無限の本棚: 手放す時代の蒐集論

  • アスペクト
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757224599

作品紹介・あらすじ

「コレクションの鬼になれ。僕が『蒐集』の文字を使うのは、文字に鬼が入っているからだ!」
蒐集にとりつかれ、50年の人生から導き出された驚愕のコレクション論!
何も集めないコレクター、溜め込むことから開放された「エアコレクター/エアコレクション」とは?

子供の頃から、常に物を集めていた。
集めるという行為が好きで、蒐集が趣味ともいえよう。
集める対象も増えれば、物も溢れかえる。
だが、収納スペースも、家計も家族も気になる。
手放しては集め、集めては手放すを繰り返した。
そして、物欲は無くなったと思った。
なのに集めている。
蒐集欲は物欲だけではなかったのだ。その正体とは……?

もう、収納スペースも、家計も家族も気にならない。収集欲は物欲だけじゃない。
物は何も集めない「エアコレクター」。
日本一ブックオフに行く男が語る、無限に集められる「エアコレクション」とは?

この世に集められていないものなどない。
途方もないコレクション論のはじまり。

─ガタガタ言ってると集めるぞ、コノヤロウ!─

感想・レビュー・書評

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  • バカだな、この人。
    好感もてました。
    「標高」は、声を出して笑ってしまった。

  • タイトル回収が秀逸。
    古本屋を営みながら原稿書いて生計たてるとか、夢にまでみた夢のような話を実際にやってる人。
    でもそこに至るまでにはもちろんいろいろあるし、お気楽に生きられるわけじゃない。
    夢のような話を実現するためにはどうしたらいいのか教えてくれる。
    自分のコレクション歴も紹介しながら、人は何故コレクションするのか?についても掘り下げていく。

    私は切手採集も雑誌の切り抜きもしたことはなく、物が増えるのは嫌いで、記念品とか期間限定とかにもあまり興味がない。
    コレクターとは無縁だと思ってたけど、この本読んでからは「私も立派なコレクターだったんだ…」って思っちゃった。

  • 2016年4月24日「一之輔のそこがしりたい」

  •  神保町に古本屋を開業したフリーライターさんのお話。2012年10月、51歳のときエレベーターのない雑居ビル4階にオープン。客からの買い取りはせず、ブックオフのせどりで、自分の興味がある変な本を集めて売るスタイル。「毛」「人食い」「お金持ち」「ハウツー本」など奇妙なジャンル分け。
     もともとはゲームデザイナーやゲームライターだった筆者。震災の年に、11歳だった娘を残し、病気の妻に先立たれてしまう。残された保険金を元手に、昔からの夢だった古本屋を始める。古書店組合にも加入せず、仕入れはせどり、本棚は譲り受け。客が来ない合間にライター家業もしている。特殊古書店を標榜し、ライターのネタにもなり、一石二鳥だという。
     北尾トロ「ぼくはオンライン古本屋のおやじさん」、志多三郎「街の古本屋入門」(光文社文庫)青木正美「古本屋四十年」(福武文庫)田中美穂「わたしの小さな古本屋」などが開業の参考になったそうだ。正直、筆者の中古レコードや野球カード、ジッポのコレクションの話はどうでも良いが、これからも古本屋を続け、経営の苦労や面白話をもっと書いていってもらいたい。

  • 子供の頃から、常に物を集めて生きてきた。集めるという行為が好きで、蒐集が趣味ともいえよう。集める対象も増えれば、物も溢れかえる。だが、収納スペースも、家計も家族も気になる。手放しては集め、集めては手放した。そして、物欲はなくなったと思った。なのに集めている。蒐集欲は物欲だけではなかったのだ。その正体とは…?日本一ブックオフに行く男が語る、無限に集められる「エアコレクター」とは?蒐集にとりつかれて50年の人生から導き出された驚愕のコレクション論!(帯)

    内容はとっ散らかっています。
    ただ、そのいくつかが自分にすごくヒットして、手元に残していたい一冊と思いました。
    収集と蒐集。
    エアコレクター。
    ブックオフめぐり。
    回数も行った場所も比べ物になりませんが、私もよくブックオフに行くので、いつかどこかでお会いしたい。

  • 著者のコレクター遍歴とコレクター哲学(?)が存分に披露される。
    著者経営の「マニタ書房」含む古本屋事情も惜しみなく語られ、興味深い。

    コレクター遍歴の方は、受ける印象は人それぞれだろうが、私としてはかなり共感できる部分があり、思わず笑ってしまう箇所も多数あった。

    蒐集欲とは、「物欲」(=所有欲)と「整理欲」(=バラバラのものを秩序立てること)からなるものである。
    後者があまって「エアコレクション」(=現物を集めずに、集める行為を楽しむこと)の地平に達したのが著者である。
    これまた共感できるところが多かったが、自分は「物欲」派の傾向も強いことに気づかされた。

    本書を読むと、古本屋に行きたくなるし、何かをコレクションしたくなるし、古本屋を経営してみたくなるし、何より多趣味でありたくなる。

    色々な観点から視野を広げてくれる良書。

  • コレクターの蒐集欲には、物欲と整理欲があるという指摘がおもしろい。蒐集欲は収納の問題に直面してあえなく手放さざるを得なくなるが、古書店を営むことによって延々と蒐集の楽しみを味わうことができるというのが、この本の主題。客からの買い取りはせず、ブックオフで見つけたものを購入しているらしい。

    読み物としても、所々に著者のマニアックな一面が描かれていて、ぷっと笑ってしまうという面白さもある。

  •  自分は物欲がないからコレクターではないと思っていたのだが、無数に映画を見続けている事や聞き始めたラジオ番組をコンプリートで欠かさず聞きつづけなくてはならないというような気持ちは整理派の気質であり、エアコレクターの一人であったのかもしれないと思った。釣りも好きなのだが、釣ってみたい魚をリストアップしてサイズにはあまりこだわりがないのもそうなのかもしれない。今までなかった着眼点を提示していただきとてもスリリングだった。

     作者のとみさわさんは勝ち負けには関心がないとおっしゃっているが、誰かと争うわけではないけれど世界一を目指していらっしゃるのはすごく負けず嫌いであると思った。

     僕も本を出してはいるもののヒットと言えるようなものはなく、まるっきり人知れず描き続けており、果たしてこんなことに意味があるのだろうかと虚しくなる時がある。しかし、とみさわさんのような顕微鏡のような目を持って本と接してくださる人がいると思うと励まされる。

  • コレクターには、物欲タイプと整理欲タイプがいる。
    もちろん両方もっている人もいる。
    う〜ん納得。
    そして物欲には当然財力が必要。
    そうなのだ。
    そこに問題があり、かつ先行している人に追いつけないのだ。
    そして今は、ネットで先行している人の情報がイヤというほどわかる。

    なので、エアコレクターや誰もやってないコレクションを考える、という部分には、共感出来た。

  • 「エアコレクション」というのが目からうろこの発想であった。

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著者プロフィール

とみさわ昭仁(とみさわ・あきひと) | 1961年、東京都墨田区両国生まれ。プロコレクター、ライター、日本一ブックオフに行く男、ナスカジャン考案者、特殊古書店マニタ書房 の元店主。変な歌謡曲レコードのコレクターとしてテレビ・ラジオに出演することも度々。本書にもある通り、ファミコンの黎明期にゲーム開発者としても活躍していた。著書に『無限の本棚〈増殖版〉』(ちくま文庫)、『ゲーム ドット絵の匠 ピクセルアートのプロフェッショナルたち』(ホーム社)、 『レコード越しの戦後史 歌謡曲でたどる戦後日本の精神史』(Pヴァイン)、『こちら葛飾区亀有公園前派出所 こちゲー -こち亀とゲーム- 上・下巻』(ホーム社)などがある。

「2021年 『勇者と戦車とモンスター』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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