- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766137163
作品紹介・あらすじ
日本の切手をつくるのは、たった8人のデザイナーたち。
はじめて本になる、彼らの物語。
ひとりの作家が日本郵便のドアを叩き、丁寧な取材から導き出した、切手デザイナーたちの想いと仕事。
切手やデザイン、印刷、紙ものが好きな人は必読です。
一見すると、遠い存在にも思える珍しい職業ですが、その働く姿には多くの人が共感できるストーリーが詰まっています。
毎日仕事と向き合う、すべての働く人に贈る1冊です。
【内容紹介】
玉木明
1000種以上の切手をつくり続ける切手・葉書室課長
中丸ひとみ
日本郵便のキャラクター「ぽすくま」の生みの親
貝淵純子
普通切手の「あの絵」の描き手
星山理佳
アイデア×印刷加工を切手にしのばせて
丸山 智
郵趣家が好む、渋い題材のエキスパート
山田泰子
誰よりも手紙に近い、元郵便局員のデザイナー
楠田祐士
美術を愛してやまない若き仕事人
吉川亜有美
前職は化粧品会社。切手に新たな風を吹き込む
<コラム>
切手制作の流れ/切手のいろいろ①(切手の種類・印刷会社)/切手のいろいろ②(色のしくみ・用紙と目打ち)/切手の印刷のしくみ/切手デザイナーの机
感想・レビュー・書評
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「切手のデザインには、決裁権のあるクライアントや、競合する商品がない。これは、じつに稀有なこと。切手・葉書室のなかでももちろん意見を出し合うが、そこから先は、デザイナー自身が自らのデザインと向き合い、ベストを尽くす。これしかない。それを豊かなことだと捉える、冷静さ。デザイナーの力とお客さまを信じる、強さとしなやかさ。切手の未来は美しい。」
ー本文より引用
日本に8人しかいない切手デザイナーという仕事。
この仕事の存在を、本書で初めて知った。言われてみたら切手があるということは、作っている人がいるということ。どうしてこんな当たり前のことに気が付かなかったんだろうと思うが、本書で取材される8人のデザイナーたちもまた、自身がこの職に就くまで、その存在を知らなかったそうな。
本書は、
「切手デザイナーの仕事。切手の奥にある仕事と、仕事の奥にある人の姿を書きました。切手が好きな人、デザインに興味がある人、どちらでもない人にも読んでもらえたら嬉しいです。」とのこと。
めくるめく切手デザイナーの方々の、切手との出会い、そして切手にかける想い。
かれらが手がけた切手の写真も掲載されており、この人がこんな切手を作ったんだなぁと目に楽しく思いを馳せながら読めるのが良き。
切手がどのように作られているのか、知ることができると切手に愛着がだんだん湧いてくるというもの。
個人的にはぽすくまが、切手デザイナーが作ったキャラクターであることにびっくり。
あのかわいい生き物は切手を作る人が生みの親だったのか。
デザイナーのみなさんは、みんな魅力的。
とても素敵な本だ。著者には書いてくれて、伝えてくれてありがとう、と言いたい。 -
TOKYO FMの番組で紹介され、早速手に取ってみました。
切手のデザイナーは「たった8人」とのことですが、読み終えて
「8人居たら、8人の人生があり、価値観があり、ものごとの見方がある。 切手という小さなキャンバスで多彩な表現があるんだな。」と気が付きワクワクが止まらない気持ちでいっぱいです。
「特にこの方が!」といった比較ではなく、「それぞれが、それぞれの味わい」をもっているのが、ここで紹介されている切葉室(この表現もとてもうまい!)の魅力だと感じました。
ものづくりや、自分を表現する方法に興味のある方に特にお勧めしたい本です。
「他にこんな本無かったよなぁ~」
「面白い視点で書かれた本だなぁ~」
と、心が温かくなるのを感じます。
誰かに教えたくなる内容が充実した本だと思います。 -
「1年に約40件発行されている特殊切手、そしてもちろん普通切手も含め、日本の切手は、8人でデザインをしている。」(3ページ)
えっ、そうなの?!という率直な驚き…!
。1年に40件近くの特殊切手が発行されているという、その企画数の多さ。
そして普通切手も含めて8人という少人数精鋭でデザインしているという事実…!
この本は、そんな切手デザイナーたちひとりひとりにスポットを当てた1冊です。
切手デザイナーとなった経緯、仕事へのスタンス、切手デザインへのおもいなどなど、まさに8者8様。
そしてそれぞれのページに紹介されている切手の、印象深いこと!
思わず、封筒に貼って出したくなってしまいました。
絵がうまい、だけではできない切手デザインの世界。
たいへんなこともたくさんあるだろうけど、でも切手デザイナーのみなさんは、その大変さもまた楽しみの1つとさえおもっていそうな、そんな生き生きとした仕事ぶりでした。
ものすごい狭き門であり、いつどのように募集がかかるかもわからない切手デザイナーという職業だけれど、どんなお仕事なのかを知っておくのも、なにかに生かされるときがくるかもしれない…
なによりこの本を読んだあと目にする切手は、「この本の人たちがデザインしているんだ…いったい、どの方のデザインなのだろう?」とおもってしまうでしょう。 -
題材が面白かった
切手のデザインで8人でつくられてるんだ……
切手に慶事用や弔事用があることする知らなかった
それぞれの個性が感じられてもどれも素敵
中でも特に山田泰子さんのデザインはどれも私の好みドンピシャ
楠田さんのも結構好き
印刷まで頭に入れたデザイナーさんの話は私の周りにはいなかったので新鮮で面白い
印刷会社とデザイナーが直でやりとりするのが1番スムーズだよなぁ……
特色6色ってこだわりだなぁ、校正もめっちゃ細かっ
ぽすくまって10年の歴史があるのか
タータンチェックに登録があるのも知らなかった
低額普通切手は特色3なのも驚きだけど納得
変遷を見ると完成形の素晴らしさがよりわかる
ちゃんと選ばれるべくして選ばれてるなぁと
ぐりぐらが心配されるなんてw
そういえば羊のマフラー話題になってたなぁ
ゲーム業界最盛期って書き方引っかかるなぁw何をもって最盛と言っているんだろう?
ラッコの切手かわいすぎ
加工のこだわりも面白い
日本の建築切手帳や天然記念物シリーズ素敵
電車の3:7という撮り鉄の心得はよくわからない……皆それぞれ好きな画角があるもんじゃないのか?切手の写真はあまり気持ちよくないのが多かったから、これが黄金比と言われてるの?と感じて……
ノリの違い、めちゃくちゃわかるなぁ……職場によって本当に全然違うし、同じようなことやったw
配達員からのデザイナー、素敵なご縁
デザインがめちゃくちゃ好みなだけでなく、書いてあることに共感することも多かった、ダジャレは言わないけどw
ひろしま美術館はとても見ごたえあって楽しかった記憶があるのだが、美術マニアが太鼓判押すほど充実していたんだな
吉川さんは多分自分が仕事で切手を使ってた時によく見てたやつ、デザインした人なんだろうなぁ~なんて思ったり。それ見て行ったお店あるなぁw
なんかふとした瞬間の言葉の選択に引っ掛かりを感じることが…
せいとか、もちろんとか……些細なんだけど、なんかなぁ -
普段仕事でよく目にしている切手。本書で取り上げられている切手はどれもこれも見覚えのあるものばかり。
それらの切手がどうやって作られているのか、今まで知らなかった裏側の部分が見られるのは面白い!
当たり前だけど8人のデザイナーはそれぞれ個性も得意としている方向性も違う。それぞれの良さが小さな切手というキャンパスに表現されるのが素敵。
新しい切手の企画を挙げる発想はとても自由なもの。でも、それを描くのはどこまでも忠実が求められる世界なのがなんか意外だった。クリエイティブな仕事でありながら制約は多い。個性を出すだけではなくひた隠しにするのも大切な仕事なのだ。それが企業のデザイナーというもの。
切手デザイナーを募集するという話題がTwitterでバズった時のことは私もよく覚えている。世の中にそんな仕事があり、しかも7人しかいない仕事!なんて夢があるんだ!当時そんなことを考えていた。
その時に決まったデザイナーの方はなんと私が一番好きな食べ物シリーズの切手を制作した方だという。素敵な切手を作る方が採用されて私も嬉しいです! -
手紙を書く機会は徐々に減ってきているのに魅力的な切手がどんどん発行されるので、コレクターでもないのについつい買ってしまいます。
コレクターさんやこよなく切手を愛する方々は知ってることばかりかもしれないけど、私のようなゆるい切手好きにとってはたまらない話がこれでもか!と詰まった1冊です。
テーマ決めや完成までのあれこれなど、普段はなかなか知るチャンスもないので(というか気にとめることがなかったというのが正解か?)、終始ワクワクしながら読みました。
何よりデザイナーさんそれぞれの人となりや作風の背景もたっぷりと伺い知ることができて、切手とあわせて親近感マシマシになりました。
つい特殊切手に目が向きがちだけど、普通切手のお話読んだらあのウサギやサルに愛おしさすらおぼえました。
切手って面白い! -
日本には8人の「切手デザイナー」と呼ばれる人たちがいる。
その一人一人にスポットを当て、仕事ぶりや人柄に迫る、
そういう内容の本である。
私は新切手の発売日はチェックして、それに合わせて
手紙を書くほどの切手好きだが、ゆえに文句が出ることも多い。
この切手は好みではない、使いづらい、小さすぎる…などなど。
この本を読んでいると、気に入らない切手ほど、切手デザイナーの
話を聞いてみたいという思いに駆られる。
聞けばきっと、その切手を好きになる。
好きにならなくとも嫌いにはなれないはずだ。
それぐらい、切手デザイナーが仕事は多岐にわたっていて
興味深いものだった。
8人8様。
著者の間部さんがインタビューをして、それぞれの持つ
豊かな個性に魅了されていることがよく分かる。
間部さんのわかりやすくシンプルで愛情溢れる文章表現が
また読んでいて実に心地好い。
切手は日本文化。
あの小さな窓を覗けば、そこは美術館であり、
観光地の見事な景観であり、誇れる建築物であり、
懐かしいふるさとであり、人々のくらしに寄り添うものが見える。
”手紙の最後に振りかけるスパイス”をピリッと効かせるために
奮闘している人々がいると知ることができたのは、
新たな世界を開いた感動でもあった。