海外で建築を仕事にする2 都市・ランドスケープ編

  • 学芸出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761526054

作品紹介・あらすじ

建築単体にとどまらず、都市、ランドスケープ、コミュニティデザインまで、パブリックスペースのデザインに挑戦する16人のエッセイ。米国の都市公園で人造湖の設計、バルセロナのバス路線計画、ルーブル美術館来場者のモビリティ分析、メルボルン流まちづくり、アフリカでの実測調査まで、建築のフィールドはまだまだ広い!

感想・レビュー・書評

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  • 海外で建築を仕事にする2

    ■東京という街はカオス
    ・商業都市としてひたすら効率性と経済性を追求してきた結果、狭い空間の中にビルや広告が乱立し、訪れる人の視界を圧倒する。
    ・だが、どの都市にもない事由を感じる。
    ・刺激的で不思議な街

    ■フランス
    ・時間の進み方がアメリカ・日本とは比較にならないくらいゆっくり
    ・事務所の改装が5年経っても終わらない

    ■スペイン
    ・2000年初頭は不動産バブル
    ・移民でも職を見つけられた
    ・「バルサ好きに悪い奴はいない」
    ・おしゃべり好きでストレートに表現する。
    ・喋り続ける対話の中から妥協とアイディアが生まれる「量が質を上回る」

    ■オーストラリア
    ・残業はあり得ない。
    ・クオリティが高く、無駄がない。
    ・早く帰りなさい、はクオリティを上げなさい。
    ・アジア、ヨーロッパの文化が入り混じり、デザインや食事もバランスよい
    ・世界一のバリスタが多く輩出されるだけあり、カフェが充実

    ■ポーランド
    ・グリーンシティと呼ばれる美しい国
    ・全米で最も住んでみたい都市、最も環境にやさしい都市
    ・クリエイティブな企業も多く輩出し、創造都市とも呼ばれる。
    ・経済と環境を両立している秘密は、ミクストユース
    ・ミクストユース型都市
     車の移動が減り徒歩や自転車での移動。
     住むだけ、働くだけのエリアから脱却し、働く、遊ぶ、学ぶ、交流する用途混合エリア

    ■北欧
    ・持続的な社会の実現に一番成功していて、経済的にも高い水準にあるのは北欧の国々

  • ざーっと読んだ。
    ますます海外で仕事をしたくなった。

    ランドスケープ、アーバンデザインといった分野だからこそかもしれないが、環境・生態系ないし水管理、治水、あるいは交通計画などとさまざまな領域と自由に繋がり行き来する様子は、ひょっとすると日本のように分業が凝り固まっていないからなのかもしれないと思った。
    ただちにやってみよう!という姿勢を持てるような人こそが海外には出ていっているということなのかもしれないが。
    でも、吉村氏が、日本人だからという理由で交通効率化などのスマートシティ担当にアサインされたというのは、象徴的だし、そんななかでも自分ならではの付加価値をみつける姿勢には勇気付けられる
    (※話がそれるが、ルーブルで空間体験の質を評価するために、館内にセンサーを十個ほど設置してスマホのBluetoothを拾うというシステムのプロジェクトは面白い!河川環境でもできないかな)。

    そして、ユーザーオリエンテッドな仕事振りだからこそ、うまくいったときの成果には感慨深くもなることが多いのかもしれない。
    公園や街でくつろぐ人々をそのような目線で満足げにながめらデザイナーたちの感慨に、そのようにも思わされた。

    また、関係者とのコミュニケーションにしてもあるいはプレゼンにしても、英語ならではの難しさというのはまた一段と能力を高めてくれそうだ。
    JICAの長谷川氏のザンジバルでの経験は、自治体やコンサルやバスドライバーなど多くの関係者との、悠長で冗長なコミュニケーションをおわりなく続けることの不可欠さを教えてくれる。アフリカならではだろうが、我慢強く、「日本のペースで考えない」「焦らない」「とにかく笑う(ごまかす)」をモットーに、相手の話をよく聞き!とにかく些細なことをなんでも拾いあげ、相手から話しかけやすいと思ってもらえるよう努めたーーというくだりには、唸らされた。
    本書では途上国についての記述は少ないが、きっと東南アジアやアフリカでは、こういった、時間軸についての指摘は本質的だと思う。

    ライフステージのなかで、やりたい仕事、すごしたい日常というのは容易にかわっていくのだろう。
    NYの都心から郊外の一軒家に移り住んだという、冒頭の別所氏の文章にはそんなことも思わされた。
    そういう刺激やインプットに貪欲でありたいし、そのときどきの素直な思いに沿いながら過ごしていきたいものだ。

  • 海外で都市やランドスケープのデザインの現場で働く(働いていた)著者達自身の留学や海外での仕事に関する体験談である。世界の実務の現場はこんなにも自由でエキサイティングだということを教えてくれる一冊であり、今後、海外留学や海外での就職を考えている学生には是非一読を勧める。また、日本の職場と比較する上でも役立つだろう。(都市工学専攻)

    配架場所:工14号館図書室
    請求記号:72:F

    ◆東京大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2003335721&opkey=B147866004611800&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=6&cmode=0&chk_st=0&check=0

  • ※メモ

    プレイスメイキング、ポートランド等、関心のテーマも含まれていたため。

  • 同シリーズの1冊目は建築設計事務所で働いている方々が登場していたが、今回は都市・ランドスケープ編という副題の通り、建築物ではなく都市や屋外空間を中心とした環境づくりのプランニングをしている方々を取り上げたもの。

    取り上げられている領域の幅広さ、時代に合わせた変化の激しさといった点から、1冊目にもましてダイナミックなものを感じることができた。

    例えば、ランドスケープは「造園」と訳されることが多いが、庭や屋外空間をデザインするだけでなく、植物や水系、土壌などの持つ力を新しい都市のインフラストラクチャ―として活用するようなデザインの考え方が重要になってきている。これまでの下水道や道路といった都市インフラの機能とオーバーラップしながら、都市をより快適に、安全に、持続可能にしていくことも、ランドスケープの領域である。

    また、都市計画の領域においても、都市の中での人々の行動のデータが都市の空間や交通システムの計画にどのように組み込まれていくのかや、人々のアクティビティを作るためのアートや街の人々の参加も含めたデザインなど、いろいろな取り組みが専門的な職能として出てきている。

    そして、それらの領域にチャレンジする人たちも、建築学を学んだ人だけでなく、幅広い分野をバックグラウンドに、世界の現場で活躍している。実際に、経済学部を卒業し、銀行に勤務したのちに、大学院に入りなおして建築・都市計画の道に進んだ人も登場する。

    建築設計と比較して職能として一般的に知られているとは言い難い領域であり、そのことがかえってこの本の面白さを引き出していると思う。

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著者プロフィール

東京農業大学地域環境科学部准教授。博士(学術)。専門はランドスケープデザイン。編著に『海外で建築を仕事にする2 都市・ランドスケープ編』(学芸出版社、2015年)、『Livable Cityをつくる』(マルモ出版、2020年)、共著に『実践版!グリーンインフラ』(日経BP社、2020年)など

「2021年 『都心周縁コミュニティの再生術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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