- Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766211627
感想・レビュー・書評
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熊本藩六代藩主、細川重賢の伝記物っていうか、借金返済物語……?
とりあえず、超やばい借金持ちの貧乏藩を兄の急死で予定外に継ぐことになってしまった細川重賢が、がんばって藩政改革して借金返すよ!って話なんだが、重賢より周りの家臣のキャラの方が濃くて、結局重賢は名君なのか()という謎が残りつつ、そういう濃いキャラをまとめられるのが名君の条件なんだぜ、っていう読み方をすれば良いのか。
しかし、借金返済物語として読むと、借金返しきる前に重賢死んで話が終了するし、重賢の直系も亡くなってて傍系から跡継ぎ引き取ってくるし、で、結局借金どーなったのよ!?!っていうおそろしくキリの悪い打ちきりの少年漫画みたいな終わり方をするので、もうちょっとなんていうか、こう……すっきりした終章にはならなかったのでしょうか……しかしそれが歴史なのだ???詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
熊本藩六代藩主・細川重賢の藩主人生(=宝暦の改革)を小説形式で読みやすくまとめたもの。経済社会になった江戸元禄後の構造不況をどう立て直していくか、という話なのだが、既得権益が削られるのを拒む守旧派と改革派との人間関係の軋轢に、読むだけで胃がキリキリした……改革成功して良かった!
忠興を導入に細川家について読書中なのだが、重賢の繊細なバランス感覚は細川家の家風を受け継いでいるなと感じさせる。それと、作中で作者が「かぶき者」と表現している武士独特の感覚については、山本博文「殉死の構造」にわかりやすく解説されているので同時に読むのがおすすめ。