僕たちの終末 (ハルキ文庫 き 5-3)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (554ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758433358

感想・レビュー・書評

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  •  『神様のパズル』が面白かったので、こちらも読んでみた。『メシアの処方箋』につづく長編第三作目、メシア~にも興味あり、読んでみたい。SFなので内容は壮大であり夢がある。地球滅亡を前にして、恒星間宇宙旅行計画を実行に移すまでのストーリーである。

     アカデミックな用語をちりばめながらの、学園ドラマ風仕立てに違和感がない。この本ってライトノベルってことなのかな、そういう意味でこの表紙はありなのだ、女子が尻を向けて笑っている意味が不明

  •  「...金がないから」できないと言うのなら、金を集めればいい。技術的に課題があると言うのなら、一つずつ解決すればいいだけじゃないか。次にどんな言い訳を考えるつもりなんだ。根本的な問題は、金でも技術でも何でもないはずだ。必ず目的地まで行くという信念だ。だからこそ、それが唯一の参加資格なんだ、...」

    <この星にしがみついていたい気持ちもわかる。この星に未来なんかないと思っていたくせに、そんなことが起きるのは自分たちの世代じゃないと心のどこかで思おうとしていた。ところがどうだ。終末がやってきた。これは終末という究極の価値観移行(パラダイムシフト)に備えて、我々が何をなすべきかということなんだ。そのために科学技術、社会、また自分自身は、一体何ができるのかということなんだ。
     いろんな対処法があるだろう。穴蔵へ逃げコ込みたい奴は、逃げればいい。ただ僕は、自分か死ぬことを思い続けながら、身をかがめて生き続けるのは嫌だ。それで思いついた。いや、僕だけじゃないだろう。誰もが一度は夢見たはずだ。星への旅を。
     『地球は人類の揺りかご』―。”宇宙ロケットの父”とも呼ばれるツィオルコフスキーの有名な言葉だ。しかもこの星は、確実に数十億年後には蒸発してしまう。死滅したくなければ、それまでに脱出しなければいけないことは間違いない。恒星間旅行というのは、いつか誰かがやらねばならないことだ。そういう話は、一杯聞かされもした。
     だから計画を立ち上げた。すると今度は、誰もが無理だとぬかしやがる。もしできないのだとすれば、漠然と思い描かれ続けてきた宇宙旅行の夢は、一体何だったんだ。一方で人類文明は、幼年期どころか壮年期を過ぎ、この先は急速に衰えて突然死も起こり得る。恒星船を建造するだけの体力が、これより未来にあるのかどうか。分かりやすい例をあげると、石油化学製品だ。また燃料や費用のことを考えると、そう度々できる計画でもないようだ。場合によっては、今が最初で最後のタイミングなのかもしれない。そもそも恒星間旅行は、今までの宇宙開発とは桁が違う。人々の曖昧なモチベーションしか得られないような状況で百パーセントの成功をめざして動いたりするものじゃない。こういう事情でもなければ、起きなかった計画だったかもしれない。つまりこれは、終末において必然的に発生する、たった一度のファンタジーなんだ!
     成功率は高くないかもしれない。しかし、地球で行われるどんな救済計画より、はるかに発展性はある。それだけは断言できる。今、人類というのが、どういう生き物なのかが問われているんだ。ここで絶滅するのなら、それだけの生き物だったということだ。それでいいと僕は思わない。できもしないとハナからあきめて死んでいくよりは、やるだけやって死んだ方がいい。まさに、ダメで元々じゃないか>

  • 神様のパズルもそうでしたが、宇宙や科学の話と、農作業の話が交わるところに強く共感する。

  • 太陽活動の変化により終末の近づく地球から脱出するために恒星間旅行を試みようとドタバタする物語。

    メインは前半のディベート部分。
    いかにして他の惑星へとたどり着くのか議論を戦わせる場面が延々と続き、興味深かった。

    後半になると前半のスピード感との差がありすぎて、付け足しのように感じられたのが残念。

    でも、どれだけ技術を高めても結局は人間次第って展開は懐かしくもあり、心地よかった。

  • 地球脱出を考えて行動に移すSF。不可能に思えることから少しずつ行動に移していく過程が面白い。そして取り扱ってる問題の規模に対して、おっさんの抱える問題が際立つ。青臭さも感じるかもしれないがおもしろい。

  • 【人間なんて、理屈に合わない。だから、憎いし労しい】

    個人的にガッツリSFが読みたくなったので、機本作品を。

    内容はまず、スケールがでかい。アニメーションにしたら面白そうだけど、兎に角一から那由多まで。具体的には世界の終末に宇宙へ行こう。民間の企業が5年でSSでなく、縦1キロ横700メートルの有人宇宙船を造り、なんと60年かけて最果てまで行く。という話。

    構成はともかく内容が胸熱で、実際興味ない人が見たら評価は低いかもしれない。ただ、なにかもの作りの精神の琴線に触れるものがあった。

    また、大変分かりやすく解説しながら進めてくれるのでSF初心者でも触れやすい作品だと思う。

    長いからすぐに再読はしたくないが、いつか忘れた頃にもう一度読みたい。

  • これまでの作品は近未来程度の進化レベルでどうにか理解しながら楽しめたが、本作は恒星間移動の宇宙船まで突き抜けてしまったので、自分にはもう限界かな。
    最後まで読むのは苦痛の一歩手前でしたが、コンピューターが持つ人工知能(?)の中途半端さが可愛かったので救われました。

  • 太陽がどうのこうので、地表の生物が死んじゃうので、恒星間宇宙船を作って移住しようという話。アバウトな試算が面白かったけど、作るところは、お話の中でも無理ありすぎ。同時に、「夏のロケット」を読んでいたので、対照的だった。

  • 今んとこ一番オススメ。
    変人だが、技術コンサルが出てくる。これだけズバズバ言える人になりたい。
    近未来でありえない話だが、本当にできそうな話。

  • 読んだことあった気がしたけど、最後の展開に記憶がないから読んだことなかったんだと思う。
    理論的なことは難しくてわからなかった。
    実際に宇宙船を作れてしまったことが、意外だった。
    いままでの雰囲気からすると作れない気がしていたので。

    ベガさんとか少年たちが素敵。
    自分だったら、世界が終るとしても、宇宙に飛ぼうとか考えられないだろうな。

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