子どもに語るイタリアの昔話

著者 :
  • こぐま社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772190398

感想・レビュー・書評

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  • イタロ・カルヴィーノのイタリア民話集だけで満足していたのだが、こちらも読んでみることに。
    もしや未知のお話もあるかと挑んだのだが、あるある、ありました。英国の「フォックス氏」に良く似た「三本のカーネーション」というお話がそれ。怖さでは「フォックス氏」に軍配があがるが、こちらの方がゆとりがあってストーリーテリング向き。     
    全体にひねりの効いたお話はなく、どれも陽気で明るい雰囲気だ。こうあって欲しいという所におさまるものばかり。理不尽な終わり方もない。
    子ども向けだからそうなのかも知れないが、大切な要素だ。
    怖いはずの話もどことなく可笑しく、こういう部分にも国民性というのが現れるのかもね。

    全15話。
    「死人の恩返し」と「もの言う小鳥」の2話が比較的長くて凝っている。
    特に面白かったのは「ネコの国に行った女の子」と「先に怒った者が負け」の2話。
    昔話が今のような形をとることになったのは14、5世紀の頃のこと。
    イタリアは今でこそ統一された国だが、その頃はいくつもの小国に分割されていたという。
    お話に登場する「フィレンツェ」や「ヴェネツィア」は、別々の共和国として栄えていたというし、「ナポリ」にいたってはスペインに統治されていたらしい。
    すると、王様という存在が出てきても、その地域の権力者のひとりくらいに受け取るのが良いのかもしれない。
    あまり偉そうでもないのは、そのせいかな・笑

    カトリックの国らしく、悪魔と魔女が登場するお話もある。
    面白いのは鬼が出てくるのが2話あること。
    あまり賢くなくて、知恵のある主人公に翻弄された末亡くなるというストーリーになっている。
    イタリアの鬼とは、どんな姿形なのだろう?興味津々。
    どなたかご存じの方がいらしたら教えてね。

  • カルヴィーノが紹介したイタリア民話もいいが、これは「子どもに語る」シリーズなので、より語りに向いている物語が収められている。ロシア民話やグリム童話に似た物語があるが、さすがイタリア、明るく陽気。「ホレおばさん」に似た「ネコの家に行った女の子」も怠け者の女の子が素直でおかしい。「はらぺこピエトリン」は原語でききたくなる。どの物語も色彩と匂いにあふれている。

著者プロフィール

剣持弘子:日伊協会等でイタリア語を学び、イタリアの民話、児童文学の研究と翻訳に携わる。一年間フィレンツェに留学、民間伝承を学ぶ。日本女子大学講師を経て、現在、著作、研究活動に従事。昔話に関する著書、訳書、論文多数。訳書に『子どもに語るイタリアの昔話』『カテリネッラとおにのフライパン』(以上こぐま社)『イタリアの昔話』(三弥井書店)等がある。

「2021年 『紙芝居 せかいのはて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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