空き家・空きビルの福祉転用: 地域資源のコンバージョン

  • 学芸出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761532000

作品紹介・あらすじ

地域の既存建物の福祉転用は、省コスト・省資源につながるうえに、新築では得にくい立地や、なじみのある質の高い福祉空間を生み出し、地域の再生にも役立つことが多い。しかし、その実現には福祉と建築の協働が欠かせない。そこで本書は、両分野の関係者が共通認識を持てるよう、建築や福祉の制度・技術の概要についてまとめて紹介するとともに、両者の知恵が実った先進37事例について、平面図や改修費、技術的ポイント、施設運用の実際、転用にともなう課題等を掲載した。

感想・レビュー・書評

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  •  既存の住宅、オフィスビル、学校、商業施設、工場ごとに、福祉施設への転用を建築設計上どう工夫して対応したかが、述べられていて、みていて建築家の技法が存分に紹介されていて、すばらしい。

     あまりふれていなかったが、重要な点。

    (1)改修コストの調達方法と維持管理費の確保の仕方。補助金だのみなのか、自立的経営をしているのかが、本当は一番大事。建築設計は、自立的経営の範囲で行われるべきものだから。

    (2)ちらっと書かれている部分があるが、福祉施設を立地させた場合の周囲の住民との調整。きっと反対運動などもあったはずなので、その部分も丁寧に記述してほしかった。

    (3)規制的側面では、消防法が厳しい。小規模な福祉施設で火災が起きるたびに強化されてくるし、遡及適用されるので注意が必要。また、飲食サービスをする場合には、食品衛生法上の保健所の許可が必要。もちろん、建築基準法上の耐震基準とか採光の基準とかもやっかい。制度が複雑になって、パズルをとくようになっているので、建築家の出番だが、あまりに事前確定性のない消防法の規制は不満が大きい。

     消防法を実質的に判断している消防署の職員が建築技術に不勉強なのも本当は原因の一つではないか。だから、交渉でなんとかなったり、ならなかったり、また消防庁の通知一本で変わったりするのだと思う。もうわかりにくい法律だが、問題点発見のため、勉強してみようと思う。

  • 2030年には65歳以上の高齢者が全人口の3分の1を超すといわれる。一方、不動産物件を管理する地主・家主も高齢化し、管理しきれなくなった物件の空き家・空室率が激増するのは目に見えている。いかに資産を効率よく運用し利益を上げるかが生き残りのポイント・・・などという視点で読んでみたい。

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著者プロフィール

1956年岐阜県生まれ。1982年豊橋技術科学大学大学院建設工学専攻修了。1999年大阪市立大学大学院生活科学研究科助教授、2004年より大阪市立大学大学院生活科学研究科教授。一級建築士、博士(工学)。人間環境学会賞、日本都市住宅学会賞業績賞、大阪市立大学優秀教育賞など受賞。編著書に『エイジング・イン・プレイス 超高齢社会の居住デザイン』(学芸出版社、2009)、『福祉転用による建築・地域のリノベーション』(学芸出版社、2018)ほか。(担当:5章)

「2018年 『リノベーションの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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