猫の怪 (江戸怪談を読む)

  • 白澤社
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本棚登録 : 19
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784768479667

作品紹介・あらすじ

猫は不思議な生き物だ。猫好きにはそれがたまらない。
江戸時代にも、猫をこよなく愛する人たちがいた。いきおい、さまざまな猫の怪異の物語が生まれる。奇っ怪な行動をとる猫にまつわる物語のなかから、江戸怪談における猫の怪の世界を、文学・芸能史・民俗学などの視点から選りすぐって紹介する。
江戸時代の化け猫話といえば、講談で有名な鍋島の化け猫騒動があるが、いくつもの物語が伝わるなかでその原型と考えられる『肥前佐賀二尾実記』と、飼い主の美女を救う猫の話「三浦遊女薄雲が伝」の原文を現代語訳とともに掲載。そのほか江戸の随筆『甲子夜話』や『耳袋』などに記された猫の奇談、猫にまつわる日本や韓国での民間伝承、芝居や映画を紹介する。
祟る猫・化ける猫・助ける猫・招く猫etcと、江戸怪談猫づくしの巻。

感想・レビュー・書評

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  • 2023.05読了
    資料紹介の要素が多いので、あまり心動かされることはなかったけれど、江戸時代の人々が猫にどのようなイメージを持っていたのか。また、現代の私たちにそれがどのように受け継がれているのかなどは知ることができたため、興味深かった。
    前半は「鍋島化け猫伝説」や「三浦遊女薄雲が伝」を通して、化け猫の恐ろしさと、主人のために忠義を尽くす猫のいじらしさが紹介されている。
    猫は長く生きると尾が二つに分かれる。は、割と聞いたことのある話だったが、妖怪となった猫が人にも化けるイメージはあまり持っていなかったため、成り代わる人を殺して化ける。という話を読んで、なかなか怪猫とは恐ろしい存在だったのだなと認識を改めた。
    けれど、そうした事件を起こす理由が主人の仇討であったり、恩に報いるためであったりという理由が語られている場合もあり、話の主軸をどこに置くかで猫のイメージがだいぶ変わる。
    その他にも、猫に関する話の中にはいくつかお決まりのパターンや要素が多いのだということも、この本を読んで知ることができた。
    猫と遊女、猫と坊主、猫と踊り、猫と三味線、猫と死体。などはよくセットとして語られることが多いらしい。
    思い返してみると、これまでに読んだ小説や漫画などの話の中にもそのような題材があったのを思い出して、なるほど、となった。
    それぞれ猫と関係が深いことが理由であったり、猫の仕草自体から発想を得たものであったりと、そのルーツを知ることができたため、猫に関する他の作品も今後より楽しめるのではないかと感じた。

  • <閲覧スタッフより>

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    所在記号:913.5/エト/4
    資料番号:10244501
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著者プロフィール

法政大学理工学部教授(日本文化、日本文学)。『妖怪手品の時代』(青弓社、二〇一二年)、「女の敵はアマノジャク─昔話「瓜子織姫」系絵本における妖怪」(小松和彦編『妖怪文化の伝統と創造』せりか書房、二〇一〇年)、『江戸歌舞伎の怪談と化け物』(講談社、二〇〇八年)

「2015年 『日本人は日本をどうみてきたか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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