おとぎ話の古書案内

• パイインターナショナル (2012年10月19日発売)

作品紹介・あらすじ

夢のような、おとぎ話のアンティークブックを大公開!かわいい子どもの絵本・たのしいしかけ本・瀟洒な大人の挿絵本etc…魅惑的なヨーロッパ絵本の世界へようこそ。

感想・レビュー・書評

[nejidonさんの感想 · 2020年4月9日]

一見すると分厚い図鑑のよう。でもその中身は煌めくミュージアムさながらだ。
300ページ弱のオールカラーの本で、豪華そのもの。
待ちに待って、また待って、ようやく入手した本。
手の届かない夢のような本だと思っていたものが、目の前にある。もう、賛辞しか浮かばない。

①子どもの本の世界
②絵本の中の動物たち（小さめの冊子で挟まれている）
③大人の本の世界
④おとぎ話の魔法の世界

これらに項目をわけて、出版当時の装丁の本の画像と共に挿絵と解説でアンティーク・ヴィンテージの本の世界を愉しむ本。付録に「美しい魔女の図鑑」付き。
そして・・何と！①と③と④には、扉に切り抜き窓が付いている。
美しいおとぎ話の道案内は海野弘さんによるもの。
海野さんは他にも同系列の本をたくさん出されている。
全部揃えられたらどんなにいいだろう。きっと私、もう何もしないかも・笑

子どものための絵本が出てきたのは19世紀以降。
子守歌や民謡が、子どもの本のはしりだったらしい。
19世紀後半の第一次黄金時代の挿絵は、ひたすら愛らしく優しくフォルムも丸く、人物の描写に重きが置かれている印象だ。
20世紀に入ってアメリカや日本も市場に加わり、第一次世界大戦の前までが第二次黄金時代。
デュラック、ニールセン、ステレット、マッケンジー、繊細でロマンチックで、女性らしい優しい線が現れる。ベースや背景の色にも工夫を凝らし、空間を生かした大胆な構図も実に多彩。

第二次世界大戦後の新しいスタイルの中心にいたのが、東欧の国々。
大戦や占領などの危機に苦しんだが、その中で多くの芸術を生み出したその訳は・・
囚われ、自由を奪われていたからこそ、おとぎ話の世界の自由に憧れ、子どもの夢を希求していったのでは、という海野さんの解説がある。
ハナーク、グラビアンスキー、カーロイ、絵はずっと躍動的で色彩も明るい。
「しかけ絵本」の登場もあり、まるで小さなオペラハウスといった「シンデレラ」や劇場型の「眠れる森の美女」も。ここは一面ずつ丁寧に載せている。

こうして歴史を知ると、平和であることの有難さをしみじみと感じる。
作家さんと画家さんの自由な想像力で本が作れ、それを味わうことが出来るというのは、実に幸福なことなのだ。
本の後半に現れる大人の絵本にいたっては、妖艶で背徳的で秘密めいている。
ハリー・クラーク、ラボチェッタ、バルビエ、フィッシュなどが様々な愛の形を描いており、女性である私がひとり堂々と眺められる今の世と言うものに、感じ入ってしまう。
以前レビューに載せたアーサー・ラッカムは④の絵で登場。「オンディーヌ」の美しさ！

時の流れの中で、色褪せることのない古典のおとぎ話たち。
行ったこともない国でも、一瞬にしてその中に入り込める不思議な魅力に満ちている。
読み終えた昨日4月8日は私の誕生日。素敵な記念になった。
そっと背中を押してくれたブク友さん、本当にありがとう。
心の底に、澄んだ綺麗な水が深々と蓄えられていくような、そんな気持ちになる。

[nejidonさん · 2020/04/11]

ぴよこさん、ありがとうございます(^^♪
いくつになっても誕生日は嬉しいものですね！
もういい大人なので特別なことはしなかったのですが、いい気分で過ごしました。
はい、この本はぴよこさんにもきっと喜んでいただけると思いますよ(*^^)v
歴史の中でご贔屓の画家さんに出会えるかもしれません。
ナマの絵を目にすることはとても無理ですが、本になったもので「流れ」として
見られるのがすごいことだと思います。
そうそう、円谷プロや水木先生のお仕事にも同じものを感じます！

ぴよこさん、感染症なんかに負けないようにお互い頑張りましょうね。
注意しつつ、静かに穏やかに過ごして乗り切りたいです。
とても嬉しかったです、ありがとうございました。

[地球っこさん · 2020/04/11]

nejidonさん、遅くなりましたが、
お誕生日おめでとうございます☆
nejidonさんのレビューには、いつもハッと気づかされることが沢山あります。
本当にnejidonさんと繋がることができて良かったなと思います。
これからもよろしくお願いします。

この本、とても素敵。
宝物ですね。

[nejidonさん · 2020/04/11]

地球っこさん、ありがとうございます(^^♪
お祝いの言葉は、もう何度言っていただいても構いません・笑

ハッとするところ、ですか？
うーん、うーん、自分では分かりません。
たぶん地球っこさんの感度がとても高いのではと思います。
私の方こそ、そんな地球っこさんと知りあえて本当に良かったです！
ふふ、両想いってことで・笑

はい、この本はため息ものの素敵な本ですよ。ただただ美しいのです。
もし手に取ることがありましたら、うっとりしながら眺めて下さいませ(#^^#)

[imogenさんの感想 · 2013年4月3日]

前世期の挿絵本や絵本にとても興味があるのですが、
オリジナルはもう美術品扱いですし、入手がなかなか難しいです。ずばり高いです。
この本では、可愛い凝った装丁で、19世紀～20世紀初頭の黄金期の挿絵からロシアや東欧の絵本まで、とても幅広くさまざまな作家さんを紹介してくれます。図版も大きいので見応えがあります。この本がきっかけで蒐集を始めてしまう方もいるかも??
かくいう私も「ファウスト」のハリー・クラークの挿絵がやっぱり好きなので荒俣先生訳の本など買っちゃおうかなあと思っています。

[imogenさん · 2013/04/21]

お返事ありがとうございます。
表現を極めたいという欲求・・・うーんすごいですね!
でも素晴らしい挿絵本、絵本がどんどん生まれた時代ならではの熱気を感じます。絵師と技術士、発行元がすべて限界を超えたものをつくりあげてしまうような…そんな空気。すごい現場だったでしょうね。

[nejidonさん · 2013/04/26]

はじめまして。
先日は「ふしぎなオルガン」をお気に入りにいれてくださってありがとうございます。
この本、魅力的ですね。
入手が難しそうな上に、価格もかなりのものになりそう。
でも読んでみたいです。
海野弘さんの「江戸ふしぎ草子」を読んだことがありますが、面白かったですよ。
毎夕穴を掘って、朝になると埋めている老人の話とか。
あの方の本なら食指が動いてしまいます。
ご紹介いただき、ありがとうございました。
本棚のラインナップも素敵ですね。
また覗きに参りますね。どうぞよろしくお願いします。

[imogenさん · 2013/04/26]

nejidonさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
「ふしぎなオルガン」とても素敵なレビューでした。
ぜひ読んでみたいと思ってポチっとさせていただきました♪
nejidonさんの本棚は絵本もたくさんで、読みきかせをしていらっしゃる体験を交えて書いてらっしゃるのがとても素敵ですね。
子どもたちはとても素直に反応するので、
どんな本をどんなふうに感じるのかとても面白いですね。
こちらこそ、ぜひときどきお邪魔させてください。
フォローさせていただいてもよろしいでしょうか?どうぞよろしくお願いします。

ところでこの本の海野弘さん、江戸の小説も書かれているのですね。「太陽」編集長だったり、アール・ヌーボーやデコなど欧米の世紀末美術などに造詣の深い方というイメージなのですが、さまざまの世界をお持ちの方なのですね。
この本自体は最近の出版ですが、古い時代の美しい挿絵本や絵本を紹介していて(かなりバラエティに富んだ内容です)、しかし、それらがなかなか入手困難なのです。
私はチェコのミルコ・ハナークやグラビアンスキーなど、東欧の鳥や動物の出てくる絵本が大好きで、集めているのですが絶版が多くてなかなか集まりません…。

[enochicoさんの感想 · 2012年10月23日]

美しい挿絵本、楽しい仕掛け本などの紹介。
ただ眺めているだけでも面白い。

[猫丸(nyancomaru)さん · 2012/11/28]

｢ただ眺めているだけでも｣
タメ息が出ます。
コノ手の本はお財布の敵かも知れません。。。

[minatoさんの感想 · 2021年1月29日]

素敵な挿絵の数々で、小さい時の絵本として出会いたかったな。知らないおとぎ話が多くて絵本を読みたくなりました。

[megumiさんの感想 · 2020年4月23日]

夢見心地の1冊。絵本in本になっていて、19世紀から20世紀の絵本の黄金時代をテーマ別にたどる。てなじみのいいビニールカバーの装丁が好ましく、ページをめくっていくと小さな綴じ込みの付録が出てきたり、切り抜きの扉が現れたり、細部までこだわったつくりで本フェチの気持ちをすっかり満足させてくれる。グリーナウェイ、デュラック、ニールセンから東欧や仕掛け絵本、アール・デコに目配りされ、おとなの絵本も収録。どの画家もすてきで発見がある。少女マンガで育ってきたわたしにはうっとりするような“原本”の世界。飽きずに何度でもながめてしまう。

[朱夏さんの感想 · 2017年7月5日]

昔の子供向けの本の挿絵と挿絵画家。
仕掛け絵本の解説。
動物。魔法使い、妖精、トロルなどなど。
大人向けの絵本はかなり深読み希望な感じ。
エドマンド・デュラックが好みだった。

[りおさんの感想 · 2013年1月24日]

仕掛け仕立てになっていて、より目で楽しむ内容になってました。ヴァージニアの絵は寒色の表現がとても綺麗です。好きな画家の絵が紹介されてて嬉しかった！古書紹介といいながらも童話挿絵で活躍されてた画家を知るには良い資料になる。

[猫丸(nyancomaru)さん · 2013/06/17]

｢寒色の表現がとても綺麗｣
デザイン的に素晴しいし、淡い色の重なりが、この世のものとは思えない美しさですよね。

[hakanaixxさんの感想 · 2012年12月6日]

世界のおとぎ話がのっている本。

とりたてて面白いとかそういった類のものではなく、持っているだけで嬉しくなるような本です。装丁も素敵。
デカイし。
暴漢に襲われたときには武器にもなる優れモノです。

[ソマリさんの感想 · 2024年3月26日]

文字通り古書の案内。
挿絵の方がフォーカスは多し。
眺めているだけでも楽しくてわくわくする本。
大きめのアーサー・ラッカムの図版が嬉しい。
他にも敵な挿絵画家を多く知ることができた。
デザインを真似て自分なりに落とし込みたい挿絵も沢山。

[九州産業大学・造形短期大学部 図書館さんの感想 · 2022年3月1日]

九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC）へ↓
https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1148355