アカデミック・スキルズ(第3版) ――大学生のための知的技法入門

制作 : 佐藤 望 
  • 慶應義塾大学出版会
3.85
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766426564

作品紹介・あらすじ

▼大学生向け学習指南書のベストセラーを8年ぶりに改版!
▼文献表記の書式も一新するとともに、既刊「アカデミック・スキルズ」シリーズとの連携を強化。

累計12万部を超える大学生向け学習指南書のベスト&ロングセラーを8年ぶりに改版。
ノートの取り方や情報の整理法など、大学生の学習の基本を押さえた構成はそのままに、第3版では最新の情報環境との付き合い方や活用法に関する内容を追加。文献表記の書式についても一新するとともに、既刊「アカデミック・スキルズ」シリーズのどの部分を参照したらよいかについても追記した。

感想・レビュー・書評

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  • 良書 テーマの選考から、論文の作成、発表までの流れがわかる

    教育の目的は、学問を通じ、幅広く深い教養をもち、社会性豊かな人間を育てること
    アカデミック・スキルズは、教養そのものではない。これから、一生かけて築いていく幅広く深い教養を積み上げるための、基礎になるものである。

    気になったのは、以下です。

    ■アカデミック・スキルズとは
    ・大学の勉強では、問いそのものを自分で発見する その問いに教師は必ずしも決まった答えを用意していない、というか、決まった答えは往々にしてない
    ・問題を発見するためには、幅広い基礎知識に加え、理解力、洞察力、思考力、感性が必要となってくる。
    ・教養とは、多角的なものの見方であり、問題を発見し解決することのできる力
    ・教養のある人とは、多角的にものを見て自らを客観化し、問題発見をしながら、正しい道を見出していくことができる人
    ・アカデミック・スキルズのサイクルとは 問いの発見⇒調査⇒情報整理⇒発表⇒議論⇒問いの発見
    ・テーマを見つける 知的関心の対象であるからには、知的な判断、すなわちきちんと順序を踏んで論理的に説明できること、自分なりに整理したなぜを他人に説明すること
    ・問いを見つける 知的好奇心と批判的態度 問いをノートの端にでもメモしておくとよい。学べば学ぶほど問いは増し、内容は深くなっていく
    ・研究テーマの3カ条 ①対象は明確か ②方法は明確か ③扱う情報量が使える時間に対して適切か

    ■ノート・テーキング(ノートの取り方)
    ・大学は、何かを与えられるところではなく、自分自身でその何かを獲得するところである
    ・講義をする人は、決してわかりやすくは話てくれない ⇒ ノートは教師の目から発せられ流れていくベタな情報を生きたものとして広げて立体化していく作業
    ・教師のタイプ別対策法 ひたすら説明、ときどき板書 ⇒ アウトラインをしっかりつかむ キーワードを生き分けそれに下線をひいたり、番号を付けたりしてまとめていく
    ・教師のタイプ別対策法 ひたすら板書 ⇒ 重要な内容は実は板書されない説明のところで語られる
    ・ノートの取り方テクニック とにかく時間との勝負 ゆっくり書いているひまはない
     ①キーワードを把握する
     ②聞き取った部分で大切だと思うことを書く
     ③最重要と思われる順番に書く
     ④講義全体のアウトラインを把握する
     ⑤そのアウトラインをきちんと視覚化する
     ⑥大事はキーワードがわかったら追記
     ⑦わからなかったことに?をつけてあとで調べる
     ⑧疑問におもったこと、思いついたことを書いておく欄に設ける
    ・良いノートがとれるということは良い聞き手になること ①理解力、②集中力、③表現力が重要
    ・シラバスを確認し、今日はどの位置にいるのかを確認しておく
    ・講義の流れが変わるところ、それは、接続詞に注意すること
    ・大切なキーワードは繰り返される なんども。字を大きくなる。他と特別されている。
    ・ノートはわすれないためにかくもの、大切だとおもったら、必ずその場で書きとめる

    ■情報収集
    ・インターネットを信じるな 検証されていない不確かな情報が混在している
    ・一次資料 根源までたどった情報 二次資料 一次資料に基づいて書かれた資料 二次資料が信用に足るかはデータの出生をきちんとした書式で提示しているかどうかだ
    ・文書資料の種類
     ①レファレンス資料 辞書、事典、文献目録
     ②単行本 レファレンス資料でも、雑誌でもない図書
     ③新聞・雑誌 定期刊行物
     ④学術雑誌 
     ⑤諸機関や個人の公表資料、および、ネット上の情報

    ■クリティカル・リーディング
    ・批判的、論理的思考をもつ
    ・自分の意見をきちんともつ 独創性、オリジナリティがあること
    ・その意見が一定の論理的根拠をもって他の人にも正しいと受け入れられること
    ・そこで示される事実がきちんと検証できるのか、そこでの主張は論理的な正しいのか
    ・クリティカル・リーディングとは批判的読解をいう
    ・文脈=コンテキストを見つける
    ・精読と速読
    ・読み方
     ①テキストの全体像をつかむ 全体として何を伝えようとしているのかをつかむ 要旨(アブストラクト)
     ②正確に内容を読み取る 要約(章ごと、節ごと、段落ごと⇒全体の構成をつかむ) キーワード、キーセンテンスをみつける
     ③難しい壁を乗り越える 専門用語⇒事典を利用
     ④正確な読みから、批判的な読みへ
       命題(テーゼ)と反命題(アンチテーゼ)
       書評(クリティカル・レビュー) 800字程度にまとめる

    ■情報整理
    ・記録することの大切さ 考える力、整理する力、表現する力、が大学では必要
    ・さまざまなノート、カードを作る
     ①授業ノート 手書き
     ②研究ノート 時系列もしくはトピック別(事項カード、発想ノート)
     ③文献表
     ④読書ノート(自分の思考を整理し可視化する、よみながら自分自身で考えたことや疑問などを欄外に区別して記入)
     調査データ用
     ⑤情報カード(精読カード、速読カード、事項カード)、ルーズリーフ
     ⑥冊子のノート(発想ニート)
     ⑦文書ファイル(PC)
    ・レポートを書く ①テーマを決める ②文献表を作成 ③文献を読む進める ④アウトラインを作る ⑤書く アウトラインは最初は仮でいい
    ・KJ法で流れを作る ①キーワードを集めてカードに書く ②関連するものをグループ分けする ③それぞれのグループにタイトルとつける ④グループ内部の論理をつくる ⑤大きな紙に張り付けてアウトラインを完成する

    ■成果の発表
    ・口頭発表、文章、電子文書 3つの方法がある
    ・反証可能性
    ・結論を先にいう、そして論述を進め、最後に命題の正しさを確認する。
    ・論証、証明される前の命題を、仮説という
    ・全体の構成とことばや文章が明晰であり、そして論証の道筋が論理的に展開されていること
    ・すり替え、論旨の飛躍、悪文に注意
    ・発表をわかりやすくするため、レジュメ、ハンドアウトを用意する ①要約して箇条書きにして全体の流れをわかりやすく ②分かりにくいものを目でみて分かりやすく示す ため
    ・大事なこと ①制限時間をまもる ②短いほど難しい ③あらかじめ声に出して練習

    ■論文・レポート
    ・今書けるところから、とにかく書いてみる
    ・3大原則 ①自分の言葉で語ること ②論理的に、そして命題(テーゼ)を明白に ③書式を統一する
    ・引用のルール 引用自体に語らせてはいけない、出典を明らかにする、正確に引用する、孫引きはしない
    ・見た事もない文献を見たふりをして引用してはいけない
    ・注には、2種類 出典を示す注、補足的な説明をする注

    Contents

    第3版の出版にあたって
    第1章 アカデミック・スキルズとは
    第2章 講義を聞いてノートを取る
    第3章 情報収集の基礎 図書館とデータベースの使い方
    第4章 本を読む クリティカル・リーディングの手法
    第5章 情報整理
    第6章 研究成果の発表
    第7章 プレゼンテーション(口頭発表)のやり方
    第8章 論文・レポートをまとめる
    附録 書式の手引き

    ISBN:9784766426564
    出版社:慶應義塾大学出版会
    判型:A5
    ページ数:192ページ
    価格:1000円(本体)
    発売日:2022年02月03日第3版第3刷

  • 2022/09/19購入・2023/02/11読了。

    第1章 アカデミック・スキルズとは
    勉強の仕方が学べるのかと思っていたが、どうも論文やレポートを提出するにあたり、どのように知識を集めるかといった内容に特化してる模様。私が知りたかった初歩の初歩ではなさそう。

    第2章 講義を聴いてノートを取る
    ノートを取ることは自分の中で講義を解釈して表現することだったのだな。今までずっと黒板丸写しだったよ…。

    第3章 情報収集の基礎ーー図書館とデータベースの使い方
    いやほんと大学の時に知りたかった。レポートNGなことだらけじゃん…orz

    第4章 本を読むーークリティカル・リーディングの手法
    書評を書くことは論文の第一歩だったのね。昔から読書感想文が苦手だったけど、あまり型を知らなかったからだろうな。

    第5章 情報整理
    この方法を大学の時に知りたかった。何度も言う…。かといって国語系苦手だからどちらにしても駄作しか書けなかったと思うが。

    第6章 研究成果の発表
    アウトプットについて詳しく書かれている。情報整理の復習と、割と一般的なことが書かれてたので少しホッとした内容だった。

    第7章 プレゼンテーション(口頭発表)のやり方
    プレゼンテーションのやり方について述べられている。ここも割と基本的な内容だったが、付録(発表しない内容を資料に記載すること)がNGというのは意外だった。

    第8章 論文・レポートをまとめる
    第5章や6章の内容を踏まえていたので、良い復習になった。あとラテン語の勉強になった(覚えられないが…)。

    総括
    学生の時に読みたかった…!これを読んでいればもっとマシなものが書けただろうに…。

  • ・参考図書指定科目:「文献調査と整理術」「アカデミックライティング」「ゼミナール 松尾 寛子」

    <OPAC>
    https://opac.jp.net/Opac/NZ07RHV2FVFkRq0-73eaBwfieml/uG7Oo3tib56MRuFp67ypK9GB4gb/description.html

  • ・参考図書指定科目:「文献調査と整理術」「アカデミックライティング」「ゼミナール 松尾 寛子」

    <OPAC>
    https://opac.jp.net/Opac/NZ07RHV2FVFkRq0-73eaBwfieml/uG7Oo3tib56MRuFp67ypK9GB4gb/description.html

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/655887

  • 下記のリンクでご利用ください。
    学外から利用する場合は「マイライブラリ」もしくはリモートアクセスサービス「RemoteXs(リモートエックス)」をご利用ください。
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000087016

  • 愛知大学図書館OPAC https://libopac.aichi-u.ac.jp/iwjs0012opc/BB01011052

    ノートの取り方や情報の整理法、プレゼンのマナーや書式のマナーなど、大学生の学習の基本となる「調べる」「読む」「書く」「まとめる」「伝える」というスキルについてまとめられています。
    自分で問題を発見し・調べ・発信する力を身につけ、レポートや卒業論文執筆に役立てていきましょう。

  • 377.15/サ

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著者プロフィール

国際基督教大学教授。東京藝術大学、ドイツ、ボーフム大学で音楽学を学び、東京藝術大学助手、慶應義塾大学専任講師・助教授・教授をへて、2019年より現職。専門領域は音楽学、特に17~18世紀ドイツ音楽史、音楽理論、宗教音楽思想研究。慶應義塾大学教養研究センターの活動を通じて大学教育研究にも関わる。2003年以来、教養研究センター基盤研究の幹事 (2011年より座長)として大学カリキュラム研究に継続して関わってきた他、2005~2008年に教養研究センター副所長を務める。訳書に『バッハの鍵盤音楽』(小学館、2001年)、著書に『ドイツ・バロック器楽論』(慶應義塾大学出版会、2005年)の他、ドイツ音楽史、鍵盤演奏法、大学教育、音楽教育を扱った論文がある。音楽学博士。

「2020年 『アカデミック・スキルズ(第3版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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