【新装版】金子みすゞ童謡集 (ハルキ文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442459

作品紹介・あらすじ

<見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ>(「星とたんぽぽ」)。大正末期、彗星のごとく登場し、悲運の果てに若くして命を断った天才童謡詩人・金子みすヾ。彼女は子供たちの無垢な世界や、自然や宇宙の成り立ちをやさしい詩の言葉に託し、大切な心のありかを歌った。いま、歴史の闇に散逸した幻の名詞が再び発掘者の手でテーマ別に編まれた。殺伐たる時代の中で、もう一度目に見えぬ「やさしさ」や「心」を見つめ直すために。(新装版)

感想・レビュー・書評

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  • 金子みすゞさんの詩集ですね。
    童謡集になっていますが、みすゞさんは童謡詩人として認められているからです。
    でも、みすゞさんの詩は、限りなく宇宙と人間の本質を詠えあげています。
    やさしく、子供心を浮かびあげながら、心の宇宙を讃えます。自然の生業と人間の生業の交差を、豊かな感受性で詩に託しています。
    繊細な感受性で灯される命の詩は、子どもたちから大人まで、心地よく心に響きますね。

  • 自然

    『星とたんぽぽ』、『木』が特に良かった。

  • 「土」
    こっつん こっつん
    打たれる土は
    よい畠になって
    よい麦を生むよ。
     
    朝から晩まで
    踏まれる土は
    よい路になって
    車を通すよ。
     
    打たれぬ土は
    踏まれぬ土は
    要らない土か。
     
    いえいえそれは
    名のない草の
    お宿をするよ。
     
     
    本作品集にはこの本を始めとして、多種多様な詩が載っています。
    このように救いを与えてくれるものもあれば、
    物や生き物を人と同等に扱い、心を痛める内容も。
    いずれも親しみやすさと温かみがある素敵な詩たちです。
     
    そんな金子みすゞさんは26歳の時に自殺により早逝されています。
    この豊かな感性を文学界に迎え入れられていたにも関わらず。
     
    それは、当時の時代ではありますが。
    当人の意向を無視した政略結婚のような結婚でろくでもない男の元に嫁いだのが原因です。

    その結婚がきっかけで筆を置くことになるのですが、
    それでもその後生まれた娘に愛情を注ぎ、生きていました。
    ひどい夫にされた横暴に心身共に傷つき、離婚を切り出します。
    しかし弱い立場ゆえ、娘の親権問題でもめます。
    娘を守るには自分が死ぬしかないと、決め金子みすゞは自死を選びました。

    これほど美しい感性と心を持った人物を死に追いやるとは。。
    現代社会は一昔前に比べたら、人生も生き方も自分で選ぶことができます。

    それは時々、人を惑わせ悩ませるものではありますが
    それでも人が自分で自分の生き方を選べる社会がいいと改めて思います。

  • 谷川俊太郎詩集と同時購入。
    だからではないけど、女性的な文章表現が印象的だった。 

    「〜なの」とか「〜ないわ」とかの言葉が柔らかくて優しい。読みやすかった。

  • 書店でなんとなく惹かれて衝動買い。思えば「わたしと小鳥と鈴と」しか知らなかった。全文にはどこで触れたんだろう。
    カバーのマットな質感と、ささやかな挿画がとてもかわいらしい一冊。あまり馴染みのないレーベルだけど、これはけっこう好きかも。カバーの折り返し部分が長いのも特徴。

    あったかい。いずれも小さな、やさしく切ない歌の数々がすっと沁みてくる。今まで通り過ぎてきたなんでもない景色ひとつや、抱いた端から忘れていく感慨の切れ端までも、大切に拾い集めて差し出してくれているみたい。
    科学の目、理性による観察とセットのやさしさが、幻想的な魅力となって表れているようにも思う。幻想と現実は相反するものではないって、たぶんこういうところなんだなあ。
    特に好きなのは美しくロマンティックな「空と海」、そしておそろしく刺さる「誰がほんとを」。

    解説以降は衝撃的だった。むごい……。

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著者プロフィール


山口県生まれの童謡詩人(1903~1930)


「2018年 『混声合唱組曲 みんなを好きに』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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