- Amazon.co.jp ・本 (151ページ)
- / ISBN・EAN: 9784752005940
作品紹介・あらすじ
故郷を追われたマナポがたどりついた、タイの難民キャンプ。なに不自由ないくらしだけど、なにか足りない…やがて図書館員になる中で、民族の誇りと希望をとりもどしてゆく。
感想・レビュー・書評
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リロダとは図書館という意味。タイにあるミャンマー難民キャンプの話。
書かれたのは2012年。2018年から約2年間、私は技能実習生、留学生、会社員などで日本で暮らすミャンマー人と多く接していた。
ミャンマーに日本語教師として行った知人もいて、これからどんどん発展するかと思っていたところへクーデター。
この本を読んで、そういう世界の出来事に関心を持つきっかけにしてほしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルの「リロダ」とはミャンマー(ビルマ)のカレン族の言葉で「図書館」を意味する言葉主人公の少女マナポはミャンマーのカレン州の小さな村に家族とともにくらしていました。民族同士の内戦に巻き込まれ、命からがら村を離れたマナポの一家はタイの難民キャンプを目指します。たどりついた難民キャンプでは外国の支援団体による、食べものや学校があり不自由のない生活ができましたが、故郷や途中で別れてしまったおじいちゃん、おばあちゃんを思うマナポの心にはいつも満たされない思いがありました。
高校生活ものこりわずかになった頃、日本のNGOの支援でリロダ(カレン語で図書館)が建設されるという知らせが入ります。図書館員となったマナポは、カレン語の本を準備する作業、文字の読めない子どもたちに本を読んであげる仕事などを通じて、民族の誇りを取り戻していきます。
この物語は著者が実際にタイの難民キャンプで図書館建設の支援をした経験をもとに書かれています。「学ぶこと」「身近に本があること」で、いかに未来が広がるかということを伝えてくれる一冊です。 -
タイの難民キャンプに一家で逃れてきたマナポ。食べ物も住むところも学校で学ぶこともできるようになった。
マナポが高校を卒業し、仕事の事をかんがえた時、日本のNGOの働きで難民キャンプにリロダが作られ、リロダサラムー(司書)を募集した。図書館というものを全く知らなかったマナポだが、本が大好きなマナポは日本から来た司書に読み聞かせや、いろんな技術を学び、中央リロダで働くことになった。
はじめはリロダがどんなものか知らなかった人々もリロダで本を読む楽しみを知ってゆく。
字を読めなかった子供もいたが、学校で学ぶことが必要ないとおもっている大人の心を動かすことになった。
故郷を追われがために、自分たちが語り継いできた文化が消えてしまう悲しみを感じていた人も、図書館で残せるという希望をみることもできた。
台風で図書館の建物が押し流されてしまったが、人々の暮らしの中で図書館の存在は欠かせないものとなったいま、図書館再建のためにみんなが力を貸してくれるまでになった。
日本のNGOの活動が実を結んで、本を読む楽しさ、学びのすばらしさを知る人が増えていることを知り、嬉しい。
こんな活動がもっとひろがってゆくといい。 -
資料番号:020252086
請求記号:F/ワタナ -
★★★★☆
紛争の中、故郷を離れ難民キャンプで暮らさざるを得なくなった少女と家族のお話。
少女は学ぶ楽しみを覚え、やがて難民キャンプの中に『図書館』が出来たとき司書として働き始める。
・弾圧されていた自分たちの言葉を守る・伝える。
・誰でもが学べ、くつろげる場所。
(まっきー)
今回の「読書感想画課題図書」の一冊です。ミャンマーで暮らす少女マナポが心身共に成長していく様子が描かれています。「リロダ」とはミャンマーのカレン族の言葉で「図書館」のことです。さまざまな困難の中でつまずきながらも前を向いていく彼女に感動です!
(松雪) -
「私たちのリロダ(図書館)」という言葉に、涙が溢れそうになりました。
難民キャンプに作られたリロダ。
日本は物理的には豊かな筈なのに、今の日本の図書館・学校図書館に関する人・物・行政は…貧しいというか、まだまだだよねと実感しています。
個人でできること。団体でできること。自治体が、国ができること。
いろんなことを考えましたが、まずは自分がどうするんだと、マナポたち問われているような気がしました。
幸せって、豊かすぎると気づきにくくなるんですね。
図書館のある幸せを伝えたいなぁと思いました。 -
タイにあるビルマからの難民キャンプにつくられた図書館と読書をめぐる話。
リロダとはビルマのカレン族の言葉で「図書館」のこと。
物語はフィクションだけど設定は現実の出来事で、著者は図書館設立にかかわったNGOの人。
ビルマに住んでいたマナポは戦火を逃れタイの難民キャンプで育つ。
リロダが設立されることになり、リロダサラムー(図書館員)になる。
ビルマの小さな村にいたころは学校がなく、遠くの学校に通うには危険すぎて勉強できなかった。
図書館があれば学校に通えない人も学ぶことができる。
水害で図書館が流されるところで3.11を思い出した。
私は被災しなかったけど、図書館が臨時休館しただけで不安になった。
被災地の花屋さんは、こんなときに花なんてなんの役にも立たないと思っていたけれど、死者にささげる花を求める人がたくさんきたと語っていた。
別の本にでてきた太平洋戦争のときに物売りをしていた人は、「一番大変な時に花が売れた、ちょっと希望がでてきたら食える種ばかり売れた。希望がないときには美しいものが必要だったのかもしれない」と言っていた。
そういう、心の栄養の話。
「ここにいると、毎日、毎日、ただ時間だけが流れていくよ」p62
これは難民キャンプにいる、片足を失ったおじさんのセリフ。
「Japanレポート3.11」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4896423860の中で、仮設住宅の被災者が毎日どうすごしているかという質問に食事をするだけと答えていた。することがないのは苦痛だ。
本は、そういう希望。心の栄養。
著者視点の大人版「図書館への道」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4790291030