君と綴るうたかた(4) (百合姫コミックス)

著者 :
  • 一迅社
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本棚登録 : 99
感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・マンガ
  • / ISBN・EAN: 9784758024518

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  • 1巻の表紙と様々な点が真逆になっている4巻の表紙、1巻の頃はグイグイ来る夏織を雫は理解できないままに関係が構築されていった。けれど今は明確な拒絶を示した夏織に雫がグイグイ行くターンへ
    あの頃の雫は内に籠もっていたから自分と関わろうとする夏織を理解できなかった。けど今は理解とかそういうものじゃなくて、夏織との繋がりをとても大切に感じている。だから雫にとって突然の拒絶は得たものを失うような現象
    夏織としてはいずれ訪れる絶対の別れを理解しているからこそ、その時に雫が傷ついてしまうと理解しているからこそ、雫を拒絶しているわけで…

    そういった一種理性的な夏織の判断、それをあの雫が感情的に「嫌だ……!」と叫ぶシーンは良かったなぁ…
    夏織は未来の喪失を危惧するから雫と別れようとした。それに対して雫は「夏織からしかもらえないものが欲しい」と残された者へ残されるものを欲した。それはいずれ居なくなってしまう夏織には残せるものが有るという意味で
    雫が提案した二人の恋愛小説はまさしくそれを体現する作品になるのだろうね


    そうして再スタートを切った二人の関係は何処か雫の方が積極的なものになったね。自分の苦しみを必要以上に表沙汰にしない夏織に対して、少しでも夏織に無理をさせないようにする雫。それは夏織の閉じた心の扉を優しく叩き続けるようなもの

    それにしても自分の感情をそのままに著した恋愛小説をその相手に毎日見せるって凄い状況……。これ、ちょっとしたメンタルじゃ到底出来ない行為の気もするのだけど、夏織を繋ぎ止めるためとは言え、いつの間にか雫も随分積極的になったものだね
    その積極性は市川芹にも発揮されていたね。正確には夏織をもっと知るために芹にも関わろうとしているといった感じだけど

    芹から発せられた「恋人なのかと思った」との言葉、これに悩まされつつも紙上に綴られる恋愛を継続する雫と夏織
    ただ心情だけを記すと苦しい現実そのものも記さなければならなくなる。そうして夏織の希望を反映する形で始まったのは理想の恋人の幻想。これはいずれやって来る終わりの時にどのような意味を持つのかな?直近では雫をまさかの登山に向かわせる事になったわけだけども。恋人のワガママから姉と二人で山登りって凄い展開(笑)

    夏織はベッドから動けないけど、紙上にて理想の恋人として関係を紡いでいく事で恋人らしい時間を深めていく雫と夏織。でも、それは所詮二人だけの行為に過ぎない
    恋人として関係を深めれば他の者は入り込みづらくなり、それは夏織との限られた時間を喪うことを意味するわけだ。家族として当然過ぎるしおの嫌悪を前に雫はどのようにしてしおとも向き合っていくのかな?

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