作品紹介・あらすじ
九代二二五年にわたり徳川幕府を一途に支えた、会津藩。その精神性ゆえ悲劇に突き進む。「ならぬことならぬ」愚直なまでに至誠を貫く。山国の厳しい風土の中で、純粋培養された、会津藩精神。不屈の魂と、人材育成の精神は脈々と息づく。よき藩風は今も続き、新たな時代を創造する。
感想・レビュー・書評
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会津藩の歴史が詰まった一冊。
図や写真も豊富で、読みやすく、充実した一冊なのではないでしょうか。合間あいまに挟まれるコラムも面白かったです。
ただ、中世~近代の日本史の概要を押さえておかないと、読んでいて楽しさ半減かもしれません。
(わたしは保科氏より前、藩主がしょっちゅう変わる戦国あたりの歴史がてんでダメだったので、その辺の歴史的背景や地理をもうちょっと勉強してから読み直す必要がありそうです)
また、会津の人が書いた会津藩のための一冊なだけあって、やや美化されている感があります(賊軍として貶められた過去を踏まえれば、中立に見ていると言えるかもしれませんが)
その割には、「忠義には篤く一途だけど、権謀術数とかややこしいことはよく分からない単純馬鹿の田舎者」みたいな書き方していたり。会津の頑固な精神性はよく引き合いに出されますが、精神論だけで全てを片付けるのはちょっと乱暴なんじゃないかと……。そりゃあ、要因としては強かったかもしれませんが。
個人的には、田中玄宰の改革が特に面白かったです。殖産興業は現在に至るまで通じるものがあるし、日新館などの教育改革も興味深かったです。
この本で玄宰は、会津藩のあり方を決定づけた人として全肯定されているのもすごい(客観的に見ればもっと違った意見もありそうなものですが)。
そしてなにより幕末、京都守護職としての活躍からご宸翰と御製という、孝明天皇からの信頼の証を受けていながら、後世隠され朝敵・賊軍としてのイメージが定着してしまったということ。
皮肉と言うか……、歴史ってのは勝者のつくるものなんだなぁ。
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