1998年(底本1958年)刊。
著者は戦前に時事新報社編集局長、戦後、共同通信社理事長・時事新報社社長・産経時事主幹・産経新聞顧問等に就く。
全3巻中の最終巻。日中戦争~太平洋戦争開戦時迄を叙述対象に。
日中戦争の戦史的経過を除き、詳述本と言う意味以外で、特記すべき事項はなく、陸軍上層の無定見への著者の慨嘆で終始する。
本書は面白い視座の書で、ある種、戦後の日本陸軍史研究のパイオニアといえるのだろう。が、参考文献や引用元を一切開示しないという、抜き差し難いマイナス要素がある。
例えば、もし日記や自叙伝が引用元なら内容に限界があり、クロスリファレンスの必要性あるが、かかる再検証の可能性を封じてしまうのだ。学者さんならこういうことは少ない。残念なところである。