日本一小さな大大名: たった五千石で、徳川将軍家と肩を並べた喜連川藩の江戸時代

著者 :
  • ルックナウ(グラフGP)
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766211825

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代にはいろいろな大名がいたが、その中でも個性的な大名がいた。




    大名と言っても石高は5000石だが、10万石扱い、参勤交代しなくてよい、幕府への賦役は免除された。その上「御所さま」と慕われたとなると、どんな家か興味がわいてくる。





    現在の栃木県にあった喜連川藩の領主、喜連川氏のことだ。どうしてこのような扱いになったか。豊臣秀吉と徳川家康の配慮だった。




    秀吉の場合、成り上がって関白・太政大臣になったので、名門に弱い。その上、美人好きのスケベだった。



    島子という喜連川大蔵崎城の城主の夫人が、秀吉に謁見した際、化粧料を与えただけでなく、自分の側室にした。



    島子の弟国朝に約400石を与え、氏姫婿として古河公方家を再興させた。



    徳川家康は、清和源氏の血を引く新田氏の支流、得川氏の末えいとしているが、実際は家康が家系を改ざんしたというのが定説になっているそうだ。



    自分の家系を権威付けするのに源氏の血を引く喜連川を利用した。




    いくら権力やお金があっても、血筋ばかりはどうにもならない。




    このような経緯があり、特殊な立場で江戸時代を生き抜いた。




    これといった産業はなく、宿場であったことが幸いして、参勤交代で訪れる大名が落とすお金が頼りだった。




    領内ではこれといった大規模な一揆はなかった。というもの、代々の御所さまが領民が困らないように気を使っていたようだ。




    「聞く耳」を持っているとアピールするあの総理大臣も、御所さまの姿勢を少しは見習ってほしいものだ。




    小さい藩で1冊の本になるのも珍しいが、個性豊かな藩だからなあ。

  • [ 内容 ]
    元禄期の藩主、四代昭氏は赤穂浪士のせいで十万石の夢が消えた?
    幕末の藩主、十二代縄氏は黄門様の遺言で藩主になった?
    石高はわずか五千石、なのに格は十万石で、参勤交代なし、諸役なしの特別待遇、おまけに「御所さま」と敬われた。
    下野喜連川―。
    この小藩のお殿さま、いったい何者か。

    [ 目次 ]
    第1章 「御所さま」はたったの五千石―日本一小さな大大名、喜連川藩誕生の秘密(何が特別?喜連川藩の不思議;喜連川藩成立の鍵を握る“美貌の正室”;だから喜連川氏は「御所さま」なのだ;江戸城内でも御所さまは別格中の別格)
    第2章 御所さまは商売熱心―由緒正しき極小藩の見栄と悲喜(上得意は他藩のお殿さま;あの手この手で財源をひねり出す御所さま;御所さまの江戸参府)
    第3章 名君か、珍君か?―個性豊かな御所さまたち(幽閉された悲運の御所さま;領民思いの頼もしい御所さま;文武両道の豪快な御所さま;歴代随一の見栄っ張り、だけど憎めない御所さま;わずかでも加増は加増、幸運の御所さま;改革の理想に燃える御所さま)
    第4章 変わり行く時代の中で―御所さまの幕末と明治(黒船が来た;逃げ出した婿殿;時代の嵐の中で;戊辰戦争と喜連川;新時代に向けて)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 20120122読了

  • 喜連川藩をとりげた着眼点は良いが、内容的には地元などに伝わる逸話のオンパレード。エピソードの面白さからなら、石高が極小でも出自から重く扱われた新田家が題材の「猫男爵」(神坂次郎)、史料・史実に基づいた小藩のありようを明らかにした点では「苗木藩政史研究」(後藤時男)に遠く及ばない。しかし、軽い読み物としてなら喜連川という題材の珍しさもあって★三つ。

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著者プロフィール

高知県生まれ。中央大学商学部卒。文献・史料を渉猟し、歴史に埋もれた人物・逸話を蒐集、歴史読み物から小説まで多くの著作を発表している。『実録江戸の悪党』(学研新書)、『徳川将軍家の真実』『家康の家臣団天下を取った戦国最強軍団』(学研M文庫)、『大名の家計簿』(角川SSC新書)、『謎だらけ日本の神様仏様』(新人物往来社文庫)

「2016年 『殿様の食卓 将軍の献立から饗応料理まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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