平和な学校: IDコミックス/ZERO-SUMコミックス (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
- 一迅社 (2016年7月25日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (157ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758032124
感想・レビュー・書評
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キッサンのギャグばっかり見てたけどシリアスもセンスある……。雰囲気が独特。こういう設定好き。
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D・キッサン先生の凄味を肌に感じられる一冊
先生、こんなエグい内容の漫画まで描けたのか。底知れないなぁ
私が初めて読んだ、D・キッサン先生の作品は、つい、この間、完全版が出た『共鳴せよ!私立轟高校図書委員会』だった。これ以降の作品も、どちらかと言えば、先生のコメディを目当てで買い、読んでいた
なので、この作品には、先生に対して抱いていたイメージをひっくり返すだけのパワーがあった
背筋が寒くなるタイプのリアリティがある。正直なトコ、この『平和な学校』でD・キッサン先生を知った読み手が、他の作品を読んで物足りなさを覚えないか、不安だ
「らしくない」って感想が湧くほどじゃないにしろ、どんな心境の変化があったのか、とは思った
先生も、それなりに漫画家としてのキャリアを積んできたことで、己の中の空洞を埋める必要性を感じたんだろうか
『平和な学校』の内容を、的確に説明するのは難しい。他の作品もマトモに良さを伝えられている訳じゃないにしろ、これは感想書きとしてレベルの底上げをせねば、と危惧感を抱かされる
ざっくり言うと、青春の裏側がハッキリ描かれ過ぎている、だろう
人間、誰しも、心の中に向き合いたくない自分がいるものだ。汚れているならまだしも、何も感じない、一種の怪物みたいな自分の個性と、自分の意志ではなく、他人に対峙することを強制されたら、これからの人生が一変しちゃうだろうな
同時収録の『英雄の親』も、やはり、D・キッサン先生の挑戦を感じる内容だ
ゾッとするって意味合いでは、『平和な学校』よりかは幾分ばかり軽めながらも、やはり、インパクトは十二分だ。私も含め、他のファンも戸惑いながら読み進め、読了後に親との、もしくは、子との接し方を省みた者が多かろう
的確な表現かは自信がないが、歪になりだし、それを必死に取り繕おうとしている親子が増えてきた現在に合った内容だろう
お勧め、とは言えないが、どれもガツンとくるストーリーばかり。その中でもズバ抜けて、読み手の心を倦ませるのは、『平和な学校-数分後』だ。もし、この書き下ろしがなかったら、この漫画の面白さは半減し、私も感想を書こうとは思えなかったろう
この台詞を引用に選んだのは、理屈抜きで強い印象を残せるだけの厚みがあるからだ。台詞と合いすぎて、余計に薄ら寒い雛子の、とびっきりの笑顔には吐き気すら覚えてしまう。果たして、真理は何から卒業させられてしまったんだろうか