- Amazon.co.jp ・マンガ (188ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757508286
感想・レビュー・書評
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特別に憧れて。平凡を欲して。ふたつの共通点は少女。
宇宙人から力を与えられ「守護者(ガーディアン)」という名の魔女っ子に変身し、宇宙犯罪者を送還する役目を負った二人の少女。
しかし、相次ぐ戦いとは関係ないところで精神をすり減らしていく主人公「如月古雪」はハートフルでなくストレスフルな日常から離れるべく、敵の洗脳に全力で乗っかって現実逃避しつつ猫耳を生やしたりするのでした。
主人公、それでいいのか? という疑問には一巻の流れと、後述しますが直後の両親襲来の話をもって納得いただけることと存じます。
フラストレーションの表れなのか古雪の闇化フォームはセクシー系だったりしますし。
で、一巻でも触れましたが、こちら精神寄生系の敵を最後にクライマックスまでまともな戦いが描かれることはほぼなくなります。
錠前を開く/閉じる鍵モチーフの魔法の杖を活かした新魔法もここでほぼ打ち止め、詠唱と魔法名のセンスが非常にいいと思うだけにいささか残念ではあります。
けれどむしろ味方同士で争ったりマスコットを雑巾みたいに絞ったりが安定のリアクションになっていくのでその辺は気にしないが吉です。
一体ずつ出現する敵に対してツーマンセル、スリーマンセルで当たるのが基本形となるのがひとつ。
あと作中設定上でも、約一名が常時想定を越えた力を引き出しているので、ギャグ補正抜きでも搦め手を用いる敵を除いては相手にならないのは当然と言いますか。
で、魔女っ子趣味を押し付けつつも妹の古雪のことが可愛くて仕方がない兄「如月樹」がいいとこ見せたと思ったら、輪にかけて非常識ではた迷惑な両親が帰ってくるのがひどい。
ざっと流せば流せる範囲ではあるものの、実験で街に被害をもたらし、権力でもみ消した後で何事もなかったかのように去っていくってひどい。
ひどすぎる。
(ちなみにこの漫画、破壊活動後に魔法パワーで街の修繕がされるとかの設定はないです)
で、この辺の主人公のイラつきが読者とシンクロするというか、本格的にヒロインとしてやっちゃいけない顔をしてもまぁ仕方ないよねって雰囲気はこの辺から。
一巻終盤で登場した魔女っ子仲間「早乙女リリカ」こと本名「山田良子」共々主人公が大暴れする土壌が整っていきます。ここからも面白いんですよ。
常時闇墜ちしたまま正気を保って(?)味方サイドに身を置いて戦ってるヒロインとかはじめて見ました。
作中で自身が語っていましたが、力を得たことで自分を取り巻く現実を変える道を選んだ山田さん、本作を牽引するパワフルなヒロインだと思います。
ピロスケと違って特に何も悪いことをしていないお付きマスコット「エルザ」の身を全力で案じなければいけないことを除けば……。
物語上は特に語られる必要のなさそうな平凡で人の好さそうな関西人家庭に生まれ、魔女っ子という「特別」になった今も憧れ続ける山田さんが、だからこそ望んで己の道を突き進むのがカッコいいんですよ。
嫌味で高慢ちきなお嬢様の態度が板についているのに、生まれもあって可愛げも気高さも女の嫌なところも返り血も全部併せ持っていて不思議ではない。
山田さん、「自分が主人公であると思い込んでいる脇役」ポジションではあるんですが、同時に主人公が本当に求めている「平凡」を持っています。
つまり、正反対の二人が求めているものはお互い自分がいらないと思ってるものだったっという皮肉ですね。
お互い足りないものを補い合い、競い合う中で高め合う主人公とライバルの関係ともいえるし、ダブル主人公ともいえる。
で、魔女っ子ならぬ第三の魔法少年の登場によって恋の鞘当てが――! ってならないところも王道を外してきてなかなかに面白いところ。
三人目「桐島雫」くんについて本格的に触れられるのは次巻になるのですが、あのミスリードにはやられました。
読み返してみるとかなり完成度が高かったです。個人的には四巻を推したいですが、笑いが満遍なく散っている上に二人の少女の対比が美しいこの二巻もなかなか。
常時華のある美少女と陰のあるメガネっ子って外見の対照っぷりもいい。
そのようなわけですので、夢に憧れるあまり、ノリで現実を振り回すヤバい人たちが増えていき、とうとう本筋まで浸食し始める、そんな三巻のレビューでお会いしましょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シリーズの中では一番面白い一冊だと思います。展開がワンパターンな気もするけれど、やはりギャグは面白いです。
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兄さん最高だ。大好きさ★