君と綴るうたかた(5) (百合姫コミックス)

著者 :
  • 一迅社
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本棚登録 : 67
感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (164ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758025126

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  • 栞から叩きつけられる悲しみと嫌いの感情
    雫としては眼の前にどうにか対処して、夏織の要求に何とか応えている一杯一杯の状況。だから自分の知らない面が夏織にも夏織の周囲にも有るという事を少しずつ知っていくしか無い
    けど、その少しずつというのは雫が知らない面を知る者にとって亀の歩みのようなもの。苛つくのも仕方ない

    でも、少しずつだから雫はその瞬間に受け取った夏織に関する欠片を丁寧に扱えるわけだ
    自分より大きく悲しむ栞の姿を前にして夏織の存在の尊さ、転じて夏織への好意を自覚する流れは丁寧だね


    毎日のような面会と紙上で紡がれる雫と夏織の淡い交流
    台風のせいで面会に行けない。そのもどかしさが通話による恋人未満な二人のイチャイチャに繋がるとは……
    目の前に居ないからと出来る事はないかと尋ねた雫に夏織はなんて物を要求してるんだ…(笑)

    ただ、電話だと気付け無いものも当然のように有って。進行する夏織の病状とノートの文面が……


    雫は少しずつ様々を知るけど、まだ隠されている想いもあって
    それもあってか23話はかなり甘い描写が満載になったね。プレゼントを渡して、書いた小説は絶賛されて
    悲しみを忘れられる一時。だからこそ、雫の方からその瞬間が壊れかねない何かが飛び出しそうになったのは驚いたな
    そういや忘れかけていたけど、過去に小説投稿で何か嫌な想いをしたのではないかと察せられる描写が有ったっけ。

    今は話せないけど、いつか話すと約束して「また明日」と再会を願って
    それはとても幸福な時間で。だから小説の終わりが自分と夏織の時間の終わりだと考えてしまったら筆は進まない
    というタイミングで別方面から終わりの兆しを感じさせる出来事が。そりゃ夏織の状況を考えれば当然のようにやってくる事態では有るんだどさ…

    時間は進み、状況の悲劇性は増していく。なのに紙上の雫と夏織は変わらずに幸福で居るなんて覚悟のないまま向き合えるものじゃない
    そもそも雫の小説は自分の為に書き始めたもので。それが夏織との触れ合いの中で夏織の為に書くことになって
    夏織が苦しんでいるなら、その苦しみを無視して嘘の幸福を書き連ねるなんて出来ない
    なら、雫に出来るのは現実の夏織のために行動なわけだけど……

    どう考えても明るい意味ではない「外出」と「デート」
    ここにるりも混ざってくるならやはりその先にある意味は一つしか無いわけで

    るりと雫が和解するなんて3巻を読んだ時は有り得ないのだと実感させられたのだけど、もしかして和解の可能性が生まれつつ有るのかな…?
    勿論、雫と和解しない事がるりの落ち度になるわけではないのだから、無理に和解する必要はないのだけど、遠くない未来に世を去ると確定している夏織は関係が和らぐ事を願っていて、るりも夏織の想いに応えようとしている
    後はるりが今の雫がどのような人間であるかを知って、そして雫もるりに対して真摯に謝罪の気持ちを持つことが肝要なのかな……

    それらを考えると最終巻は感情の本流に悩まされる事になりそうな予感……

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