- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758444101
作品紹介・あらすじ
オリンピックまで二年、昭和三十七年の東京。
十七歳の郷子は、二年半前に集団就職で上京したものの、劣悪な労働環境から工場を逃亡した。
そのまま上野駅でうろうろしていたところを、浅草にある「洋食バー高野」のおかみ・とし子に拾われ、そこで働くことに。
美味しく温もりあふれる絶品料理と、一緒に働く人々や、訪れるお客さんに出会い、
郷子は新しい“仲間”と“居場所”を見つけていく──。
下町の社交場「洋食バー高野」を舞台に描く、少女の上京物語。
感想・レビュー・書評
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東京オリンピックを2年後に控えた東京へ群馬から集団就職で上京し、川崎にある工場で働いていた畠山郷子が雇用先から逃げ出し上野駅で雇用先の工場長と人事担当に捕まりそうになったところで、浅草にある「洋食バー高野」のおかみさんと料理長が引くリヤカーに乗せられて行きます。その後、郷子は「洋食バー高野」で働き始め、職場の仲間やお客様等との交流で、次第に自分の居場所を見つけていく郷子と、空襲を受けた東京で人生が変わった人達が明日に向かって生きていく様子が描かれています。好感の持てる一冊でした。
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集団就職で大人たちに搾取され、過酷な環境で働かされてきた響子。力を振り絞って逃げ出し、助けてと人に助けを求められる彼女は強い。一見無愛想でも優しい人たちによって救われる。就職先で家畜のえさ同然のカレーを出されたトラウマで初めは食べられなかったカレー。
料理長が丹精込めて作ったカレーは本物の味だった。
雇われたレストランの仲間達。
19歳の勝は戦争から帰ってきた兄に、跡継ぎの座も思い人も奪われた割り切れなさがぬぐえない。残される付け合わせの人参グラッセにように、勝には見えてないものが沢山あった。
16歳の小巻は裕福なお嬢様、目が見えないが臆することなく他人に話しかけ、自分のやりたいを主張する。【きょうちゃんの言葉で感じたままを話してほしい」と言う彼女は響子の友人
無愛想だがそつなく仕事をこなす真澄。失敗教育法という、失敗して仕事を覚えるという教育法で響子はびくびく。ある日話してくれたこと。10歳で家族を亡くし、戦争孤児として生きてきたこと
辛い境遇の中で懸命に生きる仲間たちの物語 -
プリン~