ふだん使いのナラティヴ・セラピー: 人生のストーリーを語り直し、希望を呼び戻す

  • 北大路書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784762829390

作品紹介・あらすじ

私たちが敬意を持ち共に生きることのできる人生のストーリーラインを作るためにはどうすればよいのか。トラウマ,虐待,個人的な失敗,悲嘆,老いといった困難に対峙するためのユニークな質問や道具,アイデアを提供。「問題の外在化」や「リ・メンバリング」など,人生のストーリーを書き換える方法を実践的に解説する。

◆マイケル・ホワイトが遺した本書原案
本書は,人々の人生に新しいストーリーを押し付けたり,アドバイスを与えるものではない。読者が自分自身の人生を新しい目で眺めたり,それまではしばしばないがしろにされていた出来事の新しい重要性を発見したり,しばしばその価値を見出されなかった輝ける行為を見つけたり,そしてそれまではたいていほったらかしにされてきた風景における問題や窮状に対して解決を見つけるよう誘うものであってほしいのだ。…いかにして前進するかを知るためのオプションが,読者に提供されればと思う。
(マイケル・ホワイトの草稿:「はじめに」より)

◆主な目次
はじめに
PART 1
第1章 人生はストーリーでできている 
第2章 私たちは問題ではない
第3章 私たちのストーリーにとって正しい聴衆を見つける
第4章 チームワーク――私たちにとって大切な人を思い出す
第5章 旅としての人生――アイデンティティの移動
PART 2
第6章 正常さを疑うことと,失敗から逃げること
第7章 トラウマから人生を取り戻し,貴重なことを讃える
第8章 大切な人を亡くしたときに再会すること
第9章 遺産と記憶――人生の最終章を迎えたとき
第10章 私たちのストーリーはもっと大きな構図のどこにフィットするのか?
エピローグ 振り返り,先を見る

感想・レビュー・書評

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  • ナラティヴ・アプローチは、ホワイトやモンク、ウィンズレイドの本からスタートして、すごい面白いけど、同時に難しいな〜、という印象をもった。

    何冊か、難しい系の本をよんだあとで、モーガンの「ナラティブセラピーってなに?」を読み、スッキリして、さらに「ナラティヴ・セラピーみんなのQ&A」を読んで、頭がすっきり整理された。

    そういうところで、こちらの「ふだん使い」を読んだわけだが、ほんと、これはいいな〜。

    モーガンの本も分かりやすいけど、対象となっているのはセラピストという感じだったのが、こちらはセラピストではない普通の人でも読んだり、できるところから試してみることができようなワークも含む本に仕上がっている。

    この本のもともとのアイディアはホワイトのもので、本の構成くらいまで考えられていたらしいが、ホワイトの逝去により実現しなかった。

    そのアイディアを弟子(?)デンボロウが引き継ぎ、書いたもの。ケースのなかには、ホワイトの事例もたくさん入っていて、デンボロウの師への愛を感じる。

    ホワイトがこの本を書いていたらどうだろう、という妄想もあるわけだが、きっと、この本はデンボロウによって書かれることになっていただんだろうな、と思える素晴らしさ。

    とにかく分かりやすいし、人への優しい眼差し、自分に対する正直さや社会へのかかわりの真摯が伝わってくる。

    と書くと、ちょっと人間にフォーカスしすぎで、ナラティヴの理論的背景と違うんじゃないの疑問も浮かぶかもしれない。

    だが、それでもいいのだ、と断言してみる。

    理論はいろいろあるけど、結局のところ、自分も他の人も、活き活きと生きることができれば、いいのだ。

    そういうパーソナルな思いをもったうえでの外在化だったり、脱構築だったりするということなのかな?

    他人や社会によって構成されたディスコースに気づき、自分自身にとってより元気のでるストーリーを選択するということかな?と思った。

    理論的に社会批判をするわけではなくて、自分らしく生きにくいと思っている人、そして実体論的に「自分が立つ大地」みたいなものを感じることができないと思う人が、活き活きと生きやすくなればいいんだと思う。

    ナラティヴの入門は、この本か、モーガンがおすすめかな?

    この辺を読んでから、ホワイトの本に進むと、いいと思う。

  • ライフ木旅

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著者プロフィール

D.デンボロウ(David Denborough)
 コミュニティワーカー、教師、そしてアデレイドにあるダルウィッチセンターのライター/エディターとして働いている。彼は特に、心理学的植民地化の機会を制限し、人生チーム・ナラティヴ・アプローチや(Ncazelo Ncubeと共同した)人生の木のような異文化発明の可能性を創造する異文化的パートナーシップに関心を抱いている。このような集団的ナラティヴ・メソドロジーは、トラウマ体験について直接話すことなくその影響に人々が対処するのを援助することを求めている。
 デイヴィッドは、集団的ナラティヴ実践がいかにして社会運動を活性化そして、あるいは支持するかということにも大変興味を持っている。最近、教育/コミュニティ課題が実践されたのは、ブラジル、パレスチナ、シンガポール、オーストリア、香港、カルジスタン(イラク)、インド、カナダ、スリランカ、アルゼンチン、チリ、南アフリカ共和国、そしてオーストラリアのいくつかのアボリジニー・コミュニティなどである。デイヴィッドは、メルボルン大学と共同でナラティヴ・セラピーとコミュニティワークの修士課程をコーディネイトしてもいる。
 現在の時事問題に対応した彼の楽曲は、オーストラリアとカナダでオンエア中である。彼の著作は以下の通り。

• Retelling the stories of our lives: Everyday narrative therapy to draw inspiration and transform experience(本書)
• Collective narrative practice: Responding to individuals, groups, and communities who have experienced trauma
• Working with memory in the shadow of genocide: The narrative practices of Ibuka trauma counsellors
• Beyond the prison: Gathering dreams of freedom
• Queer counselling and narrative practice
• Family therapy: Exploring the field's past, present and possible futures
• Trauma: Narrative responses to traumatic experience
• Introducing Narrative Therapy(『ナラティヴ・セラピーの実践』金剛出版 2000年)

「2016年 『ふだん使いのナラティヴ・セラピー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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