旅するカラス屋

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758413763

作品紹介・あらすじ

カラスの生態も面白い。だけど、カラス屋ご本人はもっと面白い――。

『カラスの教科書』で大人気の動物行動学者・松原始先生が世界地図を見ながら考えるのは、
「ここに行けば、どんなカラスがいるのだろう」ということだ。
そんな松原先生がカラスを求め、日本国内を、そして世界を旅した距離は5万㎞をゆうに超える。
調査のために奥秩父や屋久島を駆け回り、冬の知床で雪の原野に身を隠すため頭から白いテーブルクロスを被る。
音楽の街ウィーンでもマレーシアのジャングルでも、その土地々々のカラスを探して探し歩く。
ときに命がけにもなりながらも――。
カラス愛と探究心に溢れ、笑いあり冒険ありの「カラス旅」エッセイ!


「カラスづくしの旅は、
読者には理解しがたいものかもしれない。
だが、カラスは魅力的な鳥だ。
そして、研究と探索の旅は、とても魅力的なものだ」(本文より)

感想・レビュー・書評

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  • めちゃめちゃ面白かった。松原先生本もハズレがない。
    同世代だけあって、ノリが同じというか、表現や例のわかりみが深い。
    カラスに出会うための旅、学会の旅、調査の旅など非常に興味深い旅行記。しかも、食べ物とか旅の面白いエピソードなんかがてんこ盛りで、多分鳥屋でなくても楽しめると思うんだが、どうだろう。
     お目当ての物(主にお目当ての鳥)に出会えた時の感動ってプライスレスである。旅の目的というのは皆それぞれ違うが、例えば絵画が好きな人はお目当ての絵画に出会った瞬間、建築物、景色、動植物、グルメやショッピングの人もおるだろうが、人それぞれターゲットに出会った時の感動は似たようなものだろうと思う(旅に出なくても日常でも出会う感動ではあるが)。故に多くの人が理解できると思う、カラスに興味がないからわからない、と言わずに全ての人に読んでもらいたい。カラスに出会った時のテンションが伝わってきて、擬似体験となりワクワクしてくる。そうそう、そうなのよと共感とヘッドバンキング状でうんうんうんうんと全力で頷きながら読んだ。数年前にこちらで学会があった折の話なんかも出てきて、妙に上がった。なんかもう、去年から学会も中止(正確にはズーム)になったし、今年の春もすでに全ズーム、秋の学会も全部ズームになるだろうしな。読んでると、遠方や海外の学会てプラスアルファの修学旅行的な意味合いが高いんよね、と再確認した。

  • 「見たい」は研究の始まりだ。
    国内へ、国外へ、カラスづくしの旅へ行こう!
    第1章 調査のためのカラス旅
    第2章 学会もまた旅である
    第3章 カラス旅での出会い
    カラスを探して東奔西走する、カラス屋の著者。
    研究ガチガチの内容でなく、グルメや旅のエピソードも多いし、
    読み易いし、面白いんだな、これ。
    研究や論文関係の真面目な話は、理科系な情報がたっぷり。
    読みたい書名がちらほらと。でも、やっぱりカラス!
    国内のあちこちを巡って、山の中のハシブトガラスの生態調査。
    44年を費やして、13ページの論文・・・かぁ。
    国内外での学会大会だって、発表するのもカラス、
    気になるのもカラス。クルミを割る個体が居ると聞けば、速攻で
    現場に駆け付けるし、ウィーン動物園ではオオカミ観察と同時に
    ズキンガラスにも視線がうろうろ。知床のワタリガラスに感激!
    ウプサラではニシコクマルカラスの群れに夢中になり、
    同行者とはぐれてしまうほど。
    何処へ行っても、少しの時間であろうと、カラスを探す。
    そんなカラス旅の合間を彩る、旅行記が面白い。
    パワフルな森下さんとのカラス愛溢れる珍道中と登山。
    登山あるある・・・いつまでも、あると思うな、最盛期の体力。
    グルメも忘れず、秩父市街で秩父グルメを満喫、
    名古屋の甘~いスパに胸やけし、ウィーンで本場の
    ザッハートルテを堪能、東南アジアの味に舌鼓を打つ。
    合い間での人との出会いも楽しかったです。
    そして、40種ほどの世界のカラスを全部見てやろうという、
    著者の大いなる野望が、叶えられますように。

  • カラスの教科書を読んで以来のカラス。今回はカラスの生態というよりご本人の生態。
    研究者は分野が違っても同じだと思った。

  • 相変わらず松原さんは読ませる文章を書く。面白い。
    カラスの教科書から松原始さんのカラス屋としての本を楽しみに読んでいるわけだが、今回は研究でも、趣味でも、学会のついででも、カラスを追った旅をしたときのことが記載されており、単にカラスだけに焦点を当てたものではなく、その旅先での出来事や出会い、食べ物や学会の内容等、研究者としての生活が垣間見えるところが直面白い。
    それでいてカラスについての記載も妥協していない。

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1450846

  • カラス大好き、そして愉快なカラスが大好きな松原先生も大好き。松原先生の本は、カラスの教科書上下から始まって、出るのを待って読んでいます。カラスに対する愛情が温かく感じられ、読んでいると幸せな気持ちになります。

  • カラスと出会う旅の回顧録みたいな感じ。とても読みやすく、ユーモアも富んでて楽しかった。野鳥の学者さんてこんなことしてるんだ、カラスへの解像度が上がるとそんなことに興味もつんだ、と興味深かった。
    町中でカラスを見かけたときに目で追っちゃう人なら是非読んでほしい。

  • 見つけるたびに読んでしまう、松原さんのカラス本。なんでこんなに好きなのか、、、
    松原さんの脳内のほぼ100%がカラスで、見てる世界がカラス的なところ、なんだろうなと思います。

    “長いあいだ、携帯を持たずに暮らしていたが、「お前は昼間どこにいるかわからんうえに連絡が取れない」と苦情が増え、仕方ないので持つことにしたカシオの頑丈携帯である。色はもちろん、黒だ。”

    うん、この感じ。

  • カラス好きにはたまらない本。世界のカラス事情を覗き見できます。

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著者プロフィール

1969年、奈良県生まれ。東京大学総合研究博物館特任准教授。
京都大学理学部卒業、同大学院理学研究科博士課程修了。
理学博士(京都大学)。専門は動物行動学。
著書に『カラスの教科書』『カラスの補習授業』(雷鳥社)、『カラスと京都』(旅するミシン店)、『カラス屋の双眼鏡』(ハルキ文庫)、『カラス先生のはじめてのいきもの観察』(太田出版)など。

「2018年 『鳥類学者の目のツケドコロ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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