クリティカルシンキング 入門篇: あなたの思考をガイドする40の原則
- 北大路書房 (1996年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
- / ISBN・EAN: 9784762820618
作品紹介・あらすじ
「ものの考え方」自体を学ぶ機会がこれまでにあっただろうか。本書は,現代をよりよく生きるために必要な「ものの考え方」,すなわち「クリティカルシンキング」を系統的に学習するためのテキスト。提示された「原則」や,豊富な練習問題を通じ,自ら考えようとする態度や習慣を身につけるためのガイドとして最適である。
感想・レビュー・書評
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ざっくりとした自分の解釈としては
クリティカルな思考とは、
人間が陥りやすい思考の落とし穴や先入観による影響などを十分に自覚した上で、そこから脱却し、物事を冷静に、客観的に、論理的に考え、判断していくこと。
と書いてある。
具体的には
・物事の原因を考える。
↓
原因を決めるときに人はどういう間違いをするか
・他人の行動を説明する。
↓
他人の行動を決めるときには、何を見てしまいがちになるのか
・自分で自分を省察する。
↓
自分が自分に騙されるのはなぜか?
・信念を分析する。
↓
なぜ人はオカルトにだまされるのか?
などを理論的に説明してくれている。
感想
本書の中に“考えてみよう“というコーナーがあるのだが結構難しい。
まさに、頭に汗をかくとはこのことだな、と思った。
個人的には第二章がとてもためになった。
興味のある方は是非読んでみてほしい
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誰かに、自己啓発でいい本ない?と言われたら、私はこの本を紹介することにしています。
読んだのは遙か前ですが、未だ、見返しては、学ぶことが多いです。
キーワードは「冷静な頭と温かい心」「マインドフル」
自分の思考バイアスを認知し、冷静に物事を考えることが訓練できると思います。
心理学的なアプローチが中心ですが、ぜひ、ノートを片手に、一章ごとにある課題に挑戦しながら、少しづつ読み進めることをお勧めします。自分の思考特性、課題、相対する人、出来事を冷静な視点で捉え、行動する、頭のスイッチを入れる訓練ができるようになると思います。 -
目的:クリティカルシンキングという言葉はよく聞くが、実態がつかめなかったため読んでみようと思った
仮説:事前の知識として、様々な視点で物事を捉えましょう、というものだと理解していた
要約:
自分の事前に持っていた知識はそこまで的外れではなかった。
この本では、人の考え方の癖/傾向を取り上げているが、それよりも物事を批判的に様々な角度から見て考えようとする、態度が一番必要だと述べていた。
考え方の癖として、普段の生活でも使えそうなものをいくつかピックアップ・
・何かが起こったとき、過度に個人に原因帰属するのではなく、状況にも注意する
→わかりやすい/イメージしやすい原因に飛びつくのではなく、様々な情報を集める
・性格的自己非難ではなく、行動的自己非難を行う。具体的には、自分自身が悪いと捉えるのではなく、自分の行った行動が悪かった、という考え方をする
→問題があることよりも、問題を認めないことのほうが問題
・自分の見ているものは、自分のバイアスで偏っているということを認識する
→他の人の視点をとりいれる。他の人ならどう考える?とか
Act:上記三点を生活に取り込む -
クリティカルシンキングを厳密に紹介してくれる。
かつ、読みにくくない貴重な一冊。 -
面白い。この本を読むと、
・物事を鵜呑みにしなくなる
・行動経済学の観点から、人間の不合理性を自覚することができる
・楽観主義の効能に気づき、ポジティブを心がけたくなる
・自己ハンディキャッピングや負の自己成就的予言を回避できるようになる
etc...
そのほかにも、生きづらさが幾分解消されうる思考法が実例とともに豊富に紹介されている。
あらゆる思考フレーム本の総本山のような印象を受けた。インプットだけでなく、アウトプットさせる仕掛け作りが非常に秀逸。そして、何よりわかりやすい。めちゃくちゃわかりやすい。
そして、40の原則が本書では示されているが、原則1が最も大切だと感じた。
原則1:クリティカルな思考に必要な要素は、態度・知識・技術である。特に重要なのが、注意深く観察し、じっくり考えようとする「態度」である。
態度なくして成長は見られないし、せっかくの思考法も宝の持ち腐れになってしまう。
読んでおしまいにするのではなく、自分の生活にどんどん活用していき、まずは「態度」を身につけたい。
自己啓発本としても有益な本だった。 -
論理的な思考力を身につけるためには,ものごとをどのように見たり,あるいは解釈したりすればよいかということについて書かれている本.
社会心理学的な内容の記述が多いが,すべての科学的実験の基本となる考え方も述べられていて興味深い.
たとえば,「Xが存在する時Yが起こり(一致),Xが存在しない時Yが起こらない(差異)ことの両方を示すことで,XがYの「必要」にして「十分」な原因であるという証拠を提示できる」など.
これを一致と差異の併用法というらしい.
他にも,印象に残っているのは,第4章に出てくる「甘いレモンとすっぱいブドウの合理化」の話.
とかく人間は,自分にとって都合のよいように出来事を解釈しがちであるということに気がつく.
原因帰属の方法,すなわち因果関係を立証する規準について述べている第2章が特におもしろいと思う.
ものごとの原因を特定するのは容易なことではないのだなあということがよくわかる.
(2007年8月7日)
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われわれはものごとの意味を理解するために、何が原因でそのようなことが起こるのかを日常的に考え続けている。
しかし、あることが別のあることの原因であると特定する(原因推測)というのは、なかなかに困難な行為である。
2つの出来事が共変している、つまり相関しているというだけで、それらの間に因果関係があると断定することはできない。
1.共変関係
2.時間的順序
3.もっともらしい他の原因(第3変数)の排除
これらすべての規準が満たされてはじめて、2つの出来事の間に因果関係があると主張することができる。
(2008年10月23日) -
クリティカルシンキングにおいて、大事なのは技術、知識、態度の3つ。
もっとも重要なのは態度である。これは自ら意識しないと身につかない。
この本をただ読むだけなら、身につくのは考える技術のみだろう(本当に読むだけなら考え方という知識だけでそれすら身につかない可能性もある)。
心理学を引き合いに出しながら、人がおちいってしまいがちな思考のクセとも呼べるものを知って、物事、他人、自分自身、信念と分けられた各章でどのように考えていけば良いかを学ぶ。忘れてはいけないのは、これは安易に出された答えに飛びついてしまわないように、誤まった考えを避けるためのものであって、正しい答えが出せるというものではない。
ところどころにある【考えてみよう】に実際に挑戦することで、"態度"が少しは身につくかもしれない。 -
ロジカルシンキングについてはある程度理解しつつも、クリティカルシンキングについてはしっかり理解できていなかった気がするので読んでみた。
自身が陥りやすい癖などを理解できた -
「君は論理的思考ができていない」と言われ続けた僕の窮地を救ってくれた一冊。
どういう思い込みをしやすいか、思考の落とし穴はどこにあるか、この本で学ぶことができました。
思考法の学習として、仕事で実践→ダメ出しを食らう、を繰り返してばかりだった僕に、考え方のプロセスという道を与えてくれました。
余談ですが、この本をきっかけに心理学への興味を持ち、それが行動経済学への興味へと繋がって、それらが今では僕の趣味のひとつとなりました。行動経済学は仕事に趣味に役立っているので、その点でも感謝しかありません。
わりと古い本なので、クリティカルシンキングを学びやすい最新の本を探していますが、なかなか見つかっていません。重要な技術ながら、日本ではあまり注目されていないのかもしれません。その意味では、まだまだ読んでみる価値がある一冊だと思っています。 -
自分のものの考え方に歪みがあることを認識した。この本は一読するだけでなく実践が必要である。実践編も読み通して繰り返し鍛えていきたい。
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クリティカルシンキングの先駆け的名著。20年以上前に出版されたが、いまだにその輝きを失っていない。
クリティカルシンキングとは、人間の持つ認知的バイアスやエラーのような落とし穴にはまらずに、明確な基準やルールで判断するという理念であり、そのような理念のもとに方向づけられた思考のことである。基準やルールが受け持つ領域は因果関係についてであり、原因帰属に対して威力を発揮する。 -
思い込みというのは、怖い。一つの事実だけを見て全体を捉えようとしたり、他人を責めたり。みんな、自分を信じすぎていることに気づいていない。
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本来の原因はどこにあるのか、状況や背景、立場を分析することなく、結果だけを見つめてはないか。都合のいい理由をつけて(たとえば、相手の性格や性質を思い込み)、相手を受け取っていないか。確かな根拠なしに何かを判断するのは危険だ。
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コミュニケーションにおいての"勘違い" は、よく起こるもの。でも、だからこそ、相手を理解しようと思考を巡らせなくてはならない。ひとは他者との関係の間でしか、成長できないのだから。
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#クリティカルシンキング #ロジカルシンキング #実は課題図書 #コミュニケーション #他者 #思い込み #勘違い #無意識 #才能も努力も占いも超常現象もロジカルしてて面白い -
何事も、極端に原因を決めるのではなく
個人、環境、その人の置かれた環境・心理など
自分の有利、不利も含めて
考える ''態度'' が大切。
周りを気にしすぎる人。が、
クリティカルシンキング に近い気もしたが、
逆に、''周り''ばかり見過ぎて、
''個人''のことが見えていない事もあると思う。
そのバランスが大切 -
クリティカルシンキング=適切な基準や根拠に基づく論理的で偏りのない思考
人間の思考には数多くの歪みがあり,現実を正しく認識したり推論することを妨げることがある.(プラスに働くこともあるが)
そんな思考の癖を数多く紹介し,また,それを意識的にコントロールするためのエクササイズが載っている本.
読了6時間
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クリティカルシンキング=
適切な規準や根拠に基づく、論理的で、偏りのない思考
三つの要素
態度 知識 技術
基本的帰属錯誤
物事の原因が個人の内側にあると決めつけてしまう傾向
状況の影響を過小評価、個人の影響を過大評価
あることを「理解する」ということは、その原因を認識できるということに他ならない
原因は2種類
必要原因 Xがなければ結果Yは起こり得ない条件
水を飲む → 人は死なない
Xが存在すれば、Yは起きるかもしれないし起きないかもしれない
Xが存在しなければ、Yは絶対に起きない
十分原因 ある結果Xをもたらすことが可能な原因
ホームランを打つ → 点が入る
Xが存在すれば必ずYが起きる
Xが存在しなければ、Yは起きるかもしれないし起きないかもしれない
十分原因(必要原因1,2,...)→結果Y
"われわれは、何かしら以上で、新しく.あまり普通ではない条件を原因とみなす傾向にある"
(野球での勝利には、空気や重力の存在は必要原因の一つだが、あえて取り上げられることはない)
→目につく出来事や、他の原因より目立つ出来事にだけ着目し、原因と即断する傾向に注意。
(例:投手陣の好調)
因果関係を立証する規準:
・共変関係(相関、随伴)
・時間的順序関係
・もっともらしい他の原因の排除
→相関は因果は違うとはいうが、この規準から察するに相関は因果のための一パーツにしか過ぎないことになる。
もっともらしい他の原因→第三変数
X>YではなくZ>X, z>y
相関の錯覚:
共変の度合いの見積りに、自分の信念や期待の影響が入ってしまうこと
前後論法(おれがXするまえはYだったが、Zになった。だからX>Zだ。)
→真の原因が同時期に発生していたり、自然な成り行きで起こる本当の原因があるのではないかと
平均方向への回帰
不幸続き(平均から外れてる)とき以降うんグッズを買う→平均への回帰で運の主観的評価が回復するがか幸運グッズのおかげと誤解。
原因
内的原因・外的原因
人の行動の評価
一致性(みんなと同じことをしているか)
弁別性(対象は限定されているか)
一貫性(あらゆる場面でその行動が出るか)
行為の当事者→原因を外的なものに帰属しがち
行為の観察者→原因を内的なものに帰属しがち
自己高揚バイアス・自己防衛バイアス
自分にとって好ましい原因を内的に帰属させる。逆も然り。
自分の属するうち集団の人の成功は内的に、失敗は外的に帰属させがち。外集団の場合は逆
ステレオタイプ
→集団やメンバー対する固定観念的知識
原因分析の軸
内的・外的
状況安定・不安定(再現性)
全体的(一貫的)・状況特殊的
コントロール可能・不可能
"抑うつ症になりやすい人は、自分にネガティブな出来事が起こった時、これを習慣的に、内的で(自分のせい)、安定した(いつもそう)、全体的な(なんでもそう)原因に帰属する傾向"
→自傷的自責マインド
認知的不協和
物事がうまく進まなくなるとその理由を考えがちだが「なぜうまく行っているのか」はあまり考察されない
・甘いレモン、酸っぱい葡萄
→自分の選択が誤りだったと認めたくないために行われる合理化。
新入社員への罰ゲーム的な行動の強制
→加入儀式(イニシエーション)
カルト的宗教集団でよく行われる
辛い体験が、一因であることの誇り、帰属意識、エンゲージメントアップ
公平世界仮説が招くバイアス
ある人が被害を受けた→その報いを受けるに値する人物なのだという非論理的錯覚
自己モニタリング
他者から自分はどう見えるかを自分自身で俯瞰すること。
→自分は低め
自己ハンディキャップ
困難な挑戦の前に、保険として自分にハンデを負わせる行動を取る。
例:試験前のゲーム
→言い訳づくり。負け癖につながるな。
性格論的自己批判(内的、安定的)
行動的自己批判(内的だが可変)
→行動なら正せる
「能力がない」は内的,「努力が足りない」は外的(行動的)
性格的批判・行動的
平均への回帰
抑うつ的原因帰属
原則28
失敗や行き詰まりを感じたときは努力の質と量を再検討。質の検討が肝要
少数の法則
大数の法則は少ない試行回数では成り立たないことがある
ピグマリオン効果とは、教育心理学の用語で、他者から期待されると成績が向上する現象
プライミング効果とは、「予め経験した刺激によって、後の判断が左右される現象」を表す心理学用語です。例えば、ぶどう、バナナ、メロン、みかん のカードを順に見せた後に「では赤い物って何がありますか?」と言われると、大抵の場合「りんご」か「いちご」と答えるのではないでしょうか?
なぜ誤った信念を抱いてしまうのか?
・利用可能性ヒューリスティック
・代表性ヒューリスティック -
35403
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結局、心理学。
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机上の理論としては凄く洗練されていて、大手コンサルが好きそうな話。
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やや古い本ではあるが、ビジネスだけに特化していないクリティカル・シンキングを全体像でまとめた良書であると思う。やや文字が小さいのが難点か。
入門編と実践編となっているが、原著では全10章で1冊になっているようなので、2冊読んだ方がよいと思う。ここでは前半の1〜5章までを書いておく。
1章 クリティカルシンキングとは
本書の構成やクリティカルシンキングの重要性をまとめている。
2章 物事の原因について考える。
結果には必ず原因があり、それを特定すること(原因の選択をするための決定する規準)が大切である。相関関係、時間的順序、第三因子、平均への回帰などのやや統計学に近い話であった。
3章 他人の行動証明する
行動には原因では、内的原因と外的原因があるため、それを立方体モデルで考えるとよい。行為者と観察者、ステレオタイプなどの影響面も重要である。
4章 自分自身を省察する
他人ではなく自分を認知するには、認知の歪みが発生することが多い。認知的不協和などが発生しやすいので、それらを考えて自分を考えることが重要である。
5章 信念を分析する
人はオカルト(超能力)などの存在に影響されやすい。そのあたりを考えないで現実を捉えることの難しさを説いている。 -
生活の中で役立つ、「クリティカルシンキング」の入門書。1996年の刊行だが、内容はいつの時代にも役立つものばかり。特に情報溢れる今だからこそ、的確に物事を考える上で、参考になる名著。
1章 クリティカルな思考とは何か、いかに学べばよいのか
2章 ものごとの原因について考える
3章 他人の行動を説明する
4章 自分自身を省察する
5章 信念を分析する