三式戦「飛燕」を駆り、ソロモン、ニューギニア、フィリピンで壮絶な空戦を生き延びた、陸軍少尉 松本良男の蒼空の戦いを描いた空戦記。
臨場感溢れる戦いの場面と、小沢隊長や同僚、整備兵や戦地の売春婦達との人情味溢れるエピソードは、読んでいて胸を熱くさせるものがあるのと同時に、当時の状況を知る、一級資料であると実感した。
配属された新任の少尉達は、腕も未熟で長生き出来ないのだからと、将校クラブ(売春宿)に連れて行ってやる、なんて事があったとは。
ただそこには、強制連行や奴隷という表現とは程遠い、兵士と売春婦の割り切った関係と、ただ少々の情を感じさせるのみである。
何はともあれ、坂井三郎の「大空のサムライ」にも劣らない名著であり、何度も読み返したい。