航空自衛隊 副官 怜於奈(2) (ハルキ文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 131
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758444040

作品紹介・あらすじ

南西航空方面隊司令官付き「副官」に異動した斑尾怜於奈。
少しずつではあるが職務に慣れてきた彼女は、初年度視察で司令官とともに宮古島を訪れる。
だが、現地の自衛隊支援者の集まりで失言してしまった怜於奈は……。
自衛隊が心がける地域や地元民の感情への配慮など、自らも副官を経験した元幹部自衛官が
「自衛隊が対峙するトラブルと人間模様」を描く、大反響・本格自衛隊小説、第二弾!

感想・レビュー・書評

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  • 南西航空方面隊司令官付き「副官」という全く聞き慣れない仕事のお仕事小説第二作目。

    普段接することがない仕事の内容が新鮮で面白い。あと、怜於奈の前向きな姿勢が心地よい。

    高校生同士の喧嘩を仲裁した自衛官が逮捕される事件。高校生同士の気持ちのすれ違いが解消される下りがジンと来た。

  • 自衛隊モノのお仕事小説。

    主人公の斑尾玲於奈二等空尉も言っていますが勉強になります。それとやはり、舞台が沖縄というのも、意図しての事でしょうね。それがゆえに、余計にいろいろと勉強になります。

    表紙の絵の美女に惑わされてはダメですw

  • あらすじに『怜於奈が地域交流会で失言する』って書かれていたので、何か相手の感情を硬化させる発言をしたのかと思ったら、『オトーリをする』って発言する事なのね。
    翌日、軽くとはいえ二日酔いに悩まされたのなら確かに失言だわ。
    自衛官が逮捕されると情報収集を行い、対策を練る。
    組織防衛のためかと思ったら、実際は他の隊員の士気を下げないため、信頼を損なわないためなのね。

  • 南西空司令官の副官斑尾2尉は、副官之業務に徐々にではあるが慣れてきた。
    目下の所、幹部会の広報誌「翼」への寄稿文の作成がうまくいってなかった。そんな時、他の部署とのやりとりで各部署の他の副官と意思疎通を円滑にするために懇親会を開くというアイデアを思いついた。コロナ禍での宴会に制限があり、リモートで行い一定の製菓を得ることができた。
    次に美ら海レスキューという沖縄県と自衛隊合同の防災演習の視察に同行したその中で玲於奈は、沖縄県民と自衛隊の間にはまだまだ深い心の溝が存在することに気づいた。

  • 借りたもの。
    前巻( https://booklog.jp/item/1/4758443300 )に引き続き、自衛官の日常は平時であっても平穏では無い…
    日々の業務に、事件が起こってその対応に追われたり、日々の訓練の手順について。丁寧に描写されている。
    事件は……映画やドラマのような組織を揺るがすような重大なものではない?けれど…どうしても大事(おおごと)になってしまう。
    その理由は、舞台である沖縄と本州の温度差にも起因しそうだ。

    自衛隊の実態は“軍隊”ではなく“公務員”であることが伝わってくる……
    一般企業では経費で出るであろうものも、国民の血税ということで自衛隊内でカンパしたり……

    しかし、世間一般では自衛隊は軍隊の方便と思われている。マックス・ウェーバーは軍隊・警察を「暴力装置」――究極の手段として法に則った暴力行使が認められた組織・機関――と言及していた訳だが。それ故に言葉尻だけ取り上げられ厳しい目が向けられている。(ある意味、自衛隊はシビリアンコントロールが効いている?)

    そんな中で自衛官が暴行事件に関わってしまったという一報。少年の喧嘩に仲裁に入り、少年を殴ってしまったという……
    事実がどうあれ、罪を認めてしまえば懲戒免職。
    米兵婦女暴行事件の悪影響で自衛官にも厳しい視線が向けられ、冤罪?と思われる事件があったことも仄めかされている。
    さらに沖縄の難儀な日常も見受けられる……すなわち、経済的な理由から進学をあきらめざるをえない生徒がいる。するしないの悩みと、仲間意識から外れる事への負い目などからの喧嘩が原因の一旦だった。
    (沖縄って、本州で絶滅したと思っていた暴走族がいた。その文化が残っている事、推して知るべし……)
    更にはウチナーからのナイチャーへの排他的意識……日本で唯一の地上戦を経験し、アメリカ占領、日本“本土”から軍事関係を“押し付けられた”という思いも然り。

    事件の関係者である金銭的理由で進学をあきらめかけている少年に、学費無料で仕事扱いで給料も出る防衛大学校を薦めるというのも、何だかシュール……
    二階堂ヒカル『あおざくら 防衛大学校物語』( https://booklog.jp/item/1/4091273408 )の主人公が同じ動機だった。

    空自の防災訓練では救助活動の手順が垣間見れる。
    実際にある機体が出てくるので、リアリティ。
    自衛隊の中でも担当部署が違ったり(日本の縦割り社会ゆえか)、沖縄と本州での温度差がここにもある。

    あと、時事ネタ的にコロナ禍での飲み会の悩みなど。
    リモート飲み会できない理由が、環境が個人に委ねられていてネットリテラシーが低いって……|||orz
    あと男女の上司部下の出張で、部外者の邪推を招かないために別のホテルを予約しなきゃいけなかったり……
    何だか意外なところに気を回さなければならない自衛官。

  • 2021/07/23 062

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著者プロフィール

小説家、軍事評論家。元幹部自衛官。著書に『黎明の笛』『深淵の覇者 新鋭潜水艦こくりゅう「尖閣」出撃』『半島へ 陸自山岳連隊』『北方領土秘録 外交という名の戦場』などがある。

「2022年 『ようこそ、自衛隊地方協力本部へ 航空自衛隊篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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