電話相談の考え方とその実践

著者 :
制作 : 村瀬 嘉代子  津川 律子 
  • 金剛出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772408875

作品紹介・あらすじ

社会にとって電話相談は重要な資源の一つであるが、こころの援助分野の電話相談において、聞き手(援助者側)は何をすべきなのだろうか。本書は、村瀬嘉代子、津川律子を中心に、「いのちの電話」や被害者・被災者支援、産業臨床、子育て支援など電話相談の世界で実践を重ねている筆者らによって著された、電話相談者のための実際的で具体的なリーディング・テキストである。援助者側にとれば電話相談は個人面接に比べて、イージーなものと思われがちである。しかし、実際のところの電話相談は、虚空に消えてゆきそうな声だけを頼りにしたもっとも繊細な心理的援助場面の一つであり、傾聴やアセスメントといった総合的臨床能力が問われる場でもある。こうした援助者側の課題や電話相談に関する長年の実践例、援助者への研修・教育方法などがまとめられた本書は、電話相談にかかわる心理援助職やボランティアらに本当に必要な一冊となるであろう。

感想・レビュー・書評

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  • 電話相談は顔の見えない相談で、声だけで判断しないといけない困難性がある。一般的な心理カウンセリング的な技術も必要だが、最後はその人の人間性が出るという話が多かった。それを村瀬先生は「人間の教養の極み」と一言で述べられていた。けだし名言。

  • 時々こういうものが提供してくれるかもしれない実用の技にすがりたくなるのだが、やはり惹き付けられてしまうのは村瀬先生の深遠にして温かい人間哲学の方である。
    「教養の極み」から産まれ出る言葉や技を求めて、実践と内省と読書が続けられなければならない。
    相談とはこの世のあらゆる葛藤の現場である。必要なのは相談そのものに対する自由と責任である。しかし相談員はそれを確実なものとして捉えることができない、というのが相談のもつ逆説だ。できるのはそれでもあきらめずに求め続けることだけなのである。

  • 電話相談という心理臨床界で最近見直されてきた領域。
    従来はいのちの電話等ボランティアが中心のものであったが、専門家によるカウンセリングとしての可能性について触れられている。
    各専門の先生が各章担当されており、その差異と共通する課題は現場の人間から見ても納得。

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著者プロフィール

一般社団法人日本心理研修センター代表理事・理事長。大正大学名誉教授、同大学客員教授。北翔大学大学院客員教授。
臨床心理士。博士(文学)。専門は臨床心理学。
1959 年奈良女子大学文学部教育学科心理学専攻卒業。1959-65 年家庭裁判所調査官(補)、1962-63 年カリフォルニア大学大学院バークレイ校留学。1965 年大正大学カウンセリング研究所講師、1993-2008 年大正大学人間学部および同大学大学院人間福祉学科臨床心理学専攻教授。2008 年北翔大学人間福祉学部教授、大正大学名誉教授(2009 年より客員教授)。
近著『聴覚障害者への統合的アプローチ』(日本評論社、2005 年)、『新訂増補 子どもと大人の心の架け橋』(金剛出版、2009 年)、『心理療法家の気づきと想像』(同、2015 年)、『ジェネラリストとしての心理臨床家』(同、2018 年)など。

「2019年 『子どものこころに寄り添う営み』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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