- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784759919325
感想・レビュー・書評
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*1973年に初版刊行、その後1982年に版元を変えての復刊、その後2012年に風間書房から出版されたものを読んだ。
いちばん印象的だったのは、「悪い本とは何か」について、書名や版元も挙げて解説していた点。世界の名作と呼ばれるものや民話など多くの出版社からでているものは、良い例と悪い例を並べて読み比べている。(悪いとされたほうの版元から抗議がなかったのだろうか。。) 例に挙げられていたのはピノッキオ、いっすんぼうし、ちびくろさんぼなど。
子どもにとっていちばん身近な大人である親が、子どもが夢中になって良い読書体験をできるような橋渡しに適役というようなことが書かれていて、背筋が伸びた。たくさんの本を一緒に読むという今の自分の方向性が間違っていないこともわかってうれしい。
伝記について、低学年向けに簡単に書かれたものだと時代背景、歴史的・社会的事情のような理解しにくい箇所が抜け落ちてしまうために、その人の全功績を理解できないから良くない、というのには驚いた。言われてみればたしかにそうなのだが。小さい頃好んで読んでいて子どもにも薦めたいと思っていただけに、気をつけたい。
【メモ】
・児童書の4分の3は悪い本
・世界の古典、名作と呼ばれる作品のダイジェストは悪い本→もとの作品が良いからダイジェストにしてもある程度おもしろくなるから、売れる
子どもの本の選び方12項
01. 書き出し5〜10ページに注意する
02. さし絵を見る
03. 安すぎる本には手を出さない
04. 有名人の監修・推薦は要注意
05. 全集形式の古典・名作は要注意
06. 古典・名作は「あとがき」「解説」を読む
07. 年齢対象の低い古典・名作は要注意
08. 年齢対象の低い伝記は要注意
09. 無署名の本は要注意
10. いい本はオリジナルな本の中にある
11. 作者名やシリーズ名などを覚える
12. 本の紹介や「ブックリスト」の活用詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
40年以上も前に初版が出た本だが、面白かった。
読み比べて批評してくれているところも、なるほど!
全集に「悪書」が多い意味もわかった。 -
子どもの本(絵本~児童文学)の選び方・与え方についてかなり具体的・実践的に書かれた本。
http://flowerkayoko.blogspot.jp/2015/01/blog-post_11.html -
抜粋
これまでに述べてきたように、子どもの本のうち、じつに四分の三は悪い本です。したがって、私たちが何も考えないで本を買ってしまうと、四冊のうち三冊までは悪い本をつかんでしまいます。これではお金をドブに捨ててしまうようなものです。しかも、悪い本というのは、子どもにとって、おもしろくもなく、感動も魅力もない本なのですから、これほどばかばかしいことはありません。そこで私たちは、本を買う場合には、注意のうえにも注意して、本を選ばなくてはなりません。
子どもの本の選び方なんて、適当に考えていましたが、注意しないといけないことが分かりました。僕は市の図書館で本をよく借りるのですが、子どもの本は「読み継がれている本」というコーナーから選んでいます。それが、結果的にはよかったのかもしれません。
また、僕が本好きというのも子供にとってはいいことなんだと思いました。
子どもの本に対する見方が変わる本です。もっとたくさんの人に読んでもらいたい本です。