失われゆく仕事の図鑑

  • グラフィック社
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本棚登録 : 225
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766134865

作品紹介・あらすじ

近年、とみに進む合理化によって仕事・職業の種類は日に日に数を減らしています。
かつてはどこでも見られた風景が消えつつある。それは寂しいことでもありますが、記憶の中で生き続ける彼らの姿は「職業文化」ともいうべき貴重な記録ともいえます。
本書では、すでに無くなってしまった仕事、わずかながらも残る貴重な仕事、さらには合理化の上の合理化で、自動販売機すらもなくなりつつある「仕事」など121の仕事・職業について「ショー」「遊び」「食」「物販」「交通」「サービス」「作業」などのジャンル分けで紹介。
「懐かしい」というリアル世代にも、「こんな仕事あったんだ!」という新世代にもわかりやすいよう、イラストなどを交えながら解説する1冊としました。
特集ページでは、消えつつある職業についていたOB・OGのインタビューなども紹介。
今はなき街の姿、あの頃の想い出、そしてテレビや小説でしか知らなかった(?)「アノ」仕事のリアルがわかる内容に仕上げました。

感想・レビュー・書評

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  • 全部ではないですが

    私が子供のころには

    確かにあった職業です

    「懐かしい」というリアル世代ですね



    手作業が当たり前だった時代には

    沢山の仕事がありましたねぇ

    専門職が今よりも多かった



    この仕事を全然知らない世代にも

    分かりやすく 逸話と写真付き

    だいたい何年ぐらいまで

    あったのか も分かります

  • キーワードは四つ。
    失われゆく仕事・失われゆく場所・減ってゆく機械・失われた仕事
    ショー、食、交通、作業、遊び、物販、サービスに視点を当て、
    121の消えゆく、或いは消えた仕事を紹介する。
    失われてた、失われつつある仕事。
    うどんやエロ本等、各種自動販売機・・・減っていく機械は、
    作り手、会社や工場、メンテする人が失われているのかも。
    雇仲居、ピストル屋・・・え、こんな仕事があったのか!?
    花売り娘、灯台守・・・文学や映画等で、名前だけは知っている仕事。
    タイピスト、野菜の行商・・・幼い頃に確かに存在した仕事。
    ノスタルジックな写真とイラストに、ぎっしり埋めるような文が
    それらの姿と存在を詳しく、回顧的に語っています。
    そういえば小学校に入学した頃、まだ近所に貸本屋があって、
    初めて借りたのが古賀新一のホラー漫画だったなぁ。
    親には呆れられたけど、ちょっとお姉さんになった気分でした。
    その後すぐに、学校の図書室と公共図書館にシフトして、
    あの貸本屋もいつの間にか消えてしまいましたっけ。
    また、まだ残る秋葉原駅のミルクスタンドは、
    ビン牛乳が美味しくて、疲れた身体を癒してくれますよ~。
    貴重な記録としても良い内容の本で、楽しめました。

  • すでに失われた、あるいは失われつつある121の仕事・職業について「ショー」「遊び」「食」「物販」「交通」「サービス」「作業」などのジャンル別に紹介する本。

    登場するのはたとえば、氷屋・し尿汲み取り・活動弁士・筏師・紙芝居屋・流し(ギター伴奏・歌唱)・スマートボールのプロ・踏み切り番・(銭湯の)三助・サンドイッチマン・ちんどん屋などなど……。

    売血・エロ本の自動販売機・(デパートの)屋上庭園などという項目もあり、「職業じゃないだろ(笑)」と思うが、そういう項目もよいアクセントになっている。

    類書も多いが、本書はその中でも「本としての楽しさ」が群を抜いていると思う。

    貴重な古い写真とイラストがそれぞれ味わい深いし、いまどきあまり見ないような小さな級数の字で、情報がギッシリ。

    社会学的な堅苦しさはなく、ノスタルジックな読み物として楽しい。
    9人の執筆者が、各職業にまつわる個人的な思い出を随所で披露しており、そこがまたよい。

    ちなみに、カバー写真は、1952年・銀座の夜の街の「花売り娘」。

  • こうやって無くなった仕事やベンダーの数々を見ていて思うのは、誰しも今の仕事がいずれなくなるなんて思っても見なかったんだろうなという事です。一時的に勃興したベンチャー的なものも、何百年も続いた伝統的なこともいつか必要とされなくなる日が来る。そう思っていなければいけないなと思います。この本を読んでいて一番思ったのはそれです。

    そしてとても感慨深かったのは金魚売りでしょうか。どこかで一度見たことがあるような気がしたのですが、テレビか何かで見たのかなあ。白昼夢のような記憶が有って、目の当たりにした記憶があるのですがあてにならないか・・・。
    もう遠い昔に無くなった仕事もたくさん載っていますが、若者から見たら我々の時代に残っていたものも懐かしの仕事という事になるのでしょう。時代の流れは速い・・・。

  • インターネットやAIのめざましい発展で、ものや仕事はどんどん進化している。
    そんななかで、「消えゆく」ものや仕事を121紹介していた。
    明治から昭和を舞台にしたドラマでしか見たことないものや仕事もあり、本当にこんな時代があったんだと興味深く読んだ。

    名曲喫茶、筏師、映画看板師、新聞社の伝書鳩、代参商、(満員電車の)押し屋、金魚売り、売血などのページは特に目を引いた。
    伝書鳩や代参商(犬)を本気で活用していたなんて、今じゃ考えられない。
    古き良き時代。
    面白かったし、ノスタルジックだった。

  • 日本の仕事図鑑である。絶滅した仕事や絶滅危惧種と言っても良い仕事がずらりと紹介されている。100以上の仕事が紹介されており、それぞれどんな仕事で、当時の様子などが解説されている。
    例えば、「ミルクスタンド」、駅に設置されている牛乳を立ち飲みできるところのようだ。「シロ」と販売員に伝えると、代金と引き換えに牛乳瓶の蓋をあけたものが提供され、一気に飲み干し瓶を返して立ち去る。こんな光景があったことがわかる。
    今でも、まだ存在しているのかもしれない。
    「卵屋」という朝生みたての卵専門店があり、1個単位で売買されていたようだ。今はスーバーでパック売りされているものだが、その昔は複数個購入するときはザルを持って買いに行っていたようだ。
    「押し屋」とは、駅のホームに到着した超満員の電車に、人が乗れるように人を押し込む人たちのこと。国鉄時代の風景。
    写真や絵が掲載されており、当時の様子を想像しやすくなっている。
    新しい商売のアイデアがほしい人が、読んでみたら何かを得られるかもしれない。
    温故知新ですな。

  • かつて都会で見かけられた様々な仕事の図鑑。過去の文学を読んでいると「?」と思う仕事が結構あるのですがそういった昔の職業がたくさん載っていて面白かったです。花売り、流し、サンドイッチマンの3つはGBAソフト「パワプロクンポケット3」でも登場していました。

  • 「ちり紙交換」や「ひよこ売り」「DP屋」は世代的にも懐かしい存在。
    「し尿くみ取り」も小学生の頃までは見かけたなぁなどと、知っている仕事やモノが出てくると自分の想い出と重ね合わせて読みました。
    名前だけは知っているような仕事も多く載っていて、初めてその所以などを知れて勉強になりました。

    スマートボールに”プロ”がいたことが一番衝撃。

  • 失われゆく仕事に、都市生活者が便利さを得る代わりに喪失した仕事のやりがいや楽しみを考えるヒントがあるのではないかという試み。
    ・都市の仕事の多くは、効率的に金を集め、集めた金を失わずにすむようにすること、そのため、たくさんの人が自分の仕事に意味を見出せずにいる。
    ・コミュニケーション能力などなくたって、技さえあれば生きていける。そういう仕事や場があった。
    という示唆的なまえがきやあとがきを何度も読みたくなる。

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著者プロフィール

永井良和(ながい・よしかず)1960年、兵庫県生まれ。京都大学助手、大阪教育大学助教授などを経て、関西大学社会学部教授。都市社会学・大衆文化論専攻。おもな著作に『南海ホークスがあったころ』(河出文庫)、『ホークスの70年』(ソフトバンククリエイティブ)、『南沙織がいたころ』(朝日新書)、『社交ダンスと日本人』(晶文社)など。

「2023年 『南海ホークス 1938年〜1988年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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