- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784768457498
作品紹介・あらすじ
統括矯正処遇官(教育担当)佐伯茂男。教育担当は死刑囚の"お守役"といわれ、死刑囚からの信頼は圧倒的に厚い。その佐伯の勤務する拘置所に、幼稚園児十三人と教諭一人を惨殺し、罪を悔いることなく早期処刑を望む石堂俊也が移送されてきた。死の恐怖におびえる死刑囚と密着している精神的苦痛、死刑を執行する刑務官の心の傷…。圧倒的なリアリティーで死刑囚と刑務官の関係を描き出す衝撃のノンフィクション・ノベル!
感想・レビュー・書評
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死刑囚に接する刑務官の葛藤を題材にした物語。窺い知ることのない死刑囚の暮らしや刑務官の仕事の様子が、取材を下敷きに丁寧に描かれている。これまで受刑者の心境を想像したことはあっても、刑務官の心情を慮ることはなかったと気付かされた。
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何か良くないことを予感したのか、
妊娠中、お母さんは「おろしたい」と言った。
お腹の胎児は自分が望まれていない子だと
知っちゃった。かわいそうに。
そういう部分では同情する。
だからかどうかは知らないけれど、
人の嫌がることばかりする石堂。
普通に考えれば嫌なヤツ。
こんな人でも妻が4人もいたことが不思議
(最終的にはもう一人増える)。
そんな石堂の担当刑務官である佐伯も相当気難しくて、
感情が表に出やすくて、充分嫌なヤツ。
健全な精神と肉体で死刑囚を送り出すことが
処刑の条件???正しいような矛盾しているような。
死を望む石堂にとっては死刑は公的な自殺。
死刑は彼には刑罰にならないかもしれない。
でも生かしておいても改心の見込みがなく、
遺族達に謝罪もしない。
それに生きている間は衣食住あてがわれて、
塀の中ではあるけれど多少の自由もある。
国民の税金で生きているはず。
死刑確定から死刑執行まで何年も時間をかけることは、
刑務官だって死刑囚に情が移ってしまうではないか。
そのうち受刑者であふれかえってしまうではないか。
ちょっと納得できない。