DNA鑑定は万能か―その可能性と限界に迫る(DOJIN選書31) (DOJIN選書 31)

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  • 化学同人
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759813319

作品紹介・あらすじ

いわゆる「足利事件」におけるDNA鑑定では、なにが問題だったのか。いまDNA鑑定の信頼性は大きくゆらいでいるのか。1990年代から、犯罪捜査にも本格的に導入されたDNA鑑定。本書では、DNAの分析方法を丁寧に解説しながらその能力を探るとともに、それ自体がはらむ"弱点"に迫る。20年以上DNA鑑定に携わってきた研究者の冷徹な分析によって明らかとなる、大いなる可能性と避けることのできない限界。

感想・レビュー・書評

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  • 2015.8.122015.8.22

  • 足利事件の再審以来、気になっていたDNA鑑定だが、この本、チェックしつつもなんやかやで先延ばしになっていた。
    わかりやすく誠実に書かれている本だと思う。

    DNA鑑定の種類や原理、実際の事件への応用など、入門書として適した構成だろう。
    1)DNAの抽出、2)PCR法によるその増幅、3)電気泳動やシークエンシングによる解析という、大まかな流れに沿って、実際の分析がどのように行われているかが述べられている。
    個人識別の基本となるSTR(Short Tandem Repeat)、父から子に伝わるY染色体、母から伝わるミトコンドリアの話など、興味深く読めた。
    ニコライ2世やマリー・アントワネットなどの歴史上の人物達の謎に迫る解析も読みごたえがある。

    有用な手段ではあるが、もちろん、「限界」もある。特に犯罪現場で採取される試料は微量であり、また不純物や犯人以外の試料の混入もあり、時に、腐敗も進んでいる。技術の進歩にしたがって感度が上がっていっても、それだけでは解決できない問題がある。

    結局のところ、「万能」とするかどうかは使い方次第なのだろう。
    実際の鑑定部分は専門家にゆだねるしかないわけだが、市民の立場でどう捉えていったらよいかの一助となる本だろう。

    *末尾で、筆者がアナログ情報をデジタル情報に置き換える危険性について述べているのは、本当にそうだろうなと思う。裁判員裁判制度が始まって、陪審になる可能性もあるわけで、心に留めておきたい。

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