- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784761528560
作品紹介・あらすじ
リアルすぎる架空の地図「空想地図」を読み解けば、現実の都市・地域の姿が見えてくる。作者たちの緻密な書き込みに目を奪われるもよし、実際に描いてみるもよし。空想と現実を行き来しながら、地理・歴史・都市計画の専門知識に裏付けられた描画・修正のプロセスを追えば、地図の読み方・都市の見方が奥深く理解できる!
感想・レビュー・書評
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架空の国や街を、地形の成り立ち、歴史、都市計画などの視点から地図に作り込んでいく空想地図。その第一人者である今和泉隆行氏による、空想地図世界への誘い。
本書は3部構成となっている。第1部は空想地図作成者の作品の紹介。私は地図が大好きだと思っていたが、いやはや、空想地図作成者の方々の作り込み方、こだわりを見ると、好きが足りなかった、と頭が下がる。
何を重要視するかによって地図の内容に個性が現れるのも面白い。地球の成り立ちに興味がある人は、プレートや海流の動きから架空の大陸を生み出しているし、鉄道や道路が好きな人は、地形からどのように線路や道路を通すか綿密に考えている。明治以前の城下町が明治期に変化し、高度経済成長期に開発されていく過程を地図に落とし込む人もいる。
第2部では、著者の今和泉氏が製作した「中村市(なごむらし)」の地図を、地形の専門家、歴史地理学の専門家、都市計画の専門家にチェックしてもらい、矛盾のないように修正していく。
率直な意見にかなりの修正を強いられて大変だったようだが、専門家の人たちがどんどん地図の世界観にはまっていき、架空の大学の学生によるまちづくり調査の結果、門前町が保存地区になるところまで妄想を膨らませているところがおかしい。
第3部は、著者がオンラインで行った「空想地図塾」の課題をもとに、空想地図作成の方法をレクチャーする。本書に紹介されているような地図を作成するにはかなりの労力が必要だが、まずは手書きで一本線を引けば地図の始まりなのだ。本書では最初のとっかかりのハードルをぐっと下げてくれる。
空想地図は、自分の妄想が形になる楽しさもあるが、地形や地理、歴史、都市計画といったさまざまな視点から現存する街を見つめなおす非常によい経験になりそうだ。
まずは一本の道路から、空想地図を書いてみようかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
以前同著者の別の本が面白かったこともあり、書店で見かけ購入。
文字通り空想の地図を作ることを趣味としている人たちの作品(地図)の紹介や、地理や歴史、都市計画の各専門家との対話を経て空想地図が改善されていくプロセスの話が出てくる。
とにかく学問の一分野であってもおかしくないくらい濃厚なコンテンツである。作成者のツイッターアカウントや、サイト、更にはカフェの紹介があるのもよい。 -
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架空の地図が好きなのでいろいろ読んだことはあったんですが、いろんな人の色んな空想地図が集まるとまた得も言われぬ圧があって大変よかったです。大陸プレートも作り始める人、架空の都市の架空の戦前の地図を作り出す人、こんなに各ページ細密なのにほぼすべてが個々人の空想。濃い。
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ワクワクした。
本居宣長もだったとは。 -
<目次>
第1部 空想地図を読み解く
第1章 広範囲を見渡す地図帳・道路地図
第2章 地形や建物の表現が緻密な地形図
第3章 都市や交通の情報が詰まる都市地図
第2部 描き変わる中村(なごむる)市の空想地図
第4章 中村市を読み込む
第5章 中村市はどう描かれたか
第3部 空想地図を描いてみる
<内容>
空想地図は、「タモリ倶楽部」に著者の今和泉氏が出ていて、その緻密さに舌を巻いたのだが(前著『みんなの空想地図』も読んでいる)、自分も子ども時代に架空の町をイメージして遊んでいたし、「シムシティ」や「A列車で行こう!」などを愉しんだクチだ。この本を読むと、同系の志が多いことと、単に地図を書いているだけではなく、地形や歴史、都市計画などを想定しているところがスゴイ。最後にはイラストレーターを使っての地図作成の指南まで載っている。ここまでやる気はしないが、久しぶりに「シムシティ」をやってみたいな、と思った(ただこのソフトは、また違う道へと進んでいる気がするが…)。 -
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