- Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766424829
作品紹介・あらすじ
働き方改革の根底に潜む問題を壮大なスケールで展望!
労使自治は“桎梏”か“根幹”か? 著者は現代の労働市場で最も顕著な問題を「正規の世界と非正規の世界の不釣合いな関係」と捉え、
富国強兵からシャッター商店街に至る1世紀余りを労働経済学・数量経済史・法と経済学など多彩なアプローチ・分析手法を用いて概観。
現在から未来へとつながるわが国の働き方のトレンドを展望する渾身の力作!
▼私たちは、日々働いている自分たちの労働市場の全体像について、実はあまりよくわかっていないのではないだろうか? この前提からスタートして、現状をより深く理解するために、戦前からの歴史的経緯、ビッグデータを用いた数量分析、「 法と経済学」の視点など、多彩なアプローチを用い壮大なスケールで描き出す!
▼著者はいま数多く存在する労働市場の問題の中で、特に「正規労働と非正規労働の不釣合いな関係」に着目し、その要因、格差の存在、二極化する仕事、自営業の衰退など、まさにわれわれが日々直面しているの解明に正面から取り組んでいる。次世代の労働経済学界の中心的存在の一人である著者、初の単著!
現代日本の労働市場の姿を個別のトピックだけでなく、“全体”として捉えるべく「正規・非正規の関連」を機軸に①日本的雇用慣行成立に至る歴史的経緯、②政府統計等のビッグデータを用いた数量経済史的手法からの分析、③労働法や雇用関係法等「法と経済学」からの視点、といった多彩なアプローチを展開。個人による仕事とは思えない幅広いスケールで、現在の労働市場を描き出す意欲作!
感想・レビュー・書評
-
1990年代半ば以降の労働法制の規制緩和により、非正規労働者が急増し、日本社会における所得格差が広がった、という一般的な理解があると思うが、実相はそういう単純な話ではないようだ。
■まず、「人口全体で見れば正規雇用のシェアは、ほぼ一定を保ち続けて」おり、「正規の世界は強固に残存」している。非正規が増えたからといって、正規労働者の世界にはあまり影響がなかったようだ。
■非正規雇用の増加に伴い、「収縮したのは非雇用者の世界」であり、全体で見れば、「被用者の増加と自営業者の減少」が起こったのである。
■また、日本の所得格差は1980年代から1990年代にかけて急速に増加し、2000年代以降はもはや平等な社会とは言えないという書籍(橘木俊昭1998「日本の経済格差-所得と資産から考える」)が話題を呼んだことがあったが、ところが、実際に統計の専門家等が精査した結果、世帯所得のジニ係数の上昇は、実は高齢化や、若年層・高齢層での単身世帯の増加が主原因であったことが明らかにされた(大竹文雄2005「日本の不平等」)。
本書は労働経済学者が書いた、労働経済学の学術書である。
400ページを超える大部の書であるが、ひとつのことを述べるのに、これまでの研究概要や、統計的な事実や、それに対しての(例えば)数量経済的考察などの、学問的な記述に多くのページが割かれている。
その部分については、素人の私にはかなりハードルが高い。従って、各章に設けられている結論的な部分のみを拾い読みをした(それでもハードルは低くない)。上記は、その内容の一部を紹介したものであるが、興味深く読むことができた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[神林龍『正規の世界・非正規の世界』 - 西東京日記 IN はてな](https://morningrain.hatenablog.com/entry/20180411/p1)
-
366.21||Ka
-
東2法経図・開架 366.21A/Ka48s//K
東2法経図・6F指定:366.21A/Ka48s/Wakisaka