思春期の処方せん

著者 :
  • 海竜社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759316063

感想・レビュー・書評

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  •  息子の学校の先生おすすめの本。19年間児童相談所で児童心理司をしていた人の著書。大変勉強になった。


     誰に対しても、自分の意見を主張する。間違っていたら、自分の考えを修正してやり直す。その力をつけるために、子どもは親を相手に、たくさんの練習が必要なのです。怒られること、思い通りに行かないことへの耐性を作っている、と言ってもよいでしょう。
     物事が自分の思い通りにいかないときに耐える力を、「欲求不満耐性」と言います。この欲求不満耐性というのは心の強さとも言えるので、親への対抗は、子どもの心を強くするための練習でもあるのです。

     子どもたちは自立のために不安を払拭し、怖さに打ち勝たなくてはなりません。怖いことや辛いことが起こっても、基地には戻らなくても生きていけるようにならなくてはならないのですから、今までずっと頼り続けてきたお父さん、お母さんを「必要のない人」にしなくてはなりません。そのために必要なのが「嫌い」になることなのです。嫌いにならなければ、離れることができないのです。

     愛着の問題を抱えた子どもには、特別な人がいないのです。自分を大切にして、守ってくれる人がいないのです。守られている、という感覚がなく、だから自分を大事に思えません。褒めてほしい人も、叱られたくない人もいないので、行動に「枠」がないのです。だから危険なことでも平気でやってしまいますし、怒られても平気なのです。

     壊れてしまった愛着関係の修復のためには、子どもが問題を起こしたときに、愛着関係に問題が生じているんだ、それはつまり、今、子どもに愛が足りていないんだ、と考え、親のどんな言動が子どもを傷つけているのかを考えることです。修復は可能ですが、原因を見つけるのは早ければ早い方がよく、子どもの問題を叱るばかりで、問題の原因をそのままにしてしまうと、子どもの問題はエスカレートし、思春期の反社会的な行動、親への暴力などにつながってしまいます。

  • こどもが反抗期になったらもう一度読み直そう。

  • 371.4

  • 子供と、楽しいね、嬉しいね、と、言えるような生活を過ごすことができるような、思春期の過ごし方について学ぶことができます。自分の子育てに自信こそ持てないけれど、ある程度はやれたかな?感はあるかと思っています。
    とは言え、家内のSOSに気づく感受性を持ち合わせられるのも必要ですし、連続したコミュニケーションをとり続け、ぜひ家族の愛情の器を満たすことができるように、頑張らねば、と、思う次第です。

    P71、反抗期において子供の犯行が激しければ、それまでの親子の絆がとても強かった、と、考える。

    P78 親といるよりも友達といる方が楽しくなるのが自然。
    親離れできないのは、親といるのが楽なのであって、外の世界で親以外の人と接するのは思い通りにならないから苦痛となるのは、危険。親として心配はあるが、やはり、失敗も大切。

    P79 できないのは親のせい。子どもが勉強に専念し、面倒なことを全部親がやった場合、優秀な大学に合格、会社に就職できるかもしれないが、自分ではなにもできないことに子供は気づく。そこで初めて挫折し、親に対して「お前のせいでこうなった」と、思う。外の世界での屈辱による怒りの全てをお母さんにぶつけて。自分で責任をとれないので、お母さんに責任をとれ、と、責めている。でも心の中では「どうにかして」「助けて」と、言っている。

    P82 こどもは親の評価だけではなく、外の世界の客観的評価も受け入れなければならないが、お母さんが「周りが分かっていない、あなたは本当にすごいのよ」と、言い続けると、子供は外の世界の客観的評価を受け入れることのできない大人になる。

    P91 こどもの問題は親の問題。全ては愛が関連。愛情が満たされていない子供は問題を起こし続ける。そして次第に問題を起こすことが大人の関心を引く手段となってしまう。「叱る」という形で自分に関心を向けてもらう事すらも、子供にとってはご褒美となる。

    P99 思春期の反抗は自立のために必要であり、反抗期が無い事、あるいは大人になってから反抗期が来るのはむしろ危険であること。反抗期を子供の言いなりになるのではなく、社会的逸脱に結び付けない。

    P127 意外に大切なのは、子供が帰ってから話す「お母さん、聞いて聞いて」この体験の有無が、自己の存在価値を感じられるか、そして自分のことを他人に話せるようになるかどうかを決定する。

    P134 共感し合える家庭を作る。何か悪いことをして帰ってきたとき、思わず叱ってしまうと、子供は叱られたことに心が反応してパニックを起こす。まず、痛みや怖さに共感し、その後に行くことを止めるような話をする。

    P155 家族のルールを作り、親も守る。

    P170 ルールは事前に伝える、ルールの変更はしない。親もルールを実行する。

    P173 コミュニケーションの連続性が大切。

    色々と学びのある良い本でした。

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