深く鬱陶しいですが、子どもの味方であるコトだけは、何があっても続けます、、、
      2020/12/20
  • お姉さんのために先生と頑張って浴衣を繕ったきぃちゃん。今の自分にできることをする。それってハンディキャップがあろうがなかろうが大切なことだと思います。

    きぃちゃんにお姉さんの結婚式には出ないようにと言ったお母さん。どうして言ったかは書かれてないですが、きっと言わないといけない事情があったのだと思います。きぃちゃんも辛い思いをしたけど、同じぐらいお母さんも辛かったんじゃなかと思います。

  • 泣きました。いい話です。

  • 本屋さんで手にとって読みはじめると、涙がとまらなくなってしまってとても困りました。その場で読んでしまったのですが、そのままレジへ持って行きました。立ち読みで読んでしまった本を買ったのは、はじめてでした。夫にも読ませてあげたかったのです。泣き虫ダーリンは、涙をかくすのも忘れて読んでいました。

  • 感動で涙がポロポロ(2000.9.8のHP日記より)。

    【「BOOK」データベースより】
    養護学校の教員をしている著者が、そこで出会った、大切な友だち。きいちゃんは、きいちゃんとして生まれ、きいちゃんとして生きてきました。そしてこれからも、きいちゃんとして生きていくのです。
    【「MARC」データベースより】
    小さい時に出した高熱がもとで手や足が動かなくなってしまったきいちゃんはいつも淋しそう。そんなきいちゃんがお姉さんの結婚式に出席することを嬉しそうに教えてくれました。ところが、お母さんに出席を拒まれてしまい…。
    ※2000.9.8読書のすすめから到着
     2000.9.16読了
     売却済み

  • きいちゃんとお姉ちゃんのお互いを大切におもう気持ちに涙がでました。

  • 2017年度 6年生 2月
    きいちゃんは小さいときに高熱が出たため手足が思うように動かなくなります。
    いつも悲しげだったきいちゃんが「お姉さんの結婚式に出られる。」
    と嬉しそうに訓練学校の先生に報告します。
    でもお母さんはお姉さんが肩身の狭い思いをしてはいけないと、きいちゃんに式に出ないでほしいと言います。
    きいちゃんは大きなショックを受けますが大好きなお姉さんのため不自由な手で苦労しながら綺麗な浴衣を縫い上げます。
    その後お姉さんが「どうしてもきいちゃんと先生に式に出てほしい。」といいます。
    先生は迷いながらもきいちゃんと式に出ますが、きいちゃんを見てヒソヒソ話す人がいます。
    先生はきいちゃんを心配しますがお姉さんが二人を前に呼び、きいちゃんが高熱のため手足が不自由になったこと、不自由な手でこの浴衣を一生懸命縫ってくれたこと、そして『妹は私の誇りです。』と話します。
    その後きいちゃんは自分の夢をみつけ夢を実現し力強く生きています。
    初めての朗読でしたが子供たちも最後まで聞いてくれ目を潤ます子供たちもいました。
    この先どんな困難にぶつかっても負けないで強く生きていって欲しいと思います。
    2003年度  5年生  11月  11分

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著者プロフィール

作家 元特別支援学校教員

「2022年 『ネネット こころのなかにとりのつばさをもつおんなのこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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