ソースコードの反逆: Linux開発の軌跡とオープンソース革命

  • アスキー
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784756141002

作品紹介・あらすじ

オープンソース・ソフトウェアの開発はすべてが順風満帆だったわけでなく、いくつもの障害に立ち向かう必要があった。オープンソース革命の真実。

感想・レビュー・書評

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  • LinusとMINIXの決別の発端がコミカル。
    「この当然とも思われる苦情が投稿された日,Linusは彼のマシンで発生した興味深い事件を報告していた。Linus はヘルシンキ大学のサーバに接続しようと,端末エミュレータで間違ってHDに電話をかけてしまったのだ。言葉で言う際の難しさに比べて,これの処理を実際に行うのは実に簡単である。Peter Salus が「(Unixの開発者が)いままでに創案したものの中で最も革新的だ」と指摘した概念によって,「Unixで(したがってLinuxでも)すべてのものはファイルとして表現される。したがって,モデムにデータを書き出すことも,HD にデータを書き出すことも概念上の違いはまったくないのである。
    このちょっとした間違いは,LinusがHD上に着実に発展するLinuxと一緒に維持してきた MINIX 環境を一瞬にして破壊した。(後略)」

    『「私たちは、いまたくさんのサービスを行なっている。ここ数年で私が学んだ、当然の教訓の1つに、純粋にオープンソースの要素を基盤とした商売を行うのであれば、最大の好機はサービス分野にあるということだ」とOusterhoutは言う。』(p298)
    なるほど、と思ったが、IBMを始めとする大企業がこれを行い始めた途端、ベンチャー企業は軒並み潰れていくことになってしまった。

    Sambaを開発したAndrew Tridgellの話がすごい。
    通信されるパケットを観察してプロトコルを解析しソフトウェアを実装した、とある(p327)。観察するだけで同じ動作をするプログラムを作るなんて…。

    この本では、OSS初期の出来事が広範に描かれている。しかも、それに携わった優秀なプログラマーの話も詳しく書かれている。人物が出てくるたびにネットで調べていったら勉強になった。

    章立てはGNUやLinux開発の経緯や、OSSの転換となる出来事などで区切られている。後半は急に時間を遡ったりしてわかりにくかったかも(これは訳の問題?)。

    日本語が難解なので読むのが大変だった。特に後半がひどい。
    技術系の話の日本語訳がこんな感じになってしまうのはしかたないことなのだろうか。

  • Yキャンパスの図書館で、タイトルにつられて借りた本。

    途中まで読んだが、Linuxの開発の歴史やGNUとの関わりが頭の中で整理されていく。UNIX系OSを購入できない、購入したくないハッカー達の苦労がつづられている。Linuxの開発者Linusだけでなく、GNUを提唱したStallmanなど周辺人物が細かく紹介されているのがよい。Debian GNU/LinuxやBSD系OSの歴史を改めて知ることができている。逆にそのあたりの歴史的経緯や各ディストリビューションについて漠然とした知識がないと何のことだか分からないで終わってしまうかもしれない。

    しかしこれらの偉大な天才達の偉業には驚かされる。C言語を2日で覚えた、とか、幼い頃からOSをハックした、とかだ。そのような進んだ人たちと同じ土俵にあがるのはやはり怖い。先日読んだ記憶力の話を引用すれば、指数関数的に伸びていくはずなんだが、果たして目に見えて近づくことはあるのだろうか。

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