都市から学んだ10のこと: まちづくりの若き仲間たちへ

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  • 学芸出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761527037

作品紹介・あらすじ

まちづくりに取り組む人が、都市と本質的に向き合い、自らの身近な活動をまち全体の大きな変化に繋げるためには、どのような姿勢で臨めばよいのか。町並み保存・景観まちづくりの第一人者が自らの経験を10の要点にまとめて語る。まちに広がる多様な意匠や何気ない風景の魅力を収めた「写真で見る都市空間の構想力」を併載。

感想・レビュー・書評

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  • pp.140-141
    「その時」に出会ったかどうかではないのです。「その時」のために、どれだけ日常をしっかりと生きてきたか、それが大切なのです。その態度が「その時」に備えることになるのです。その意味では、「その時」とは、あるいは日々の暮らしの中にこそ、あるのかもしれません。
    わたしもそういう風に日常を生き、そういう風に死んでいきたいと思います。
    こんな尊敬すべき市民が、じつは都市の中に少なからずいるのです。こうした静かな覚悟を持っているということが、一人前の市民であるということのひとつの姿なのだと思います。
    わたしたちのそれぞれにとって、「その時」とは今なのかもしれませんし、ある日突然やってくるのかもしれません。あるいは、「その時」だとは気づかず、やり過ごしてしまうかもしれませんし、「その時」はまったくやってこないかもしれません。あるいは、「その時」は備える日々の生き方が、「その時」を生み出すのかもしれません。
    「その時」出会ったとしても、出会わなかったとしても、確信を持って堂々と日常を過ごしている人は偉大なのです。「その時」に備える心があるとしたら、日常を退屈と思うこともないでしょう。日常を退屈と思う心が退屈を生み出すのです。
    [...]
    どこにでも偉大な日常人はいるのです。偉大な人とは、静かな日常を送りつつ、一旦ことがあったら立つ、という人のことです。都市の物語はそうした人によって支えられているのです。
    そして、まちづくりもまた、そうした偉大な日常人によって支えられています。

    pp.149
    [...]特殊解を突き詰めることの中でしか、一般解への道筋は見えてこないのです。
    だから、特殊解を追い求める辺境への旅を怖れてはいけません。特殊解へ肉薄する迫力が人の心を打つのです。そうして姿勢の中にこそ、最適解に向かう真理があるのです。

  • SDGs|目標11 住み続けられる まちづくりを|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/765118

  • 東2法経図・6F開架:518.8A/N84t//K

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著者プロフィール

西村幸夫:1952 年、福岡市生まれ。國學院大学教授、東京大学名誉教授、日本イコモス国内委員会前委員長。専門は都市計画。著書に『都市から学んだ10のこと』(学芸出版)、『西村幸夫 文化・観光論ノート』(鹿島出版会)、『県都物語』(有斐閣)、『世界文化遺産の思想』(共著、東大出版会)など。

「2022年 『世界遺産の50年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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