よくわかる短期療法ガイドブック

  • 金剛出版
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772406499

作品紹介・あらすじ

本書は、「短期療法=ブリーフセラピー」のガイドブックです。迷わないように「地図」もついています。短期療法には、「変化」を重視するMRI派と「ソリューション・フォーカス・アプローチ」の解決志向派がありますが、著者ふたりは「いいとこどり」の精神で両者を統合した「表裏のアプローチ」を提唱しています。「逆立ちでパニック障害が治った事例」「髪の手が生えた事例」「15秒で足の震えが止まった事例」「賭けで摂食障害が解決した事例」など、興味深い事例も盛り沢山です。本書は、言語の側面から心理療法に迫ったものです。セラピーに用いられるさまざまなコミュニケーション・テクニックの情報を満載していますので、すぐにでも実践可能です。提起されている手法は、著者らの臨床経験はもちろん、社会心理学や一般心理学などを援用した実証研究からも成り立っています。

感想・レビュー・書評

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  • 短期療法、ブリーフセラピーのガイドブック。

    理論的な箇所は「拘束からもれる拘束」とか、言葉遣いが難しく、よく理解できなかったが、事例が豊富なので、セラピストの介入の仕方を読むことで、言いたいことは大体わかった。

    トリッキーに見える介入にも、明確な意図があることが分かった。

  • ここから始まった

  • ブリーフセラピーを俯瞰してみることができました。解決志向アプローチと悪循環を断ち切るアプローチの両方の関係性がわかりました。また、言語感覚の大切さ、コミュニケーションの公理、具体的な質問例など実践的に学ぶことができました。ブリーフセラピーの効果がよくわかるとともにセラピスト自身の力量の必要性を感じました。

  • 先日ご講義いただいた若島先生のブリーフセラピーに関する著書。
    原因を求めるのではなく、今ある状態から解決を考えていくという手法。
    心理士に相談してもらいたいけども、精神的なものではないという信念があり相談できない方々に、何かできないかと思い読んでみました。
    ケース例が素晴らしすぎて、そこまでは到底難しそうですが、
    少しずつエッセンスを日常に組み入れていけたらよいなとおもいます。

  • 事例で学ぶ~と合わせて図書館で見つけたため。
    事例で学ぶよりも、短期療法の理論と方法をとても詳しく書いており、短期療法で目指しているものをとてもよく感じられた。
    やはりこのセラピーは力と関係性、コミュニケーションの持つ意味がとても重要である。ひとというものを、心というものを、セラピストたちは「関係」のという中で見ているのだなあと。心はいろいろな形で現われ出る。コミュニケーションというのもその一つなのだと思う。
    セラピーでは対話が変化のカギとなる。
    モノローグでは生まれないダイナミックさがセラピー、ダイアログにはある。だが、短期療法ではセラピストが発する質問・会話の指導権が重視されるので、下手をすると、相手の考える力を奪ってしまう。
    結局は本人が変らなければ、考えなければ何も変わらない。臨床心理とはその最たるもの。考えるということをどうやってするのか、伝えることがこのセラピーではできるのだろうか。またいつもと同じところに戻ってきてしまった。

  • まさにガイドブックという感じで、「短期療法とは」というところから介入課題の出し方まで。「何が分からないのか分からない」状態から「ここのところをもっと学びたい」にしてくれる。

    事例がたくさんあって面白く読める。

    自分も短期療法は対処療法に過ぎないのでは? と思っていたクチだけれど、どういう理論なのかが分かって誤解が解けた、ような気がします。

    ベースがシステム理論やコミュニケーション理論らしいので「対人関係にしか使えないのでは」と思いきや、個人の内面にもコミュニケーションがあると捉えるのです……ね? ちょっとまだよく分からない。

  • 何度も笑った。
    小難しい理論や概念も目白おしの専門書のはずなのだが。
    笑える専門書は私にとっては初めての経験であり、稀有だ。
    当然すべて理解しきれるものでもない。
    だが、問題分析のみでなく肯定的側面に目を向けるカウンセリングは、行う側の気持ちを楽にさせるに充分だと思う。

    若島孔文・長谷川啓三共著になっている。
    長谷川氏の本はもう少し理屈っぽいし、堅強だ。
    おそらく若島氏主筆で、(おそらく担当教官の)長谷川氏監修的色合いが強いのだろうと推測。
    「笑える」部分はほぼ若島氏パートとみていい。

    そんなことが言えるのは、若島氏のレクチャーを受けたことがあるからだ。
    専門家の、大学の先生の講義はおおむね高いところから差し出され、我々はあらかじめ隔てられた遠くから拝聴することが多いのだが、
    この先生は我々のところまで降りてきて、我々のど真ん中で訥々と語り、突然わけのわからない指名をし、落とすギャグを放つ。
    シーンとなる。我々は面食らう。そして笑う。
    これはノイズ。混乱させ、ユーモアを以て、我々の構えた心に介入し、変化を起こしている、ということになる。

    ユーモアが問題の悪循環に風穴をあける。
    問題だけに目を向けていると、技量のない我々のような素人は早晩息詰まることになる。そこへ、笑いという断裂を加える。
    これもれっきとした「技法」で、むやみやたらにやればただの悪乗り。ほんとうの「断裂」になりかねない。
    歴史の古い来談者中心のカウンセリングに加え、「解決志向」というアプローチを試みる技法だ。質問‥‥言葉の「呪」(『陰陽師』風にいうなら)を利用して、相手を「拘束」する。それが相手の行動に変化をもたらす。‥‥
    相手の肯定的側面を広げ、問題に対しできることを自ら開いていけるようにしていく方法・およびコミュニケーションの文脈は私にとって革新的、コロンブスの卵的驚きをもたらした。
    問題を多く抱える相手に、明日からでも使えるアプローチもある。

    しかし、「言葉(質問)」を状況に応じて適切に繰り出すには訓練や経験、場数が必要であり、失敗も多くしないとその感覚はつかめないと思う。コミュニケーションスキル訓練と同じように。
    理論に基づいたとっさの判断がかなり必要な「技法」なのだ。
    そして、技法技法技法‥‥と意識しすぎるのは本末転倒になりかねない。何よりも施す側の足元のぶれにつながる。
    カウンセリングで唯一精神的な部分を唱えている、と若島先生も言っていたロジャースの「共感・傾聴・自己一致」の精神も重要・必要不可欠であることは言うまでもない。

    明日からの面接で、クライエントがまたおそらく同じ重い話のループをし始めるだろう。
    その時、とっさに窓の外を見たら、犬がウンコをしていてくれるだろうか?
    私はどうやってそこへ「風穴」を開けるのだろうか?

  • 実はよくわかんねぇ(笑)内容は難しい。MRI派とSFAのあわせ技が紹介されている。

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著者プロフィール

家族心理士、ブリーフセラピスト(シニア)、臨床心理士、公認心理師。2000年、東北大学大学院教育学研究科博士課程修了(教育学博士)。その後、立正大学心理学部准教授を経て、2008年より東北大学大学院教育学研究科准教授。日本家族心理学会理事長、国際家族心理学会副会長、日本ブリーフセラピー協会研究員制度チーフトレーナー、日本心理臨床学会代議員、日本カウンセリング学会「カウンセリング研究」編集委員など

「2019年 『短期療法実戦のためのヒント47』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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