「働く喜び」の喪失: ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を読み直す (いま読む!名著)
- 現代書館 (2020年7月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784768410202
作品紹介・あらすじ
マックス・ヴェーバーは、20世紀初頭に刊行された『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』において、近代資本主義が西欧で勃興しはじめようとする16、17世紀の市民の生き方に目を向け、資本主義社会の問題を「生活態度」という視点から捉え直した。本書籍は、混迷を極める世界情勢の中、「不安に駆り立てられながら働きつづける」近代人の精神を、【天職・予定・確証】という3つの連動して作用する鍵概念と重ね合わせることを試みる。ベルーフの訳語として用いられる「天職」という日本語は、元々の儒教的含意から明治期日本での変容を経て、「生きがい」という意味にまで解釈が拡大した。「予定説」と「確証思想」の作用は、現代社会における孤独化、排他性、自己コントロールや監視社会といった問題にまで広げることができる。このような思考を、現代社会に対する「鏡」として使うことで、私たちが埋め込まれている労働中心主義の陥穽が見えてくる。
感想・レビュー・書評
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「働く喜びの喪失」を読んだ。
天職という概念をプロテスタンティズムに求めたマックスウェーバーの倫理を再読したテキスト。
天職は神が人に与えた役割であり人間は神の道具であるから始まり現代では個々人の内面にそのカケラがあるから自分と対話して見つけようにその概念も変わっている。何かの記事で「自分らしく生きよう」というのはヒッピームーブメントが生み出したパラダイムシフトでこの呪縛が現代を束縛していて「自分らしく生きてない=俺はだめなヤツ」になってるんではないかという指摘があったがこれ結構鋭いと思う。自分らしく生きる=自分らしい仕事につく、にすり替わってしまっている。
マックスウェーバー自身は天職進行についても批評的なスタンスで見ていたらしい。
よく「レンガ職人がいて大聖堂を作るために働いてるんだ!」ということでビジョンに合致した働き方を賞賛する逸話があって自分も割と好きでよく使ってたんだが、冷静に考えると、クソ面白くもない仕事だけど割り切って金もらって家に帰って好きな趣味で楽しくするぞーも一つの生き方だよなと。自分の親がぶっちゃけそれやったなと。仕事と自分の関係性を見直す面白いアプローチの本でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示